「よい農産物」とはどんな農産物か?

農産物の品質を客観的に表現できないか

おいしい農産物の基本的な条件として、とくに(1)栽培に適した地域・条件で作られていること、(2)旬のもの、(3)新鮮なもの、(4)品種の特徴としてうまい、(5)栽培方法がよいを挙げた。そして、(5)があったとしても、本来最重要である(1)~(4)が満たされなければ、おいしいものは提供できないと書いた。 味のよさを客観的に伝える試み  それでは、(1)~(4)の条件が満たされた中で(5)を取り入れる […]
空から見た朝鮮半島
土を知る、土を使う

世界の土 vii/朝鮮半島の土(2)

前回、朝鮮半島の岩石は基本的に花崗岩で、土もそれに由来するものと説明しました。また、花崗岩は典型的な酸性岩であるというところまでお話しました。 栄養分が少なく水分保持力も小さな土  酸性岩という表現を聞くと、酸っぱいか苦いかといった意味でとらえたくなって誤解されやすいかもしれません。これは、植物にとってどういうものかで考えると、栄養分が少ない岩石ということになります。逆に塩基性岩というのは、各種栄 […]
「よい農産物」とはどんな農産物か?

おいしい農産物が出来る条件

これまで農産物の安全性について書いてきたが、次に農産物の品質について考えてみよう。農産物の宣伝文句でよくあるのは、「おいしい」「本物」「栄養価が高い」などだ。まずは、「おいしい」ということについて考えみよう。 おいしいかどうかは食べる人が決めるもの  農産物は食べ物であるから、「おいしい」という惹句はある意味必須かもしれない。しかし、筆者が気になるのは、「おいしい」を主張することが、他は「おいしく […]
「よい農産物」とはどんな農産物か?

食品中の放射性物質は新基準値なら安全と言えるか

さて、国の定める基準値内のものでも不安だという声はよく聞くところだが、これがどの程度のものなのか見ておこう。 “年間1mSv”を超えると危険なのか 「食品中の放射性物質放射性物質の新たな基準値」(新基準値。http://www.mhlw.go.jp/shinsai_jouhou/dl/leaflet_120329.pdf)は、「放射性物質を含む食品からの被ばく線量の上限を年間1mSvとし、これを元 […]
「よい農産物」とはどんな農産物か?

放射性カリウムによる内部被曝から基準値のレベルを考える

植物の3大栄養素の一つであり、人間にとっても必須の栄養素であるカリウム。これに含まれる放射性カリウムをどう考えるか。以下は、以前筆者のブログに書いたものを一部修正したものだ。Bq、Sv等の単位は前回末尾の註を参照されたい。 ヒトの体内の放射性カリウム  放射性カリウムは人工的に作られることはほとんどない。地球が生まれたころから存在しているもので、半減期は12.8億年。普段の生活で最も内部被曝が多い […]
空から見た韓国
土を知る、土を使う

世界の土 vii/朝鮮半島の土(1)

韓国はお隣の国ですが、行ったことのある場所と言えばソウルという答えがほとんどでしょう。他にプサンとか済州島とかも挙がるかもしれませんが、韓国のどこどこの畑に行きましたという話はあまり聞きません。 朝鮮半島南部から北朝鮮付近までの見聞から  ここ数年、韓国の料理や食材は身近なものになり、味わうことも話題に上ることもテレビで取り上げられることも増えました。しかし、韓国の農業生産現場のことを知る機会はな […]
「よい農産物」とはどんな農産物か?

東京電力福島第一原子力発電所事故以降の農産物は安心と言えるのか

ここまで安全な農産物に関連する事柄をいろいろと書いてきたが、現在の日本では放射能の問題を避けて通ることはできない。放射能は、農薬の問題以上に不安をかき立てているだろう。これについて筆者の考えを述べたい。最初に結論を書いてしまうと、現在日本国内に流通している農産物は、この点でも非常に危険が少ないと考えている。 基準値引き上げは放射能汚染がひどいからか  最初にお断りしておくが、筆者は農業現場とくに栽 […]
「よい農産物」とはどんな農産物か?

窒素過剰は堆肥・化学肥料共通の問題

先にも説明したように、堆肥というものは一様ではない。材料も、醗酵の程度もさまざまである。そこで注意すべきは、未醗酵すなわち未熟な堆肥が完熟堆肥と同じように扱われている現場が非常に多いという点だ。未熟な堆肥は窒素量も多い上に、即効的に窒素が効くので、窒素過多による障害も起こりやすい。 未熟堆肥には衛生上の問題もある 「未熟な堆肥」という言葉が曲者である。果実などであれば未熟なものにもそれなりの使い途 […]
「よい農産物」とはどんな農産物か?

堆肥を使えばよいというものではない

多くの方は、栽培の現場に行って土壌に堆肥を投入しているのを見たり聞いたりすると、「土作りを一生懸命行なっている」と受け取って感心する。“堆肥を使う=よいこと”と手放しで評価する向きも多い。 堆肥を使うと窒素過剰になりやすい  ところが、堆肥には窒素が大量に含まれているものが多い。有機物が醗酵し、いわゆる堆肥と言われる状態になるためには、窒素成分が必須であり、簡単に言えば窒素成分がある状態を作ってや […]
「よい農産物」とはどんな農産物か?

硝酸態窒素が増える問題の本質

さて、硝酸態窒素が人体の中でどのように亜硝酸に変化するのかがわかってきたのは、ここ20年ほどのことのようである。硝酸態窒素は問題であるとして取り上げられるようになった1940年代には、はっきりとわかっていなかったらしい。 硝酸態窒素の危険性についての学界の評価  この最近の研究成果や硝酸態窒素の危険性について詳細に書かれている書籍があるので、興味のある方は読んでいただきたい。 ※「硝酸塩は本当に危 […]
「よい農産物」とはどんな農産物か?

化学肥料を使う農産物の安全性

次に化学肥料について、農産物に与える影響について書いてみよう。 化学肥料を使っても植物が吸収するものは同じ  まず、第一に押さえておきたいのは、化学肥料を使用したからといって、農産物が人体に危険を及ぼすようになるような心配は全くないということだ。土壌中にある栄養分が天然由来や堆肥等であろうと、化学肥料であろうと、植物がある成分を吸収した場合、植物の体に入る成分は同じものであるということだ。  先に […]
「よい農産物」とはどんな農産物か?

「天然物なら安全」と考えるのは誤り

さて、木酢液の使用や流通は、上記のように条件付きながら法令上は問題ないのだとして、では、これを現実の安全性で考えた場合はどうなのだろうか。 登録農薬よりも安全とは考えられない  筆者の考えとしては、木酢液を食用・食品原料となる農産物に使用することには疑問がある。少なくとも、収穫物に直接散布するようなことは、避けたほうがよいと考えている。  木酢液は天然物由来ではあっても、その製造過程で各種の有機化 […]
「よい農産物」とはどんな農産物か?

特定農薬に指定されていない木酢液

リスクの考え方、農薬の一般的な説明と現在の日本の農産物の残留農薬の状況について説明してきたが、これらを危険・安全どちらと考えるか、仕事や生活に受け容れるかどうかの判断は、新幹線を利用するか利用しないかを考えるのと同じように(第2回参照)読者一人ひとりに委ねられている。 “農薬ならぬ農薬”木酢液をどう考えるか  ところで、ここで“農薬ならぬ農薬”についてお話しておきたい。すなわち、天然物由来の各種資 […]
「よい農産物」とはどんな農産物か?

市販農産物による健康被害の可能性は低い

また、残留農薬の基準を超えていると聞くと、あたかも農薬がベットリと付着しているイメージを抱くかもしれないが、そのイメージは修正する必要があるだろう。ポジティブリストに入っていない農薬の残留基準は一律に0.01ppmである。1ppmというのは100万分の1ということだから、0.01ppmとは1億分の1ということだ。  100gの農産物から100万分の1gの農薬が検出されると、残留農薬の基準を超えてい […]
「よい農産物」とはどんな農産物か?

「240万件のうち65件に残留」をどう評価するか

現在日本で市販されている農薬は、使用量、使用回数、使用方法、収穫までの日数による制限など、使用に際してのさまざまな事柄が細かく定められている。1作の中で定められた使用回数を超えて使用してはならないし、収穫日に近い日に使用する場合も、収穫までの日数によって使用できるか、できないかの制限がある。これら使用基準を守っていれば、残留基準を超えないという基準である。 農薬の残留基準は個別に厳密に定められてい […]