スーパーバイザーの役割と問題点(1)

チェーン・ビジネスでは、スーパーバイザーないしは店舗巡回指導員、地区担当員、フィールドマン、フィールドカウンセラー、プロパー、フィールドアドバイザー等と呼ばれる役割がある。この仕事の今日の一般的な状況と問題点を点検し、これからのあり方を考える。

小売業・外食業のスーパーバイザー

 スーパーバイザーとは、チェーン・ビジネスにおいて、チェーン傘下のいくつかの店舗を受け持ち、本部と店舗との間のビジネス関係を円滑化させる役割を持つ担当者のことを言う。

 名称はチェーンによって異なることもあり、おおむね以下のような呼称がある――スーパーバイザー、店舗巡回指導員、地区担当員、フィールドマン、フィールドカウンセラー、プロパー、フィールドアドバイザー等。

 いずれも、基本的な役割はほとんど同様で、店舗への訪問を定期的に継続して行い、基本的には本部の立場で上意下達を行うことで、間接的に店舗に対する支援を行う。

 ただし、顧客接点を「販売店」と呼びならわすタイプのチェーン・ビジネスでは、販売店の経営的分野により立ち入った内容の業務を担当することが多い。その代表例としては自動車業界が挙げられる。

 このシリーズでは、とくに外食産業やコンビニエンスストア(以下CVS)などのスーパーバイザー(以下SV)を中心に、その役割と問題点を整理する。

スーパーバイザーの業務は5C+1P

 SVが担当する業務を整理する際、よく「5C+1P」という言葉が用いられる。すなわち、以下のことを言う。

Communication(コミュニケーション)=本部の意思、方針、各種の情報の伝達と確認。

Consultation(コンサルテーション)=顧客接点に対する経営に関する相談や指導

Counseling(カウンセリング)=顧客接点の店長や経営者などの比較的人的な事象に対する相談に応じる。

Cordination(コーディネーション)=とくにチェーン本部とFCジー間のもろもろの事柄に関する調整機能。

Contorol(コントロール)=本部の規定等を遵守させるべく各種のチェックや状況の点検を行う。

Promotion(プロモーション)=本部の展開する販売関連のプロモーションやキャンペーンの顧客接点での実施状況のチェック。また、FCジーが独自に行う販売企画への相談や本部からの支援獲得。

FCではスーパーバイザーの役割は重い

 フランチャイズ・チェーン(以下FC)でのSVの役割は、直営チェーン(以下RC)のそれよりも重いと言える。と言うのは、FCの場合、FCパッケージに従って自己完結的にビジネスが進行しているがゆえに、逆に仲介役となるSVが重要になるからだ。

 FCパッケージの基本的な契約では、顧客接点に相当するFCジーの店頭は、チェーン本部が取り決めた一連の基準に厳格に従って標準化された内容に従って、商標、建築、内装、什器、器具、食器・容器等を使用する。定められた基準によって配送された商品に、店頭で簡単な加工を行う。これらによって、本部が企画した基準で、各店が同じように運営されるようなっている。

 そして、本部が“上流”、店舗(FCジー)が“下流”となる商流が構成されている。

 FC契約においては、このような本部が定める契約の完全な遂行が期待されており、これに同意したFCジーが実際の小売ビジネスを展開する。このため、契約の内容は外部の視点で見ると、一般にかなり一方的であり、対称的、互恵的、平等的に見えないものが多い。

 逆説的になるが、だからこそ、日々の運営を行う上では、この“上下の関係”を円滑に調整し、双方が共に目的とする売り上げ等を達成できるよう、潤滑油としての役割を担う人間=コーディネーターが必要となる。FCのSVは、その役割を担っていることになる。

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アンクル・アウル コンサルティング主宰 おくい・としふみ 1942年大阪府生まれ。65年大阪外国語大学中国語科卒業。同年トヨタ自動車販売(現トヨタ自動車)入社。中国、中近東、アフリカ諸国への輸出に携わる。80年初代北京事務所所長。90年ハーレーダビッドソンジャパン入社。91年~2008年同社社長。2009年アンクルアウルコンサルティングを立ち上げ、経営実績と経験を生かしたコンサルティング活動を展開中。著書に「アメリカ車はなぜ日本で売れないのか」(光文社)、「巨象に勝ったハーレーダビッドソンジャパンの信念」(丸善)、「ハーレーダビッドソン ジャパン実践営業革新」「日本発ハーレダビッドソンがめざした顧客との『絆』づくり」(ともにファーストプレス)などがある。 ●アンクル・アウル コンサルティング http://uncle-owl.jp/