コメ・コメ製品のヒ素リスク

国立医薬品食品衛生研究所は、食品安全情報(化学物質)No.19(2013.09.18)を発表した。

注目記事

【US FDA】コメおよびコメ製品のヒ素の検査および分析に関するFDA声明

 ヒ素は、環境中に天然物質としてあるいはヒトの活動による汚染の結果として存在する。食品中にはヒ素は無機(毒性が高い)あるいは有機ヒ素として存在する。FDAは何十年も食品中のヒ素レベルについて監視してきたが、2011年から検査を強化している。

 米国食品医薬品局(FDA)は、2013年9月6日、米国市場のコメおよびコメ製品を摂取することに関連するヒ素由来リスクの理解と管理のための努力の一環として、新たに約1,100検体のコメおよびコメ製品の分析結果を発表した。これは2012年9月に発表した約200検体の結果に加わるものである。

 コメの一食あたりの平均無機ヒ素濃度は2.6~7.2μgであり、インスタントご飯が最も低く、玄米が最も高かった。コメ製品は、幅広いが、一食あたりの平均無機ヒ素濃度は0.1~6.6μgで、最も少ないのは乳児用ミルク、多いのはライスパスタであった。これらの量は直ちに、あるいは短期の有害健康影響を引き起こす量より十分低い。検査結果の要約はFDAウェブサイトから入手できる。

 FDAは今回の調査結果を受けて、消費者に対し、栄養のためと、どのようなものでも特定の食品を過剰に摂取することによる有害影響の可能性を最小化するために、バランスのとれた食生活をすること、コメだけでなくさまざまな穀類を摂取すること、乳児の最初の固形食にはコメ以外のものを検討することなどを助言している。

※ポイント:昨年から予告されていた大規模調査結果が報告されました。今回は短期毒性についてのみコメントしていますが、コメ中のヒ素のリスクとしては長期毒性(特に発がん性)の方が重要であり、FDAは次のステップとして評価を行うとしています。今回の分析結果は化学形別にデータが出されていますので、各化学形の毒性に基づきどのような評価結果が出されるのか要注目です。

 また、コーデックス食品汚染物質部会では、コメ中のヒ素について汚染防止および低減のための実地規範策定と最大基準値の設定が議題となっています。コーデックスで採択された最大基準値は、国際基準として可能な限り準ずることが国際貿易機関(WTO)の協定で決められていますから、国際的な議論の状況を踏まえると、コメを生産し、主食としている我が国にとっては、今後最もホットとなる話題です。

【Evira】シネフリンおよびカフェインを含む食品サプリメントは回収

 フィンランド食品安全局(Evira)は、シネフリンおよびカフェインを含む食品サプリメントは消費者の健康に重大なハザードとなるという見解を示し、当該製品は市場から回収されるべきであると発表した。

※ポイント:シネフリンは、心臓血管系への有害作用や死亡などの重篤な副作用のために米国等でダイエタリーサプリメントへの使用が禁止されているエフェドリンアルカロイドの類似化合物であり、同様の作用を誘発する可能性があるとして以前から懸念されているものです。我が国でもインターネット等で購入できる状況なので、注意が必要です。

(安全情報部第三室)

食品安全情報へのリンク

食品安全情報
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/index.html

食品安全情報(化学物質)No.19(2013.09.18)
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/2013/foodinfo201319c.pdf

今号の目次

【FAO】
1. 耐病性小麦品種ケニアでデビュー

【EC】
1. 農薬に関する欧州議会及び理事会規則(EC)No 1107/2009
2. 食品獣医局(FVO)査察報告書:ケニア
3. 食品及び飼料に関する緊急警告システム(RASFF)

【ECHA】
1. ビスフェノールAの統一分類と表示改定案についてパブリックコメント募集
2. 最初のDEHP認可申請についてパブリックコメント募集

【EFSA】
1. EFSAの申請者向けインフォセッション-健康強調表示の科学的立証のためのヒト試験提出についての技術的会合

【FSA】
1. アレルゲン表示:枠組みにとらわれず(箱以外について)考えるとき

【CRD】
1. 食品中残留農薬に関する専門委員会(PRiF):2012年モニタリング計画年次報告書

【NHS】
1. Behind the Headlines:原子力発電所と小児がんに「関連はない」

【BfR】
1. 食品中の過塩素酸塩残留物の健康評価

【ANSES】
1. 水道水中の農薬:地域差は国のリスク評価の結果を変えない

【FSAI】
1. FSAIは葉酸のさらなる食品添加(強化)には反対

【EVIRA】
1. キノコの取り扱い
2. シネフリン及びカフェインを含む食品サプリメントは回収

【FDA】
1. コメ及びコメ製品のヒ素の検査及び分析に関するFDA声明
2. CFSANの2013-2014計画優先順位
3. FDAは外国政府向け情報を発表:システム認証についてのFAQ
4. 警告文書(2013年9月3日、10日公表分)
5. FDAはリンゴジュースのヒ素の「アクションレベル」提案についてのパブリックコメント期間を延長
6. GE Pharma, LLCは健康リスクの可能性があるためダイエタリーサプリメントCreafuse パウダーのリコールを発表

【EPA】
1. EPAのウェブツールは化学物質についての科学的、規制情報へのアクセスを拡大する

【FSANZ】
1. 2013-2016関係者参加戦略
2. 通知

【TGA】
1. 安全性警告
2. 補完医薬品に関する助言委員会(ACCM)の2013年8月2日の第14回会合の声明

【MPI】
1. MPI食品業務は生肉に使用される亜硫酸塩の基準違反を標的にする

【香港政府ニュース】
1. 月餅は安全性検査に合格

【MFDS】
3
1. 説明資料:韓国日報、ヘラルド経済 「日本で不適合判定を受けた韓国食品、韓国へ搬送されて堂々と再流通」
2. 釈明資料(9月3日、国民日報の記事「放射能検査、昨年3,800件の検査ができなかった」記事関連)
3. 説明資料(京郷新聞「政府の日本産水産物の放射能安全基準値、実際の被曝量を考慮せず適用」報道関連)
4. 輸入食品放射能の安全管理方針説明会の開催
5. ベンゾピレン(benzopyrene)超過検出「唐辛子の種の油」製品回収措置
6. 無印原料使用した「白菜キムチ」回収措置
7. 鎮痛剤成分が検出された 「ジョイントケアゴールド」製品回収措置
8. 便秘治療剤検出「ダイエット標榜健康機能食品」回収措置
9. 勃起不全治療剤成分検出「天受丸」販売禁止及び回収措置
10. 勃起不全治療剤成分検出「無申告食品」回収措置
11. 2013年上半期、食品虚偽.誇大広告点検結果を発表

【FSSAI】
1. 食品安全基準(包装及び表示)改定案:オリゴフルクトース、植物スタノールエステル、トレハロースの表示要求項目について

【その他】
・食品安全関係情報(食品安全委員会)から
・(ProMED-mail)原因不明の中毒、ヒト、致死的 ベネズエラ
・(ProMED-mail)有毒藻類、魚 米国
・(ProMED-mail)有毒藻類、都市水道水 米国:(OH)
・(米国小児科学会:AAP)AAPは食品中のヒ素を心配している保護者のために助言を提供