米国のBSE疫学調査の最終報告

国立医薬品食品衛生研究所は、食品安全情報(微生物)No.17(2012.08.22)を発表した。USDA APHISは、今年4月米国で検出されたBSEについての最終報告を発表した。米国複数州のサルモネラのアウトブレイクの感染源がマスクメロンの一種である可能性が高いことがわかった。また米国では豚インフルエンザの感染者が増加している。アイルランドでは、今年上半期のベロ毒素産生性大腸菌感染届出数が増加しており、とくにO157以外の増加が見られる。

注目記事

【米国農務省動植物衛生検査局(USDA APHIS)】今年4月米国で検出されたBSEの疫学調査の最終報告

 米国農務省(USDA)は、2012年4月にカリフォルニア州でBSE検査陽性が確認された乳牛に関する疫学調査の最終報告書を発表した。これによると、米国での食品供給やヒトの健康へのリスクは認められず、長年にわたる米国の複合的な BSE 予防のシステムが現在でも有効であることが確認された。

【米国疾病予防管理センター(US CDC)】マスクメロンに関連したサルモネラのアウトブレイク

 米国疾病予防管理センター(US CDC)は、複数州にわたって発生しているサルモネラ(Salmonella Typhimurium)感染アウトブレイクの調査を行っている。これまでの調査の結果から、インディアナ州南西部で栽培されたカンタロープ(マスクメロンの一種)が本アウトブレイクの感染源である可能性が高いことが示唆されている。

【米国疾病予防管理センター(US CDC)】豚インフルエンザAに関する情報

 米国で豚インフルエンザ A(H3N2)ウイルス変異株(H3N2v)への感染患者が増加しており、米国疾病予防管理センター(US CDC)がH3N2vに関して一般的な情報および感染患者の更新情報を発表している。患者数情報は毎週金曜日に更新される。

【アイルランド保健サーベイランスセンター(HPSC Ireland)】ベロ毒素産生性大腸菌(VTEC)の届出数が著しく増加

 アイルランドでは、2012年上半期のベロ毒素産生性大腸菌(VTEC)感染届出数が2011年までの各年の同期と比べて著しく増加した。2012 年第 26 週の終わりまでの届出数は 211人で、2009~2011 年の同期の届出数 69~83 人と比較すると約 200%増加している。

 2012年は、O157 以外の血清群のVTEC(non-O157 VTEC)の感染の増加が特に顕著で、VTEC O26の感染が 111 人、それ以外のnon-O157 VTEC の感染患者が 38 人報告された。これらを 2011 年上半期のデータと比較すると、それぞれ 450%および 150%の増加となった。これに対してO157 VTECの届出数は、2009~2011 年の各上半期と比較して2012 年同期には8~69%の緩やかな増加が見られた。

(注目記事のまとめ:FoodWatchJapan編集部)

食品安全情報へのリンク

食品安全情報
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/index.html

食品安全情報(微生物)No.17(2012.08.22)
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/2012/foodinfo201217m.pdf

今号の目次

【米国農務省動植物衛生検査局(USDA APHIS)】
1. 2012年4月に米国で検出された牛海綿状脳症(BSE)罹患牛の疫学調査の最終報告書

【米国疾病予防管理センター(US CDC)】
1. カンタロープに関連した複数州にわたるサルモネラ(Salmonella Typhimurium)アウトブレイク
2. 豚インフルエンザA(H3N2)ウイルス変異株(H3N2v)に関する情報(患者数更新)
3. 生きた家禽類に関連して複数州複数州にわたって発生しているサルモネラ(Salmonella Infantis、S. Newport、S. Lille)感染アウトブレイク(8月20日付更新情報)
4. 小型のカメに関連して複数州にわたって発生している6件のサルモネラ感染アウトブレイク(8月8日付更新情報)

【欧州委員会健康・消費者保護総局(EC DG-SANCO)】
1. 食品および飼料に関する早期警告システム(RASFF:Rapid Alert System for Food and Feed)
2. 欧州連合の取組みによる食品の安全確保
3. 食品および飼料に関する早期警告システム(RASFF)の役割および成果に関するQ&A

【英国食品基準庁(UK FSA)】
1. 英国食品基準庁(UK FSA)が発表した最新の各種調査結果の概要
2. 分子生物学の新技術を利用した食品由来疾患の原因特定

【アイルランド保健サーベイランスセンター(HPSC Ireland)】
1. ベロ毒素産生性大腸菌(VTEC)の届出数が2012年に著しく増加

【ドイツ連邦リスクアセスメント研究所(BfR)】
1. 動物性油脂の反芻動物への給餌の牛海綿状脳症(BSE)リスクを再評価

【フィンランド食品安全局(Evira)】
1. フィンランドのVaasa市と東部地域で発生したリステリア症アウトブレイク:感染源を調査中

【ProMed mail】
1. コレラ、下痢、赤痢最新情報