トランス脂肪酸WHO排除へ

国立医薬品食品衛生研究所は、食品安全情報(化学物質)No.11(2018.05.23)を発表した。

注目記事

【WHO】工業的に生産されるトランス脂肪酸を世界のフードサプライから排除する方針を発表

 WHOは、工業的に生産されるトランス脂肪酸を世界のフードサプライから段階的に排除するためのガイド「REPLACE」を発表した。これは6つの戦略的行動で構成される。さらに成人及び子供の飽和脂肪酸とトランス脂肪酸の摂取に関するガイドラインを発表し、パブリックコメントを募集している。

※ポイント:WHOは、飽和脂肪酸の摂取は総エネルギー摂取量の10%未満、トランス脂肪酸の摂取は1%未満にすることを軸に、それより多く摂取している場合には減らすことを強く薦めています。一方、すでに少ない場合には摂取量が増えないよう提案しています。このガイドラインが最終版となれば、その勧告に準じて各国の公衆衛生の担当機関が対応していくことになるでしょう。

 日本人のトランス脂肪酸の摂取については内閣府食品安全委員会が2012年に評価書を公表しています。評価では、脂質に偏った食事をしている一部の人ではWHO勧告値を上回る場合があるが、大多数の人では下回っており通常の食生活では健康への影響は小さいと考えられると結論されています。

※参考:食品に含まれるトランス脂肪酸(内閣府食品安全委員会)
http://www.fsc.go.jp/fsciis/evaluationDocument/show/kya20120308001

【FDA】FDAは食品中の部分水素添加油(PHOs)のある使用に関して遵守日を延期:PHOsのある使用に関する申請を拒否

 米国医薬品食品局(FDA)は、2015年6月17日に部分水素添加油(PHOs)の食品への使用についてGRAS(一般的に安全と認められる)に該当しないとの最終決定を下した。その遵守日を2018年6月18日に設定していたが、製品の流通については遵守日を延期すると発表した。また、全米食品製造業者協会(GMA)が提出したPHOsの限定使用に関する食品添加物申請について、FDAはその使用について安全性が確保できるという十分な根拠が示されていないとして却下し、その申請された限定使用についての遵守日を発表した。

※ポイント:PHOsは製造工程で生じたトランス脂肪酸を含むのでGRASには該当せず、遵守日以降に食品の製造にPHOsを使用したい場合には食品添加物としての申請が必要になります。その遵守日が、製造期限については当初の決定を変更せず、流通期限については遵守日以前に製造された製品の賞味期限が切れずに流通がしばらく続く可能性があるとして18カ月延長されました。その他、GMAが申請した食品添加物申請をFDAが却下したことにより、食品製造業者は代替品を見つけなければならなくなり、その組成変更が間に合わないということで特別に遵守日が延期されました。

 GMAが申請している使用条件は量もそれなりに多く、FDAの返答を見ても認可を取るのは相当厳しいと思います。今回の食品添加物申請は、PHOsの使用に特化したもので、通常の新規申請とは異なります。FDAは「食品添加物の使用が安全であるというのは、適任の科学的専門家からみて、意図した使用条件下で有害ではないという合理的な確実性があることだ」とした上で、今回については、申請した条件の使用でヒトに食べさせた試験や観察研究をもとに安全であることの科学的根拠を提供する必要があると述べています。

(安全情報部第三室)

食品安全情報へのリンク

食品安全情報
http://www.nihs.go.jp/hse/food-info/foodinfonews/index.html
食品安全情報(化学物質)No.11(2018.05.23)
http://www.nihs.go.jp/hse/food-info/foodinfonews/2018/foodinfo201811c.pdf

今号の目次

【WHO】
1. WHOは、工業的に生産されるトランス脂肪酸を世界のフードサプライから排除する方針を発表
2. IARC運営評議会は新しい長官を選出

【FAO】
1. 世界の食品貿易が栄養にとって良くなるように「大きく考えよう」

【EC】
1. 健康促進と疾患予防の知の入り口
2. 査察報告書(オランダ、インド)
3. 食品及び飼料に関する緊急警告システム(RASFF)

【EFSA】
1. 食品摂取データの完成に向けた大きな一歩
2. フィプロニル:フォローアップモニタリングの結果発表
3. 不確実性を伝えるための青写真―EFSAのアプローチのレビュー
4. 神経毒性試験の代替法についての文献レビューと評価
5. 新規食品関連
6. 農薬リスク評価
7. 食品酵素関連
8. 飼料添加物関連

【FSA】
1. リコール情報

【COM】
1. COM ガイダンス:遺伝毒性データ評価の定量的アプローチ

【NHS】
1. Behind the Headlines

【ASA】
1. ASA裁定

【BfR】
1. 国民の大多数は、消費者の健康保護に関し、国の体制を信用している
2. 世界規模の物流時代における安全性

【FSAI】
1. Tipperary地方の銀鉱山地区に関する官庁間グループによる調査報告

【FDA】
1. 食品及び飼料の安全を支援するために食品及び動物用医薬品プログラムの科学と研究に関する新しいウェブサイト開設
2. FDAは食品事業所がメニュー表示要件を満たせるよう支援するガイダンスを最終化
3. FDA、栄養成分表示の遵守期限を延長
4. FDAは、若年者をタバコから保護する計画の一環として、さらに多くの会社に、子供向け食品に似せた液体タバコ(e-リキッド)で子供を誘惑するのを止めるよう警告する
5. FDAは、若年者が電子タバコ製品に近づくことに関して懸念が持たれ続ける中、さらなる電子タバコメーカーに対し、FDAが若年者の使用や製品の誘引力を良く調べることができるように、重要な情報の提供を要請した
6. FDAはData DashboardにFSMAを含めるよう拡大
7. FDAは食品中の部分水素添加油(PHOs)のある使用に関して遵守日を延期:PHOsのある使用に関する申請を拒否
8. リコール情報
9. 警告文書

【NTP】
1. 6月20日の科学助言委員会会合について予告

【USDA】
1. 食物アレルギーの啓発と行動

【FTC】
1. FTCはピッツバーグ地域でNutriMost減量システムを購入した消費者に返金手続きを発表

【FSANZ】
1. パブリックコメント募集:特別医療用食品へのL-アルギニン酢酸塩の使用認可
2. あなたは食品事業者?ルピンの表示義務がまもなく始まる

【TGA】
1. 安全性警告

【香港政府ニュース】
1. 包装済みチョコレートが栄養表示規則を守っていない

【MFDS】
1.日本産輸入食品の放射能検査の結果
2. 夏期に備えた産卵鶏農場の衛生・安全管理強化
3. 国民の生活が優先である国、食品医薬品安全処も共に
4. 1972 食品医薬品安全処と国民が共に作る食品安全の日
5. 家庭の月に備えた中食業者、学校周辺の食品等販売業者の点検結果
6. 5月の家庭の月を迎え食品・医薬品安全情報の提供
7. 2017年も引き続き子供給食安全管理水準が向上
8. 海外食品の購買代行業者を安全に利用する
9. 食品医薬品安全庁、女性健康権の実現のためのカスタムポリシーの推進
10. 原料解凍肉の解凍供給の許容拡大
11. 輸入食品安全教育オンライン教育課程開設・運営
12. 食品医薬品安全庁、「韓薬の製造及び品質管理の基準に関するガイドライン作成協議会」の会議開催
13. 大規模企業の違反業者に、より多くの課徴金賦課

【HSA】
1. HSA 警告:海外で入手した健康製品を摂取して一人ICU入院、もう一人は重大な有害反応

【FSSAI】
1.人工的に熟成したマンゴ押収

【その他】
・食品安全関係情報(食品安全委員会)から
・(EurekAlert)世界最大の市民科学マイクロバイオームによるビッグデータは思考の糧を提供する
・(EurekAlert)購入者は知るべき:一部の水フィルター水差しは毒素を除去する能力が高い
・(EurekAlert)心臓の健康のために週に二回の魚を維持
・(EurekAlert)ビオチンサプリメントは検査結果を間違わせ不必要な検査につながる