食品安全情報(化学物質)No.04(2012.02.22)

国立医薬品食品衛生研究所が月2回発表している「食品安全情報」(化学物質)。ドイツではヨウ素欠乏予防が取り組まれているが、日本ではむしろ過剰摂取が問題になる地域であることに注意。米国でオーガニック玄米シロップを含む製品からのヒ素検出が発表され、FDAが声明を発表している。米国国家毒性プログラム(NTP)は、イチョウ抽出物についてファクトシートを発表。リスクがある半面、有効性を示す試験結果はない。

注目記事

【BfR】ヨウ素摂取とヨウ素欠乏予防についてのQ&A

 ドイツ連邦リスクアセスメント研究所(BfR)が、ヨウ素の摂取に関するQ&Aを発表した。

※ポイント:ヨウ素は甲状腺ホルモンを作るのに必要な微量栄養素です。ヨウ素の摂取状況は国や地域によって大きく異なり、本号でご紹介したドイツは摂取量が不足しがちな地域のため国レベルで塩へのヨウ素添加などの対策が取られています。塩へのヨウ素添加は、ドイツだけでなく他の欧州諸国やオーストラリアなどでも行われています。

 一方、日本は過剰摂取が問題になる地域です。ヨウ素は昆布などの海藻類に多く含まれていて、和風だしなどをよく使う日本では日常的にヨウ素を摂取しているためです。ですから、日本ではドイツのように塩へのヨウ素添加といった対策は必要ありません。

 食品関連の対策は、他国がやっているから真似して自分たちも同じようにやるというのではなく、先に自国の状況をよく把握することが大切ということです。

【FDA】玄米シロップのヒ素についてのFDAの声明

 米国では、オーガニック玄米シロップを含む製品からヒ素が検出されたとの研究結果が発表されて話題になっていることから、FDAが声明を発表した。

※ポイント:乳児用製品が問題になっていますが、発端となった研究で測定したのはオーガニック玄米シロップを使用している稀少製品で、一般的に販売されている製品ではないことに注意してください。ただし、コメそのものについては、主食にもなり、ヒ素を蓄積しやすい作物で、しかもヒ素が天然由来なので除去しにくいという問題を抱えています。

【NTP】ファクトシート:イチョウ

 米国国家毒性プログラム(NTP)は、イチョウ(Ginkgo biloba)抽出物についてQ&A形式のファクトシートを発表した。

※ポイント:NTPは、長期の使用によりラット及びマウスで肝臓や甲状腺のがんの発生が見られたことに加えて、イチョウが脳の機能や記憶を改善させることについては臨床試験で有効性が見られていないこと、また他の薬物と相互作用があることも強調しています。

食品安全情報へのリンク

「食品安全情報」
http://www.nihs.go.jp/hse/food-info/foodinfonews/index.html
食品安全情報(化学物質)No.04(2012.02.22)
http://www.nihs.go.jp/hse/food-info/foodinfonews/2012/foodinfo201204c.pdf

今号の目次

【EC】
1. 消費者向けニュースレター:食品の健康強調表示
2. 食品獣医局(FVO)視察報告書:中国、ロシア、オーストリア
3. 食品及び飼料に関する緊急警告システム(RASFF)

【EFSA】
1. タンパク質の食事摂取基準値についての科学的意見
2. 昆虫耐性除草剤耐性遺伝子組換え大豆MON 87701 × MON 89788の食品及び飼料としての使用、輸入、加工のための販売申請についての科学的意見
3. シスジェネシスとイントラジェネシスにより開発された植物の安全性評価についての科学的意見
4. 食品と接触する物質として使用される物質の安全性評価
5. 飼料添加物に関する科学的意見
6. 香料グループ評価

【FSA】
1. アレルギー神話撲滅ツール発表
2. カイアシ類油に意見募集
3. Dalgety湾の水産物検査
4. FSAはカニの身調査の入札者を募集

【HSE】
1. クロルピクリンの非承認により製品は市場から取り下げられる

【BfR】
1. 食品添加物としてのナタマイシンの適用分野は拡大すべきではない
2. ヨウ素摂取とヨウ素欠乏予防についてのQ&A
3. 天然および合成ゴムでできた3才以下の子ども用のおもちゃからのN-ニトロソアミンの放出は可能な限り低くすべきである
4. おもちゃに検出されるDPHP:BfRは可塑剤のリスクを評価

【RIVM】
1. 持続可能な作物保護についての政府政策文書の評価:食の安全サブプロジェクト

【FDA】
1. オレンジジュース製品とカルベンダジム:ジュース製品協会へのFDA文書の補遺
2. 玄米シロップのヒ素についてのFDAの声明
3. ダイオキシンと食品安全についてのQ&A
4. 警告文書(2012年2月7日、14日公表分)
5. 消費者向け情報

【NTP】
1. ファクトシート:イチョウ

【EPA】
1. EPAはダイオキシンの科学評価を更新/ダイオキシンの大気中排出量は1980年代から90%減少

【CDC】
1. CDCの研究は米国白人成人の血中トランス脂肪酸濃度は減少したことを見いだした

【CFIA】
1. フェヌグリークの葉の束に毒草Senecio vulgaris(ノボロギク)が混入している可能性

【FSANZ】
1. ファクトシート:スポーツ食品
2. 2002年以前のビンテージワインについて
3. 食品基準通知
4. 栄養、健康および関連強調表示基準案について意見募集

【APVMA】
1. 動物へのBlack Salveの使用
2. ロシア:テトラサイクリン抗生物質のとさつまでの間隔を変更

【NZFSA】
1. パンのヨウ素添加後のニュージーランドの子どもたちの食事からのヨウ素摂取

【香港政府ニュース】
1. 研究は地元食品のヒ素濃度を明らかにする

【KFDA】
1. 国内流通農産物、残留農薬安全!食品医薬品安全庁、2011年に流通農産物の残留農薬実態調査の結果を発表
2. 食生活の変化で加工食品の輸入は増加、農林水産物は減少
3. 台所合成樹脂食器、安心して使用してください!京仁地方食品医薬品安全庁

【その他】
・食品安全関係情報(食品安全委員会)から

登田美桜
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国立医薬品食品衛生研究所安全情報部第三室主任研究官 とだ・みおう 農学博士。国立医薬品食品衛生研究所は、医薬品、食品、その他生活環境中に存在する物質について、品質、安全性、有効性を評価するための試験、研究、調査を行う機関。 安全情報部の「食品安全情報」は、食品の安全性に関する国際機関や各国公的機関等の最新情報を伝える。