USDAがO157高排出ウシの研究/汚染管理に新たな可能性

国立医薬品食品衛生研究所は、食品安全情報(微生物)No.12(2014.06.11)を発表した。

注目記事

【USDA ARS】O157高排出ウシの研究

 米国農務省農業研究局(USDA ARS: United States Department of Agriculture, Agricultural Research Service)の研究によると、放牧牛および肥育農場で給餌されているウシの平均約2%が大腸菌O157:H7などの病原菌を糞便中に高濃度に排出する高排出(supershedder)ウシである可能性がある。

 高排出ウシでは消化器系のあらゆる部位に大腸菌O157がコロニーを作る可能性があることを初めて示した。食肉加工・包装施設の管理者は、施設の衛生手順の評価の際にこの事実を考慮すべきである。

 研究チームは、高排出されるのは特定のO157株に限定されるわけではないということも初めて確認した。この結果は、高排出を抑えるための戦略として特定の1種類もしくは複数の株に対象を限定すべきであるという考えを否定するものである。

 今回のUSDA ARSの研究から、大腸菌O157の排出を抑制する新しい効果的な戦略のための科学的基礎が得られる可能性がある。

 研究チームは、ウシの管理戦略がO157の拡散抑制に成功していると見なされるためには、O157を排出するウシが常に介入対象のウシ全体の20%以下であり、かつ高排出のウシがいないという2つの条件を満たす必要があるとしている。

【US FDA 他】発芽チアパウダーにサルモネラ汚染

 米国食品医薬品局(US FDA: US Food and Drug Administration)によると、Health Matters America社は、発芽チア(chia)種子パウダーを含有する製品「Organic Traditions Sprouted Chia Seed Powder」および「Organic Traditions Sprouted Chia/Flax Seed Powder」をサルモネラ汚染の可能性があるとして自主回収している。

 またHealth Matters America社から原料供給を受けているNavitas Naturals社も、有機発芽チア(chia)パウダーを使用した一部の製品にサルモネラ汚染による健康リスクの可能性があるとして自主回収を行っている。

 米国疾病予防管理センター(US CDC: Centers for Disease Control and Prevention)はカナダ公衆衛生局(PHAC)との共同調査により、カナダのサルモネラ(Salmonella Hartford)アウトブレイク株とPFGE(細菌の遺伝子の相違の有無を調べる検査)パターンが一致する株に感染した患者5人が米国5州で特定された。

 発芽チア種子パウダーは、乾燥させた発芽チア種子を挽いて粉末状にした製品である。

(注目記事のまとめ:FoodWatchJapan編集部)

食品安全情報へのリンク

食品安全情報
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/index.html

食品安全情報(微生物)No.12(2014.06.11)
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/2014/foodinfo201412m.pdf

今号の目次

【米国食品医薬品局(US FDA)】
1. ニューヨーク州の食品会社がサルモネラ汚染の可能性がある発芽チア(chia)種子および亜麻(flax)種子パウダー製品を回収(患者発生)
2. Navitas Naturals社が有機発芽チア種子パウダー製品を自主回収(患者発生)(2014年5月28日、6月6日付情報)

【米国農務省農業研究局(USDA ARS)】
1. 大腸菌O157:H7汚染における高排出(supershedder)ウシの役割に関する詳細な研究

【米国疾病予防管理センター(US CDC)】
1. 1-1. 有機発芽チアパウダーに関連して複数州にわたり発生しているサルモネラ(Salmonella NewportおよびSalmonella Hartford)感染アウトブレイク(2014年6月3日付更新情報)
1-2. 有機発芽チアパウダーに関連して複数州にわたり発生しているサルモネラ(Salmonella Newport)感染アウトブレイク(初発情報)
2. テキサス州の死亡患者に変異型クロイツフェルトヤコブ病の確定診断
3. 米国における食品由来ノロウイルスアウトブレイク(2009~2012年)

【カナダ公衆衛生局(PHAC)】
1. 公衆衛生通知:発芽チア(chia)種子パウダーに関連して発生しているサルモネラ感染アウトブレイク

【カナダ食品検査庁(CFIA)】
1. 食品回収警報 ― サルモネラ汚染の可能性によりチア(chia)種子または発芽チア種子パウダーを含有する各種製品を回収(患者発生)(2014年5月30日、6月3日、4日、6日、7日付情報)

【欧州委員会健康・消費者保護総局(EC DG-SANCO)】
1. 食品および飼料に関する早期警告システム(RASFF:Rapid Alert System for Food and Feed)

【英国食品基準庁(UK FSA)】
1. ブタの認可とちく場における公的管理方法の変更に関する評価研究

【ドイツ連邦リスクアセスメント研究所(BfR)】
1. 生乳による細菌感染は煮沸で予防可能
2. 第5回ドイツ連邦リスクアセスメント研究所利害関係者会議「食品安全とグローバル化 - チャレンジとチャンス」

【ProMed mail】
1. コレラ、下痢、赤痢最新情報