学校での胃腸疾患予防

国立医薬品食品衛生研究所は、食品安全情報(微生物)No.24(2013.11.27)を発表した。

注目記事

【WHO】世界的視点からみたカンピロバクター症

 世界保健機関(WHO)は国連食糧農業機関(FAO)および国際獣疫事務局(OIE)と合同で、世界的視点からみたカンピロバクター症に関する専門家会議「The Global View of Campylobacteriosis」をオランダUtrechtで開催した。

 本会議の目的は以下の通り。

・過去10年間に進展がみられたカンピロバクター症に関する理解と管理対策を振り返り、成功を収めた取り組みや得られた教訓を注視し、農場から食卓までのカンピロバクター管理対策の実施およびカンピロバクターによる健康実被害や健康への影響の低減に際しての課題を特定する。

・高所得国および中・低所得国(LMIC:low- and middle-income countries)双方の背景を考慮しつつ、食品・水由来カンピロバクター症や抗菌剤耐性などの分野横断的な問題について検討する。

・フードチェーンにおけるカンピロバクター汚染や食品由来カンピロバクター症の実被害を低減するために、WHO、FAOおよびOIEがどのような取り組みを実施できるかについて提言する。

【ECDC】学校における胃腸疾患を予防するツール

 欧州疾病予防管理センター(ECDC)は、学校における胃腸疾患の予防を支援するためにコミュニケーションツールキットを開発した。このツールキットは、学校当局や学校コミュニティの協力のもと、保健機関が予防策の実施やコミュニケーション施策の策定に利用できる、実用的な情報やテンプレート素材を提供している。

 学校は、児童、職員およびその他の学校関係者に手洗いなどの衛生慣行を促すことにより、感染症予防の効果的な手段を教える理想的な環境である。

 このツールキットには、重要な予防策のリスト、主要なメッセージおよびスローガンが含まれており、さらにイメージ図、プレゼンテーション資料、ポスターなどのビジュアル関係の素材が収録されている。また、学校当局および学校コミュニティによる胃腸疾患の予防策の立案、実施および評価を公衆衛生当局が支援する際に参考となる主要な手順を紹介したハンドブックも提供している。

【Evira】猟犬との直接接触によるエキノコックス感染の可能性

 フィンランド食品安全局(Evira: Finnish Food Safety Authority)の報告。

 エキノコックス条虫(Echinococcus canadensis)への感染は、ヘラジカ(moose)を狩猟場で解体する際に内臓を慎重に処分することで防ぐことができる。しかし、感染したイヌの毛などに虫卵が付着している場合、イヌに接触した後、卵が手から口へと運ばれることでヒトがエキノコックスに感染する可能性がある。

 イヌやヒトへのエキノコックスの感染を防ぐ最善の方法は、解体後のすべてのヘラジカの肺を狩猟場で慎重に処分し、イヌやその他の肉食動物に摂取させないようにすることである。

(注目記事のまとめ:FoodWatchJapan編集部)

食品安全情報へのリンク

食品安全情報
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/index.html

食品安全情報(微生物)No.24(2013.11.27)
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/2013/foodinfo201324m.pdf

今号の目次

【世界保健機関(WHO)】
1. メキシコのコレラの状況(2013年11月25日、13日付更新情報)
2. 世界的視点からみたカンピロバクター症:専門家会議の報告書

【米国農務省経済研究局(USDA ERS)】
1. 食品由来疾患による疾病費用について最近発表された推定額の検証

【米国疾病予防管理センター(US CDC)】
1. そのまま喫食可能なサラダに関連して複数州にわたり発生している志賀毒素産生性大腸菌O157:H7感染アウトブレイク(2013年11月21日付更新情報)
2. Foster Farmsブランドの鶏肉製品に関連して複数州にわたり発生している多剤耐性サルモネラ(Salmonella Heidelberg)感染アウトブレイク(2013年11月19日付更新情報)
3. 米国で2013年に発生したサイクロスポラ症アウトブレイク(最終更新)
4. 実地調査報告:2013年6~8月に米国で発生したサイクロスポラ症アウトブレイク
5. トルコからの輸入ザクロに関連して複数州にわたり発生したA型肝炎アウトブレイク(最終更新)

【欧州疾病予防管理センター(ECDC)】
1. 最新疫学情報:メキシコのコレラ(2013年11月14日付更新)
2. 学校における胃腸疾患を予防するための新しいコミュニケーションツールキット

【欧州委員会健康・消費者保護総局(EC DG-SANCO)】
1. 食品および飼料に関する早期警告システム(RASFF:Rapid Alert System for Food and Feed)

【デンマーク国立血清学研究所(SSI)】
1. デンマーク臨床微生物検査データベースの成功

【フィンランド食品安全局(Evira)】
1. 狩猟用のイヌとの直接接触によりヒトがエキノコックス条虫に感染する可能性がある

【ProMed mail】
1. コレラ、下痢、赤痢最新情報