英国で燻製魚関連のリステリア

No.02(2023.01.18)

燻製魚(イメージ)

国立医薬品食品衛生研究所が集めた食品の安全性に関する国際機関や各国公的機関等の最新情報から。イギリスでリステリアが検出された燻製魚の回収があり、英国食品基準庁とスコットランド食品基準庁はこれらについて消費者に注意喚起を行っている。昨秋米国で発生したO157:H7感染アウトブレイク(患者にはWendy’sでの食事を報告した例が含まれる)について、当局は原因食品を特定できるデータを得られなかった。

注目記事

【イギリス】リステリア感染アウトブレイクに関連して回収されている燻製魚

 英国食品基準庁(UK FSA: Food Standards Agency, UK)およびスコットランド食品基準庁(FSS)は、小売チェーンLidlの店舗で販売されたそのまま喫食可能な(ready-to-eat)燻製魚の一部の製品について消費者に注意喚起を行っている。当該製品は、現在発生中のリステリア(Listeria monocytogenes)感染アウトブレイクに関連している。

 FSAは、Lidl社が進めた回収などの対応を評価しており、リステリア感染アウトブレイクの調査を継続した結果、L. monocytogenes株が検出されたため、これらの回収対象製品について消費者に注意喚起を行っている。

 祝祭期間には、スモークサーモン、スモークトラウトなどの燻製魚が喫食される可能性がより高くなる。アウトブレイク調査の継続と同時に、FSAとFSSは、健康被害を受けやすい消費者に対し、これらの燻製魚を必ず中まで十分に加熱してから喫食するよう再度助言を行い、一層の周知を図っている。一般的な消費者にとってはリステリア症のリスクは低いが、高齢者などの健康被害を受けやすい人に燻製魚を提供する場合は、すべての消費者がこの助言に従うべきである。

【米国】複数州で発生したO157:H7感染アウトブレイク原因食品特定できず

 米国疾病予防管理センター(US CDC: Centers for Disease Control and Prevention)は、米国の複数州にわたり発生した原因食品不明の大腸菌O157:H7感染アウトブレイクに関する更新情報を発表した。

 本アウトブレイク調査では、ロメインレタスが感染源であると特定することはできなかった。その原因の1つに、患者が喫食したWendy’sの料理に多くの類似した原材料が使用されていたことが挙げられる。また、検査機関での検査や追跡調査からは、ロメインレタスが原因食品であると特定できるデータは得られなかった。

 2022年10月4日時点で本アウトブレイクは終息している。

※関連記事:食品安全情報(微生物)No.18(2022.08.31)
https://www.foodwatch.jp/nihs202218m

(注目記事のまとめ:FoodWatchJapan編集部)

食品安全情報へのリンク

食品安全情報
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/index.html
食品安全情報(微生物)No.02(2023.01.18)
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/2023/foodinfo202302m.pdf

今号の目次

【世界保健機関(WHO)】
1. 国際食品安全当局ネットワーク(INFOSAN)2022年第3四半期報告(2022年7〜9月)

【汎アメリカ保健機構(PAHO)】
1. コレラの流行に関する更新情報(2023年1月4日付)

【米国疾病予防管理センター(US CDC)】
1. 米国の複数州にわたり発生した原因食品不明の大腸菌 O157:H7感染アウトブレイク
(2022年10月4日付最終更新)

【欧州委員会健康・食品安全総局(EC DG-SANTE)】
1. 食品および飼料に関する早期警告システム(RASFF:Rapid Alert System for Food and
Feed)

【英国食品基準庁(UK FSA)】
1. リステリア(Listeria monocytogenes)感染アウトブレイクに関連して回収されている燻製魚に関する消費者向け注意喚起

【ドイツ連邦リスクアセスメント研究所(BfR)】
1. チュニジアで食品安全危機対応に関する演習を実施

【オランダ国立公衆衛生環境研究所(RIVM)】
1. オランダの腸管感染症および人獣共通感染症に関する2021年次報告書

【ProMED-mail】
1. コレラ、下痢、赤痢最新情報(02)(01)