プラスチックより微生物対策

国立医薬品食品衛生研究所は、食品安全情報(化学物質)No.18(2019.09.04)を発表した。

注目記事

<注目記事>

【WHO】WHOはマイクロプラスチックにさらなる研究とプラスチック汚染対策を要請

 世界保健機関(WHO)は、飲料水中のマイクロプラスチックに関して現在入手できる研究を解析し、150マイクロメートル以上の飲料水中マイクロプラスチックは人体に吸収されそうになく、より小さな粒子の取り込みも限定的と予想されると発表した。

 マイクロプラスチックへの暴露とヒト健康への影響をより正確に評価するためには、さらなる研究が必要だとしている。また環境保護とヒトでの暴露を減らすためにプラスチック汚染の削減を要請した。

 ただし、最優先事項はヒトの健康にリスクとなる病原性微生物と化学物質を飲料水から排除することであると強調し、そのための廃水及び飲料水処理システムがマイクロプラスチック排除にも有効だとしている。

【BfR】ラボでのポリスチレンマイクロプラスチックによる腸損傷のエビデンスはない

 ドイツ連邦リスクアセスメント研究所(BfR)は、ヒト腸上皮細胞株(in vitro)とマウス(in vivo)の研究をもとに、ポリスチレン(PS)のマイクロプラスチック粒子により引き起こされる酸化ストレスや炎症の兆候のような腸組織の損傷のエビデンスは何もないことを発見した。PSは世界中で最も広く使用されるプラスチックの一つである。

※ポイント:WHOがマイクロプラスチックの汚染と健康影響に関する研究の実施を推奨しています。とくに、測定法の開発、発生源と汚染実態、低減のための処理工程に関する研究です。BfRもデータ不足を強調し、さらなる研究が必要だと述べています。

 現時点で、経口摂取によるリスクは小さいだろうと考えられますが、環境中のマイクロプラスチックを測定する標準法さえ確立されていないようなので、結論を出すにはしばらく時間がかかりそうです。それと、WHOが、飲料水についての最優先事項は病原性微生物と有害な化学物質の排除であると指摘していることは留意すべきだと思います。

【EFSA】農薬関連:有効成分クロルピリホス-メチルの農薬ピアレビューとの関連でヒト健康評価の入手可能な結果に関する声明

 2019年4月1〜5日に開催された哺乳類の毒性の農薬ピアレビュー専門家会議を受け、有効成分クロルピリホス-メチルについて認可更新の基準を満たすのか検討した。

 クロルピリホス-メチルに関する遺伝毒性データは懸念を生じるものではないが、クロルピリホスの遺伝毒性の可能性が不明なのと同様に、情報不足によりクロルピリホスメチルの遺伝毒性の可能性についても不明である。発達神経毒性についても決定的な結論は出せない。そのため毒性参照値を設定できず、リスク評価を実施できなかったことから、クロルピリホスと同様に、保守的に考え、認可基準には適合しないと考えられる。

※ポイント:EFSAがクロルピリホスとクロルピリホス-メチルの認可更新に関連した科学的な評価を行っています。その途中で、両方とも認可基準には適合しないと考えられるという声明を出しました(クロルピリホスについては食品安全情報(化学物質)2019年16号で紹介)。

 ピアレビューの最終意見とその後のECの最終判断によりますが、今回の声明からすると、認可が更新されないまたは使用が限定される可能性が出てきました。

(安全情報部第三室)

食品安全情報へのリンク

食品安全情報
http://www.nihs.go.jp/hse/food-info/foodinfonews/index.html
食品安全情報(化学物質)No.18(2019.09.04)
http://www.nihs.go.jp/hse/food-info/foodinfonews/2019/foodinfo201918c.pdf

今号の目次

【WHO】
1. WHOはマイクロプラスチックにさらなる研究とプラスチック汚染対策を要請
2. 脆弱なシステムと資金不足が世界の最も貧しい国々の飲料水と衛生を脅かしている
【FAO】
1. FAOはより良い食糧安全保障のために養殖の遺伝的改良の大きな可能性を強調
2. アフリカ諸国は日本の知識と健康的な食品や食習慣の文化からより多くの利益を得られる
3. Codex
【EC】
1. 査察報告書
2. 食品及び飼料に関する緊急警告システム(RASFF)
【EFSA】
1. 農薬関連
【FSS】
1. FSSの推奨:外食はより健康的なものにするべきである
【DHSC】
1. 政府による病院食レビュー発表
【HSE】
1. 食品中残留農薬:2018年四半期ごとのモニタリング結果
【NHS】
1. Behind the Headlines
【ASA】
1. ASA裁定
【BfR】
1. 消費者製品のPAH濃度は可能な限り減らすべきである
2. エネルギードリンクの過剰摂取は子どもや青少年の健康リスクを増やす
3. ラテンアメリカにおける食品安全:鍵となる地域性とグローバルチャレンジ
4. BfRはEuroMixプロジェクトで物質混合物の健康リスク評価の改善に寄与する
5. 卵の前は何?植物でできた世界最大の鶏が答えを知っている
6. 植物保護製品―利用者の健康リスクはどのように評価されている?
7. ラボでのポリスチレンマイクロプラスチックによる腸損傷のエビデンスはない
【DSB】
1. 新興食品安全リスク
【ANSES】
1. SDHI:ANSESは2019年1月公表の意見から開始された作業についての最新情報を提供する
【FSAI】
1. 持続可能な食糧供給には科学と良い規制が必要不可欠
【FDA】
1. FDAはある種の栄養素の単位を栄養成分表示及びサプリメント表示に変換するための事業者向けガイダンスを提供
2. FDAはメニュー表示の履行に関するファクトシートを発表
3. 熱帯低気圧Dorianによる洪水に影響された地域の食品生産者向けリソース
4. FDAは食品の同定基準の近代化を議論するための公開会合を発表
5. FDAは食品と化粧品の異物混入及び意図的異物混入を防止するための最善の実施について企業に向けて再度注意喚起
6. 水産物の安全性更新
7. 企業向けガイド:香料を添加したクランベリー製品に関する方針
8. 警告文書
【USDA】
1. Heatherfield Foods社がポークソーセージ製品を不正表示でリコール
【FTC】
1. FTCは詐欺的に宣伝広告されていた「Nobetes」糖尿病治療サプリメントを購入した消費者に返金
【FSANZ】
1. 食品基準ニュース 174号(イチゴ異物混入事件)
2. 食品基準通知
【TGA】
1. パフォーマンス向上及び見た目をよくするための医薬品
2. 医薬品広告で求められる表示義務のある情報
【MPI】
1. ニュージーランド食品安全局は戦略案に意見募集
【香港政府ニュース】
1. 食品安全センターは食品中のステリグマトシスチンのリスク評価研究結果を発表
2. メカジキのサシミに基準値超過の水銀が検出された
3. 生鮮牛肉に二酸化硫黄が検出された
4. 違反情報
【MFDS】
1.日本産輸入食品の放射能検査の結果
2.日本の輸出規制対応、食品医薬品安全処が共にします!
3. 生活の中の重金属の摂取を減らす方法
4. 回収措置
【HSA】
1. HSAは他国で発見された異物混入の健康製品に関する情報を更新(2019年5-6月)
【FSSAI】
1. メディアコーナー
【その他】
・食品安全関係情報(食品安全委員会)から
・(EurekAlert)冷蔵庫の食品の多くがそのままダメになる