業種・業態の分類(4)

チェーン・ビジネスにおける業種・業態を区分する要因:15の整理
チェーン・ビジネスにおける業種・業態を区分する要因:15の整理
チェーン・ビジネスにおける業種・業態を区分する要因:15の整理
チェーン・ビジネスにおける業種・業態を区分する要因:15の整理

企業内・企業間であるべき連鎖・連携について考え直す連載。このシリーズで言う「チェーン・ビジネス」の範囲と、一般に行われている業種・業態分類の特徴を見ている。今回は、商品・サービス提供後のサービスがあるかどうかによる区分を指摘する。

(6)アフターセールスサービス(A/S)の有無

 すでに例として取り上げたいくつかの業種・業態には、提供した商品・サービスなど“財”のアフターセールスサービス(A/S)を要するという共通する特性を持ったグループがある。これらは、直接的に提供した“財”のほかに、何らかの“付帯するサービスの提供”を行っている。

 その有無および重要度は、業種・業態を区分する上での重要なポイントになる。そこに視点を置くと、単に“モノ”を売る以上のつながりを顧客との間に築く業種・業態であることがわかる。

 たとえば、時計などでのちょっとしたねじの緩み、眼鏡のフレームの緩みや変形、ふちなし眼鏡のテグス切れなどの調整や修理がある。これらは、時計や眼鏡が“寿命”を迎えるまで行われる。

 また、住宅販売などでは建物の引き渡し後の10年保証はすでに一般化しており、ここでのA/Sは少なくとも10年以上の長期間にわたる。ちなみに、ハーレーの場合は50年持つと言われているし、なかにはジッポーのように“無料生涯保証”を標榜する商品・サービスもある。

 こうした商品・サービスは、そもそもA/Sが実現される環境がなければ、購入した“財”自体が使用不可能になることが多いという特徴がある。この点、いわゆる専門店が独自の強みを発揮できる分野と言える。

 このような業種・業態の店は、各業種ごとに専門的な協同組合を結成し、それが集合して日本専門店会連盟(日専連)を結成している。

 そして、このようにA/Sが必要となる商品・サービスを提供する業種・業態は、A/Sをさらに深め、“モノ”ではなく“コト”を提供する業種・業態になり得ることに注意したい。

 たとえばハーレーでは、オートバイという物理的な商品の保証・修理などのサービスに留まらず、“お客さまが楽しみのためにハーレーに乗る機会”の提供を重視し、そのサービスをシステムとして整備してきた。

 それには、ハーレーを楽しむのにふさわしい各種のグッズやアパレルの品揃えの強化や、ハーレーをテーマとした各種のイベントの開催、「ハーレー・オーナーズ・グループ」(HOG)の活動の支援などが含まれる。私の在任中のハーレーでは、これを「ライフスタイル・マーケティング」「イベント・マーケティング」として重視してきた。

 そして、その“コトの場”で多くの人々の出会いやコミュニティの形成を起こすこと自体をハーレーの場合の重要なA/Sと考え、それによってハーレーの顧客と販売台数を伸ばした。オートバイという“モノ”を販売するだけでなく、この“システム化したサービス”=“コト”も顧客に提供すべき“財”ととらえたのである。

 なお、このような商品・サービスのA/Sは、ブランドを超えて、ある一つのチェーンの枠を超えても行われている。時計、眼鏡の調整・修理は、最近は購入先ではない店でも無償修理を行うことが多くなっているし、住宅なら営繕専門の会社もある。そこを、自社がどうとらえるかも考慮する必要がある。

奥井俊史
About 奥井俊史 106 Articles
アンクル・アウル コンサルティング主宰 おくい・としふみ 1942年大阪府生まれ。65年大阪外国語大学中国語科卒業。同年トヨタ自動車販売(現トヨタ自動車)入社。中国、中近東、アフリカ諸国への輸出に携わる。80年初代北京事務所所長。90年ハーレーダビッドソンジャパン入社。91年~2008年同社社長。2009年アンクルアウルコンサルティングを立ち上げ、経営実績と経験を生かしたコンサルティング活動を展開中。著書に「アメリカ車はなぜ日本で売れないのか」(光文社)、「巨象に勝ったハーレーダビッドソンジャパンの信念」(丸善)、「ハーレーダビッドソン ジャパン実践営業革新」「日本発ハーレダビッドソンがめざした顧客との『絆』づくり」(ともにファーストプレス)などがある。 ●アンクル・アウル コンサルティング http://uncle-owl.jp/