前年同月の下げ幅7月より縮小

ホットペッパーグルメ外食総研による外食市場調査の2020年8月度調査結果では、外食市場規模の前年同月からの下げ幅が7月よりも縮小した。とくに首都圏と関西圏で回復傾向が見られたが、東海圏では悪化傾向だった。

外食市場規模は前年同月比−1,375億円

 2020年8月の外食市場規模は、3圏域合計で2,101億円。前年の−1,375億円で、同月比(以下、前年比)60.5%。前年同月比の下げ幅は7月の前年比−1512億円よりマイナス幅が縮小した(四捨五入の関係で見た目の引き算結果とは異なる)。外食実施率(57.5%、7月は55.6%)、外食頻度(3.73回/月、7月は3.62回/月)、外食単価(2,404円、7月は2,395円)の主要3指標が揃って前月よりは数値が大きく、市場規模の回復傾向につながった。

 圏域別には、外食市場規模の前年比が首都圏57.2%(7月51.8%)、関西圏66.8%(同62.5%)、東海圏63.1%(同70.0%)とばらつきがあり、首都圏と関西圏は回復傾向だが、東海圏では前月より悪化傾向であった。

 7月は東京都を中心に新型コロナウイルスの感染者数が再び増加し、東京都がGo To トラベルの対象地域から除外されるなどがあったが、8月はその傾向が全国に再び広がった時期であったため、一部地域の外食意欲を下げた可能性もある。

2020年8月の外食実施率は57.5%

前月比増減+1.9pt、前年比増減−19.6pt。

外食実施率(2020年8月)

2020年8月の外食頻度は3.73回/月

前月比増減+0.11回、前年比増減−0.63回。

外食頻度(2020年8月)

2020年8月の外食単価は2,404円

前月比増減+9円、前年比増減−110円。

外食単価(2020年8月)

2020年8月の外食市場規模は2101億円

前月比増減+135億円、前年比増減−1375億円。

外食市場規模(2020年8月)

「居酒屋」は前年比約5割まで回復

 業態別では、「居酒屋」(前年比増減−370億円)、「和食料理店」(同−181億円)、「焼肉、ステーキ、ハンバーグ等の専業店」(同−120億円)等、6カ月連続して主要16業態すべてで市場規模が前年比マイナス。

 ただ、「ラーメン、そば、うどん、パスタ、ピザ等の専業店」(前年比74.5%)、「ファミリーレストラン、回転すし等」「お好み焼き、鉄板焼き等の専業店」(ともに同74.1%)等はマイナス幅が比較的小さい業態である。飲酒主体業態も前年比で47.8%まで戻し、その中心である「居酒屋」は前年比49.6%と約5割まで回復してきた。

 延べ外食回数が前年を上回った業態はなく、単価が前年を上回ったのは「スナック、ナイトクラブ、キャバレー」(前年比+1,412円)、「バー、バル、ワインバー、ビアホール、パブ」(前年比+200円)、「ファストフード」(前年比+38円)、「フレンチ・イタリアン料理店」(前年比+25円)、「ファミリーレストラン、回転すし等」(前年比+19円)、「ラーメン、そば、うどん、パスタ、ピザ等の専業店」(前年比+4円)、「牛丼、カレー等一品もの専売業態」(前年比+2円)の7業態だった。

前年比プラス業態

なし

前年比±0の業態

なし

前年比マイナス業態

「和食料理店」「中華料理店」「レストラン、食堂、ダイニング、洋食店」「フレンチ・イタリアン料理店」「アジアン料理店」「焼肉、ステーキ、ハンバーグ等の専業店」「お好み焼き、鉄板焼き等の専業店」「すき焼き、しゃぶしゃぶ、鍋、おでん等の専業店」「ファミリーレストラン、回転すし等」「ラーメン、そば、うどん、パスタ、ピザ等の専業店」「居酒屋」「バー、バル、ワインバー、ビアホール、パブ」「カラオケボックス」「スナック、ナイトクラブ、キャバレー」「ファストフード」「牛丼、カレー等一品もの専売業態」

※ホットペッパーグルメ外食総研「外食市場調査」(2020年8月度)
https://www.hotpepper.jp/ggs/research/article/marketing/202008

ホットペッパーグルメ外食総研・外食市場調査

 ホットペッパーグルメ外食総研・外食市場調査は、リクルートライフスタイル(東京都千代田区、淺野健社長)の外食に関する調査・研究機関「ホットペッパーグルメ外食総研」が行っている調査。毎月、首都圏・東海圏・関西圏の約9,000~1万人を対象に「外食市場調査」を実施している。

 この「外食市場調査」では、圏域内の生活者による毎日の夕方以降の食事や飲酒について、外食と中食の内容(場所、相手、単価など)をヒアリングし、毎月の外食市場の動きを継続的に可視化している。3圏域限定で朝食・昼食は含まない市場調査ではあるが、飲食店などの事業所ヒアリングではなく、生活者に直接ヒアリングを行っていることから、性年代別や相手別の消費動向がわかり、外食している街や業種の情報が取得できていることが特徴。

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About 稲垣昌宏 56 Articles
ホットペッパーグルメ外食総研上席研究員 いながき・まさひろ 市場調査をメインに消費者動向から外食市場動向を分析・予測。また、観光に関する調査・研究、地域振興機関である「じゃらんリサーチセンター」研究員も兼務し、「食」と「観光」をテーマに各種委員会活動や講演などを行っている。肉より魚を好む、自称「魚食系男子」。