FDAのコメのヒ素濃度データ

国立医薬品食品衛生研究所は、食品安全情報(化学物質)No.19(2012.09.19)を発表した。FDAはコメのヒソ濃度についての大規模なデータ収集を行っている。FSANZは食品照射の概説と実施状況を発表した。FSA、FSAIは、チェコ共和国での密造酒によるメタノール中毒事故を伝えている。

注目記事

【FDA】FDAはコメおよびコメ製品のヒ素濃度の予備的データを発表

 米国食品医薬品庁(FDA)は、食品の安全性を監視し汚染物質に対応するための積極的取り組みの一環として、ある種のコメおよびコメ製品のヒ素濃度についての予備的データを発表した。このデータ収集は大規模収集の一部であり、米国で市販されていた約200の検体のものである。2012年末までに、さらに1,000検体の収集・解析を完了する予定である。

※ポイント:大規模調査を行っていることや詳細なQ&Aを公開していることからもわかるように、FDAはコメおよびコメ製品中のヒ素については解明すべき重要な問題であると認識しています。今回のFDAの公表で着目すべきは、これまで総ヒ素や有機・無機といったおおまかな分類でしか測定されないことが多かったヒ素の化学型を同定したデータがまとまって(最終的には合計1,200検体の予定)出されていることです。

 コメのヒ素の問題を他の食品中汚染物質よりも難しくしているのは、コメが主食となること、ヒ素が土壌や地下水に含まれる環境由来のため排除しにくいということです。

【FSANZ】食品照射

 食品照射は、食品の安全性、食品の保存あるいは検疫のために50カ国以上で使用されている処理方法の1つである。例として、ハーブおよびスパイスを照射することにより化学物質を使用せずに発芽の抑制および害虫の殺虫が可能である。あるいは他国から食品とともに入ってくる望ましくない害虫の殺虫に照射が使用されている。

 オーストラリア・ニュージーランド食品基準局(FSANZ)は、検疫のための照射対象作物の新規指定についての意見募集とあわせて、食品への照射に関する概説およびオーストラリア・ニュージーランドでの照射使用の状況などを示した。

※ポイント:日本では一部のジャガイモの発芽抑制のみに許可されている食品照射ですが、外国では食品安全確保のため、とくにカビ等が発生しやすいハーブおよびスパイスの有用な処理方法の1つとして広く使用されています。

 食品照射による副生成物による健康影響はどうであるかといった議論もされているようですが、FSANZは、副生成物の大部分は照射特有ではなく天然に存在したり加熱によっても生じること、照射特有に生成すると言われてきた2-アルキルシクロブタノン(2-ACBs)についても一部の食品には天然に存在すること、科学的レビューに基づき照射食品に存在する2-ACBは消費者の健康リスクにはならないことを説明しています。

【FSA、FSAI】チェコ共和国における密造酒によるメタノール中毒事故

 英国食品基準庁(FSA)およびアイルランド食品安全局(FSAI)は、チェコ共和国において密造酒によるメタノール中毒事故が発生し、チェコ保健省による緊急措置としてアルコール含量が20%以上の全酒類の販売が禁止されたと発表した。

※ポイント:本事件はチェコ国内に限られているようですが、海外ではメタノール中毒は今回に限らず時々報告されています。

(安全情報部第三室)

食品安全情報へのリンク

食品安全情報
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/index.html

食品安全情報(化学物質)No.20(2012.10.03)
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/2012/foodinfo201220c.pdf

今号の目次

【EC】
1. EUは認可された香料のリストを採択
2. 食品獣医局(FVO)査察報告書:タイ、チリ、アイルランド
3. フードチェーン及び動物衛生に関する常任委員会(SCFCAH)(2012年9月27-28日開催)
4. 食品及び飼料に関する緊急警告システム(RASFF)

【EFSA】
1. ミツバチの健康:農薬とその他の要因の相互作用
2. 農薬のミツバチ(西洋ミツバチ、マルハナバチ、孤立性ハチ)へのリスク評価について意見募集
3. 遺伝子組換え関連
4. 健康強調表示関連
5. 飼料添加物関連
6. 新しいEU香料リストがEFSAの評価で可能になった
7. 内分泌攪乱物質:EFSAは2013年3月に科学的意見を発表

【FSA】
1. FSAはチェコのスピリッツの摂取に警告
2. スコットランドの食品サーベイランス報告2011発表
3. FSAの科学の利用状況についての報告書:主任科学者年次報告書

【NHS】
1. Behind the Headlines:よく使われているBPAについての流産の懸念

【ANSES】
1. ANSESはビスフェノールAを生殖への有害物質としてより厳しいEU分類に含めることを提案

【FSAI】
1. チェコ共和国への渡航者に向けた助言:メタノール中毒事故

【FDA】
1. FDAはコメ及びコメ製品のヒ素濃度の予備的データを発表
2. Mojo Nights及び Mojo Nights for Her:リコール 表示されていない医薬品成分
3. 警告文書(2012年9月18日、25日公表分)

【USDA】
1. 新しいオンラインツールは消費者が食品安全上の懸念を報告するのをより簡単にする

【FSANZ】
1. 食品照射
2. ファクトシート:キャノーラ油
3. 食品基準通知
4. 食品基準の微少修正に意見募集

【APVMA】
1. 農業獣医規制機関はジウロンのレビュー最終化を提案
2. ジメトエート

【香港政府ニュース】
1. 食品7検体が安全性検査で不合格

【KFDA】
1. 調理中、自然に発生する有害物質の低減化方法を提供!
2. 日本の原発関連食品医薬品安全庁の対応と管理動向
3. 種子の種類別安全な摂取のためのガイドライン提供
4. 海外インターネットサイトの販売商品の購入に注意!!
5. 中秋節を迎え“健康機能食品”正しい購入要領

【HSA】
1. HSAはシンガポールでのベルベリン含有漢方薬の販売を2013年1月1日から許可

【その他】
・食品安全関係情報(食品安全委員会)から
・Caen 大学Gilles-Eric SéraliniらによるGMトウモロコシNK603研究について