販売店・特約店、販売網(2)

チェーン・ビジネスにおける業種・業態を区分する要因:15の整理
チェーン・ビジネスにおける業種・業態を区分する要因:15の整理
チェーン・ビジネスにおける業種・業態を区分する要因:15の整理
チェーン・ビジネスにおける業種・業態を区分する要因:15の整理

企業内・企業間であるべき連鎖・連携について考え直す連載。このシリーズで言う「チェーン・ビジネス」の範囲と、一般に行われている業種・業態分類の特徴を見ている。今回は、完成品を供給するメーカー(サプライヤー)が構築することが多いチェーンの形態について、特徴をまとめる。

顧客接点の自主性に依存的

 これら製造と販売の間の関係は基本的には友好的であるが、双方が相手のパートナーを十分理解し得ていないことも多く、製・販の間には抜き難い、見えない“壁””カーテン”が存在している。

 店舗の運営、ブランドの使用、共通するマーケティング政策の展開などについて、販売店はメーカー政策に従属せざるを得ない。これらの詳細は販売店契約書の中に事細かに規定されている。

 またメーカーはとくに、アフターセールスサービス(A/S)までを一貫するビジネス・システムを構築している。

 メーカー(サプライヤー)は販売店にA/Sの実践を強く求める。というのも、“A/Sの善し悪し”で、メーカーの販売台数の維持、新規顧客の創出などに大きな違いが出ることが多いためだ。

 ただし、メーカーはA/Sの実施については、基本的に販売店にほぼ全面的に依存せざるを得ない。そこで、販売店の自主性・主体的な活動が発揮されることを大いに期待しているが、単に旗を振っているだけではない。A/Sは販売店の中でもプロフィット・センターとして明確に位置づけて設計されており、実際に販売店の利益向上に大いに貢献する活動となっている。このビジネス・システムを、メーカーはバリュー・チェーンないしプロフィットバリューチェーンなどと呼称している。

 これらから考えると、顧客接点を「ショップ」「ストア」と呼ぶことの多い業界と比較して、「販売店」「特約店」「販売網」と呼ぶ業界のほうが、“顧客接点の自主性に依存的”であり、その分当然に販売店の主体性を尊重していると言える。メーカー(サプライヤー)は、販売店によるバリュー・チェーン活動の活性化を期待する立場だ。

農機具、家電業界にも見られる

 同様なチェーン・ビジネスの形態は農耕機具などの販売においても見られる。

 また、家電製品分野でも同様の形態が見られる。家電販売は、昨今は家電量販店をはじめとする多様な新しい流通型チェーンに顧客接点を拡大しているが、一方、従来からの中小零細の販売店になお一定の売り上げ比率を依存している。これらは地場の独立資本による店を集めて系列電器店と言われる店舗網を構築している。代表的な例は、パナソニックによる「パナソニックショップ」、東芝の「東芝ストアー」、三菱電機の「三菱電機ストアー」ソニーの「ソニーショップ」などだが、これらにもさまざまな変革の波が押し寄せているようだ。

 以上を総合すると、チェーン・ビジネスのうち、顧客接点を「販売店」「特約店」と呼ぶ業種には、以下の5つの特徴がある。

ア)メーカー(サプライヤー)と顧客接点との間には、基本販売店契約と個別売買契約の2つの契約が存在する。

イ)メーカー(サプライヤー)と顧客接点の両者は、基本的には互いに独立したビジネスの主体として行動・活動する。

ウ)最終製品の完成場所は、メーカー(サプライヤー)の工場である。

エ)メーカー(サプライヤー)は利益を含む仕切り価格を設定し、顧客接点は利益を含む小売価格を設定する。顧客接点が獲得した利益に応じて、メーカー(サプライヤー)がロイヤリティを設定する形態とは異なる。

オ)販売・消費の後のA/Sが重要である。一般的には、A/Sのプロセスで顧客接点が主体的に顧客価値を創造し、重要な収益源としている。

奥井俊史
About 奥井俊史 106 Articles
アンクル・アウル コンサルティング主宰 おくい・としふみ 1942年大阪府生まれ。65年大阪外国語大学中国語科卒業。同年トヨタ自動車販売(現トヨタ自動車)入社。中国、中近東、アフリカ諸国への輸出に携わる。80年初代北京事務所所長。90年ハーレーダビッドソンジャパン入社。91年~2008年同社社長。2009年アンクルアウルコンサルティングを立ち上げ、経営実績と経験を生かしたコンサルティング活動を展開中。著書に「アメリカ車はなぜ日本で売れないのか」(光文社)、「巨象に勝ったハーレーダビッドソンジャパンの信念」(丸善)、「ハーレーダビッドソン ジャパン実践営業革新」「日本発ハーレダビッドソンがめざした顧客との『絆』づくり」(ともにファーストプレス)などがある。 ●アンクル・アウル コンサルティング http://uncle-owl.jp/