「よい農産物」とはどんな農産物か?

化学肥料の問題点は“依存”にある

先に、化学肥料を与えるだけの栽培を続けていると、農産物を生産する畑としての機能を失ってしまうと書いた。そのメカニズムをもう少し詳しく見ておく。 化学肥料自体に問題はなく化学肥料依存が問題  化学肥料というのは、植物に必要な栄養分を人工的に化合して作ったもので、たとえば窒素肥料であれば、窒素と別の物質がくっついている。窒素肥料の代表的なものに硫安があるが、これはアンモニウムイオン(NH4+)と硫酸根 […]
中国東北部の土
土を知る、土を使う

世界の土 v/中国東北部(1)

中国の土はその土色で大きく4種類に分けられます。南の赤い土、揚子江流域から山東半島の黄色い土、北京郊外から長春あたりにかけてのオリーブ色の土、そしてチチハルから内モンゴルに分布する黒い土という具合です。この分類は実はかなり古い中国の土壌研究の文献にも登場しています。 ゴビ砂漠から飛んできた微細な粒子  今回は、この中から北京郊外から東北部に分布するオリーブ色の土について話をしていきます。  この土 […]
「よい農産物」とはどんな農産物か?

有機栽培は作物の安全・安心のためではなかった

農薬にはどのような危険があるだろうか。また、どの程度危険なものなのだろうか。これはものによって一様ではなく、時代によっても異なる。たとえば、化学合成農薬の中でも、かつて販売されていたり広範に使用されていたものには、かなり危険なものがあったが、今日流通している農薬は、それらとはまた事情が異なる。 農薬の急性毒性・残留性・催奇性  農薬の危険性として、まずいちばんわかりやすいものは、飲むと死んでしまう […]
「よい農産物」とはどんな農産物か?

有機農業を理解するには農薬と化学肥料を理解する必要がある

現在、安全や安心な農産物と言った場合、多くの人がイメージするのは、“科学技術に頼らない”有機栽培などの栽培方法を行なっている農産物ということになるだろう。では、有機農産物は実際に安全・安心で栄養価が高いと言えるだろうか。 化学農業時代が有機栽培を生んだ  それを考える前に、まず有機栽培とは何かということを押さえておきたい。  かつて化学肥料は“金肥”(きんぴ)などと呼ばれていた。金で買う肥料、高価 […]
「よい農産物」とはどんな農産物か?

時代によって変わった“安全”の中身

前回の、利益(ベネフィット)と危険性(リスク)を秤にかけて考えるということは、もちろん交通機関だけの話ではない。危険性を最少にするという努力こそ、あらゆるリスク管理に通じる対応だと言うことができる。 安全でなければ危険ということではない “安全ではない”=“危険で利用できない”ということにはならないのだ。「誰も安全と言い切ってくれないから危険」ということにもならない。  裏を返せば、便利だと使われ […]
オーストラリアの茶園
土を知る、土を使う

世界の土 iv/オーストラリアでの茶栽培(2)

前回書いたように、2000年2月、筆者はオーストラリアでの茶栽培の可能性を調べる調査のため、シドニーの北に位置する地帯と、西オーストラリア南端に出向きました。  日本の茶業試験場に相談したところ、「全くダメだろう」ということでしたが、そういう回答だった理由から考えてみましょう。 オーストラリアの全土が乾燥帯なのではない  茶樹(チャノキ)という植物と、オーストラリアという立地の組み合わせを考えた場 […]
「よい農産物」とはどんな農産物か?

安全と断定できない新幹線を利用するのはなぜか

それにつけても、“安全”というテーマは書きにくいものだ。まず第一に、安全という概念を説明するのが難しい。  安全とはいったい何か?  農産物の安全性について考える前に、安全ということについて、ちょっと考えてみたい。 新幹線は安全な乗り物か?  実は、「安全」と言い切ることは不可能というほど難しい。たとえば、「新幹線は安全な乗り物だ」と言えるだろうか?  日本の新幹線は、これまで死亡事故が起きていな […]
「よい農産物」とはどんな農産物か?

農産物を評価するには実態を知る必要がある

かつてないほど、農産物の安全性が注目されるようになってきた。口にする食品であるから安全性が大事であるのは当然のことだが、農産物ほどさまざまな観点から安全性が注目されているものはないだろう。 需要の現場に生産の現場の情報が不足している  現在の日本では、食品が安全であるというのは大前提で、食中毒はおろか表示ミスがあったというだけでニュースになるほどだが、実際には、世界的に見ても日本は食に関して最も安 […]
Camellia sinensis. by Franz Eugen Kohler, Kohler's Medizinal-Pflanzen 1897.
土を知る、土を使う

世界の土 iii/オーストラリアでの茶栽培(1)

茶樹(チャノキ)の原産地は中国雲南省、ラオスとミャンマーに接するシーサンパンナと言われています。当地での茶は、古くから薬草としての位置づけが強く、大事に利用されてきた植物であったことは確かです。  これが陸路で朝鮮半島を伝って我が国に入ってきたようですが、「チャ」という言葉は広東語から来ています。  これに対して、福建省の港から海路ヨーロッパに渡った伝播もあります。こちらの方は、福建語で茶を「テ」 […]
農林・水産

2012年食の10大ニュース[10]

米国で記録的大干ばつ 牛肉検査の月齢制限見直しへ ブラジルでBSE発生 遺伝子組換え表示とTPP 食品表示の一元化への見直しホットに 阿南氏消費者庁長官に 遺伝子組換えトウモロコシのとんでもラット試験悪影響話題にならず 牛(豚)レバーの生食禁止 米国FDAが成長を早めた遺伝子組換え鮭にリスクなしとの環境影響評価を公表 2040年の食品市場についての調査報告 1. 米国で記録的大干ばつ  日本のお客 […]
農林・水産

ソフトタイプ米菓に向く「亀の蔵」、中央農研と亀田製菓が共同研究

農研機構中央農業総合研究センターは、2012年度に「亀の蔵」として品種登録出願した早生の低アミロース水稲新品種(出願番号第27101号)について亀田製菓と共同研究を行い、同品種を用いると、「口溶けが良好で、米の風味、甘味が強いソフトタイプ米菓の製造が可能となり、作業性にも優れる」ことを明らかにした。 ソフトタイプせんべいを作る際にはうるち米を使う。薄く延ばした生地から丸いせんべいの形に型抜きする工 […]
「おしい! 広島レモン」
農林・水産

「瀬戸内 広島レモン」を使ったメニューの提供飲食店を募集

瀬戸内 広島レモンPR事務局は、「賛否両論」(東京・恵比寿)店主の笠原将弘氏、料理研究家の本居佐知子氏が各20品開発した「瀬戸内 広島レモン」使用の料理レシピを県サイト「瀬戸内 広島レモンレシピ40選」上で公開した。 また、「瀬戸内 広島レモン」を使ったメニューを提供する飲食店を全国で募集し、同サイトで店舗紹介を行う。 【応募方法】 対象:全国の飲食店、持ち帰りでの提供店(例:菓子店,惣菜店など) […]
圃場のミャンマー女性(シャン州)
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世界の土 ii/ミャンマーでイネとラッカッセイの可能性

このところミャンマーのことがマスコミでもよく取り上げられています。政治情勢の変化とともに、国際社会のこの国のとらえ方や交流の様子が変わりつつあります。  筆者は10年ほど前に数回、ある企業の依頼でミャンマーの農業技術改善の仕事を請負い、土壌調査を行ったことがあります。その経験から、当地での農業の可能性を話してみます。
ドバイ近郊の砂漠土壌で試験栽培したイネ
土を知る、土を使う

世界の土 i/ドバイのイネ

世界中に砂漠はいくつもあり、困ったことにその砂漠が増加しているといいます。私たちが日本列島にいる限りは、その実感はありませんが、海外に出かけてみると、その乾燥した空気から何となく砂漠化もあるかと思うぐらいです。
土を知る、土を使う

畑の土 xviii/まとめ(3)

土壌の種類のおさらいの続きです。粘土の多い土は保肥力の高いものと言えますが、これにはそれに適した管理をしてやる必要があります。ところが、それが行われていないことが多く、今後農業の大規模化が進めば、この種の問題が拡大する恐れがあります。