
国立医薬品食品衛生研究所が集めた食品の安全性に関する国際機関や各国公的機関等の最新情報から。EFSAは飲料水などのフッ化物の健康影響を再評価し、安全摂取量を設定。NZは殺虫剤クロルピリホスを段階的に禁止。FDAは毒性分類ツールEDTの導入を発表した。
注目記事
【EFSA】食品および飲料水に含まれるフッ化物の消費者リスク評価の更新
欧州食品安全機関(EFSA)が、すべての経口暴露源からのフッ化物の暴露による健康への有害影響の可能性について評価を実施した。本評価ではベネフィットの影響は対象とせず、有害影響としてフッ素症、神経発達影響、甲状腺影響、骨への影響を主に対象にした。その結果、妊婦については胎児への神経発達影響をエンドポイントに安全な一日摂取量として3.3mg/日を設定し、その他の成人と9歳以上の子供についても適用を拡大した。8歳以下の子供については、歯のフッ素症が最も影響を受けやすいエンドポイントとして選択され、耐容上限摂取量(ULs)を1歳未満は1mg/日、1〜3歳は1.6mg/日、4〜8歳は2mg/日と設定した。EFSAは、欧州の飲料水中の典型的なフッ化物濃度での総暴露量は新たに設定した安全な摂取量やULsを超過せず健康上の懸念はないが、EUの現行規制値1.5mg/Lの濃度で含まれていた場合には超過すると結論した。
【NZ EPA】NZ EPAは再評価の結果、農作物用殺虫剤を禁止する
クロルピリホスは、牧草地や小麦などの穀類の害虫駆除、害虫へのバイオセキュリティ対策に使用されている、広スペクトル有機リン系殺虫剤である。EUとカナダで禁止されており、オーストラリアでは使用が厳しく制限されている。さらに、ストックホルム条約により国際的に段階的に廃止されつつある。ニュージーランド環境保護庁(NZ EPA)がクロルピリホスについて再評価を行い、その結果として使用禁止を決定した。使用者が代替製品に移行できるようにするための期間(最大18カ月)を設けた上で、2025年7月10日より段階的に使用を禁止する。
【別添:FDA】FDAは食品中化学物質の毒性スクリーニングのための新ツールを発表
米国食品医薬品局(FDA)は、食品に含まれる化学物質の安全性評価を支援する新しいツールとして「拡張決定木(Expanded Decision Tree:EDT)」を発表した。このツールは、これまで化学物質のリスク評価に利用されてきたCramerクラス分類(Ⅰ〜Ⅲ)の決定木を大幅に改良したもので、化学物質の構造の特徴に関する一連の47の質問を用いて、慢性毒性の可能性について化学物質を毒性が非常に低いクラスⅠから毒性が最も高いクラスⅥに分類することができるものである。毒性学的懸念の閾値(TTC)も予測する。
EDTのデータベースには、食品中の多様な化学物質(栄養素、添加物、食品接触物質、農薬残留物等)の他に、化粧品や医薬品など食品関連以外の化学物質に関するデータも含まれている。ただし、EDTは構造を定義できる有機化合物を対象にしており、有害元素、非加水分解性ポリマー(低密度ポリエチレンなど)、巨大ペプチド(インスリンなど)、ナノマテリアル、タンパク質は含まれない。Munroデータベースを出発点として、国内外の権威あるリスク評価機関のオンラインデータベースや報告書をもとに、多くの毒性、代謝、化学データを追加した。
EDTは外部ピアレビューによる評価も受けており、今後、関係者や一般市民からの意見も求める予定である。現在のEDTの利用はマニュアル式で有機化学と代謝に関する専門知識が必要であるが、広く活用できるように自動化に向けた開発を行っている。EDTは、最終的には食品に含まれる化学物質の市販前および市販後の評価(優先順位付けなど)への活用が期待されている。
(注目記事のまとめ:安全情報部第三室)
目次
【WHO】
1. 出版物
【FAO】
1. OECD-FAO農業展望2025-2034:新興国が動物性食品の消費と生産を牽引する
2. Codex
【EC】
1. 年次更新で、農薬削減目標の達成に非常に前向きな進展が見られた
2. 食品及び飼料に関する緊急警告システム(RASFF)
【EFSA】
1. 食品及び飲料水に含まれるフッ化物の消費者リスク評価の更新(その他の経口暴露源からの寄与を含む)
2. 意見募集―フェンネルシード調製品のエストラゴール
3. スイートフェンネル及びビターフェンネル(Foeniculum vulgare Mill.及びFoeniculum piperitum(Ucria)C. Presl)の実由来調製品の安全性評価のための準備作業
4. 食品酵素関連
5. 新規食品関連
6. 遺伝子組換え関連
7. 食品接触物質関連
8. 農薬関連
9. ポッドキャスト
【FSA】
1. 食品警告:Neosis Schokolade Love of Dubaiチョコレート製品を購入した消費者及び食品事業者向け
2. FSAは違法な「スモーキー」販売で3万ポンドの没収命令を勝ち取る
【FSS】
1. FSSは有害な可能性のある偽造ウォッカを発見し警告を発する
【COT】
1. COT会合:2025年7月15日
【BfR】
1. ペットボトル:健康上のリスクは示されていない
2. EFSAの新たな評価:食品包装におけるスチレンによるゲノム損傷の根拠はない
3. 食品中の甘味料-厳選したQ&A
【ANSES】
1. フランス領カリブ海のシガテラ:中毒を引き起こす可能性のある魚種の情報がさらに必要
【FDA】
1. FDAは時代遅れの52の食品識別規格を廃止する
2. HHS、FDA及び、USDAが超加工食品の健康リスクに対処する
3. HHSとFDAは米国のフードサプライから合成着色料を排除するという消費者ブランド協会の誓約を称賛する
4. FDAは米国消費者を脅かす7-OHオピオイド製品の規制に着手する
5. FDAは7-ヒドロキシミトラギニン含有製品を販売する企業に警告文書を発出する
6. FDAは市販後評価のための食品中化学物質のランク付け方法案に関する意見募集期間を延長する
7. GRAS申請通知
8. 公示
9. 警告文書
10. リコール情報
【EPA】
1. EPAはジカンバの新規用途登録承認案を発表し、ヒトの健康と環境を守るための新たな措置を概説する
2. EPAはバイリンガルラベルの導入状況を追跡するための新たな計画についてパブリックコメントを募集し、バイリンガルラベルに関するリソースを更新する
3. EPAは人員削減と組織再編を発表し、納税者の約7億5000万ドルの節約を実現する
【CDC】
1. レストランでの食事によるテトラヒドロカンナビノール中毒(2024年10月、ウィスコンシン州)
【FSANZ】
1. 食品基準通知
【TGA】
1. リコール情報
【NZEPA】
1. NZEPAは再評価の結果、農作物用殺虫剤を禁止する
【香港政府ニュース】
1. 食品医薬品(組成及び表示)(改正)規則2025が官報に掲載された
2. プレスリリース
3. 違反情報
4. リコール情報
【MFDS】
1. 日本産輸入食品の放射能検査の結果
2. 食品として使用できない昆虫「アリ」を使用した飲食店を摘発
3. 食薬処、社会福祉施設及び産後ケア施設など衛生点検の結果、11カ所を摘発
4. 回収措置
【HSA】
1. リコール情報
別添
【FDA】FDAは、食品中化学物質の毒性スクリーニングのための新ツールを発表
- 食品安全情報
- http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/index.html
- 食品安全情報(化学物質)No.16(2025.08.06)
- https://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/2025/foodinfo202516c.pdf
- 食品安全情報(化学物質)No.16(2025.08.06)別添
- https://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/2025/foodinfo202516ca.pdf