カナダ産牛肉でO157:H7検出

国立医薬品食品衛生研究所は、食品安全情報(微生物)No.20(2012.10.03)を発表した。カナダ産牛肉でO157が検出され、工場の管理対策と検査手順に逸脱があったことが指摘されている。米国ではピーナッツバター由来が疑われるサルモネラ感染が発生している。英国ACMSFは食品からのトキソプラズマ感染を重視し、調査を進める提案を行っている。

注目記事

【CFIA】カナダ産牛肉からO157:H7検出し注意喚起

 カナダ・XL Foods社の一部の牛切り落とし肉製品で大腸菌O157:H7汚染が確認され、250品目以上の牛肉製品が自主回収されている。同社から出荷された牛肉に関連して、患者4名が報告されている。

 カナダ食品検査庁(CFIA)は、同社製造施設の食品安全管理の詳細な調査を行った。CFIAはXL Foods社の施設番号38の操業許可を暫定的に取り消した。

 調査では大腸菌O157:H7汚染に結び付く単一の要因は特定できなかったが、いつくかの不備の組合せが汚染に寄与した可能性がある。

 また、同社の大腸菌O157:H7管理対策とサンプリング・検査手順の文書から数件の逸脱があったことが指摘された。

 CFIAは、供給、流通および小売の各業者から情報収集をまだ続けていることから、回収対象が今後さらに拡大する可能性がある。

【US FDA、US CDC】ピーナッツバターに関連するサルモネラ感染

 米国Trader Joe’s社のピーナッツバターによるサルモネラ(Salmonella Bredeney)感染アウトブレイクが米国複数州で発生している。同社は疑いのあるピーナッツバター製品の自主回収を開始している。

 米国食品医薬品局(US FDA)および米国疾病予防管理センター(US CDC)は、Trader Joe’s社の「Valencia Creamy Salted Peanut Butter」を製造しているSunland社に調査状況を説明し、Sunland社は2012年5月1日~9月24日にTrader Joe’s社当該製品と同じ製造ラインで製造したアーモンドバター製品およびピーナッツバター製品の自主回収を開始した。

 FDAによるSunland社製造施設での調査継続の結果、同社は回収対象を約100製品に拡大し、自社のサイトに対象製品のリストを発表した。

 CDCによると、アウトブレイク株感染患者は、2012年9月24日時点で19州から30人が報告されている。患者の年齢は1歳未満~77歳、63%が10歳未満。情報が得られた13人のうち4人が入院した。死者は報告されていない。

【UK FSA】トキソプラズマに関するリスクプロファイルを発表

 英国・食品微生物学的安全性諮問委員会(ACMSF)は、「フードチェーンのトキソプラズマに関するリスクプロファイル」(Risk profile in relation to toxoplasma in the food chain)を発表した。食品がトキソプラズマの感染経路として注意すべきものであることを確認している。

 高リスクグループ専門家部会(Ad Hoc Group on Vulnerable Groups)はトキソプラズマに関して知見が欠如している部分を指摘し、食品由来感染の割合や高リスク食品の推定に必要な調査分野を提案している。

(注目記事のまとめ:FoodWatchJapan編集部)

食品安全情報へのリンク

食品安全情報
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/index.html

食品安全情報(微生物)No.20(2012.10.03)
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/2012/foodinfo201220m.pdf

今号の目次

【汎アメリカ保健機構(PAHO)】
1. 南北アメリカ大陸とその周辺の諸国の保健事情に関する報告書を発表

【米国食品医薬品局(US FDA)】
1. Trader Joe’s社のピーナツバターに関連して複数州にわたって発生しているサルモネラ(Salmonella Bredeney)感染アウトブレイク
2. Frescolina Marteブランドの輸入リコッタサラータチーズに関連して複数州にわたり発生しているリステリア(Listeria monocytogenes)感染アウトブレイク(2012年9月28日付更新情報)
3. マンゴーに関連して複数州にわたって発生しているサルモネラ(Salmonella Braenderup)感染アウトブレイク

【米国農務省食品安全検査局(USDA FSIS)】
1. 米国農務省食品安全検査局(USDA FSIS)がカナダ産牛肉製品に関する公衆衛生アラートの対象を拡大(2012年9月28日付情報)
2. 米国農務省食品安全検査局(USDA FSIS)がカナダ産牛肉製品に関する公衆衛生アラートを更新(2012年9月26日付情報)

【米国疾病予防管理センター(US CDC)】
1. ピーナツバターに関連して複数州にわたって発生しているサルモネラ(Salmonella Bredeney)感染アウトブレイク
2. Frescolina Marteブランドの輸入リコッタサラータチーズに関連して複数州にわたって発生しているリステリア症アウトブレイク(2012年9月27日付更新情報)
3. 豚肉生産チェーンにおけるE型肝炎ウイルス陽性率(2010年、チェコ共和国、イタリアおよびスペイン)

【カナダ食品検査庁(CFIA)】
1. 牛肉製品の大腸菌O157:H7汚染に関する調査結果の概要

【欧州疾病予防管理センター(ECDC)】
1. 欧州の数カ国で発生しているサルモネラ(Salmonella Stanley)感染アウトブレイクに関する迅速リスク評価(更新)

【欧州委員会健康・消費者保護総局(EC DG-SANCO)】
1. 食品および飼料に関する早期警告システム(RASFF:Rapid Alert System for Food and Feed)

【欧州食品安全機関(EFSA)】
1. 稀な血清型のサルモネラ(Salmonella Stanley)感染アウトブレイクに関して助言を提供

【英国食品基準庁(UK FSA)】
1. トキソプラズマに関してさらに調査が必要
2. 国際ワークショップで大腸菌についての詳細な研究の継続が推奨された

【オーストラリア ニューサウスウェールズ食品安全機関(NSW Food Authority)】
1. そのまま喫食可能な(RTE)ナッツおよびナッツ製品の調査

【ProMed mail】
1. コレラ、下痢、赤痢最新情報