感謝祭には七面鳥にクランベリーソース、コーンブレッド、豆、カボチャ……

明日、11月の第四木曜日は米国ではThanksgiving Day(感謝祭)。感謝祭というと、米国人が七面鳥を食べる日とはわかってきたけれど、ほかにも食にまつわる話は多い。とにかく、食べておしゃべりする祝日らしい(そうでない祝日というのもあまりないものだけれど)。


さまざまなトウモロコシ。
さまざまなトウモロコシ。

 例のピルグリムファーザーズが北アメリカに上陸して入植した当初、彼らは不作で困窮したという。うまく行くまでの間、その地域のネイティブアメリカンから、トウモロコシなどの穀物を譲ってもらって食いつないでいたのだとか。

 彼らが新大陸で最初に作物を収穫できた年の秋、ピルグリムファーザーズは収穫祭のパーティを催して、そこにネイティブアメリカンも現れたのだという。感謝祭はそれを記念して制定されたもので、白人の新大陸進出、白人と先住民との融和を記念したいというのが合衆国の狙いなのだろう。

さまざまなトウモロコシ。
さまざまなトウモロコシ。

 その最初のパーティで食卓に載ったものが、米国では教科書に載っているらしい。これには、ネイティブアメリカンが持参した差し入れも含まれている。もちろん七面鳥も入っている。動物類はほかにも、シカ、家禽、アヒル、フクロウを含む野鳥、シーフードなど。穀物は小麦、大麦、ライ麦などの穀物、トウモロコシの粉、豆など。野菜は、カボチャ、タマネギ、ニンジンなど。それに、クランベリー、ブルーベリー、ブドウ、プラムなどの果物、クルミ、ドングリなどの木の実、メープルシロップ、蜂蜜、そして乳製品など。

 この中で、トウモロコシ、ある種の豆、カボチャ(おそらくはスクヮッシュのような)は、ネイティブアメリカンの「三姉妹」農法で用いる作物だ。トウモロコシをまいて、そのキ(作物の地上部)に豆のつるをはわせ、地表にはカボチャをはわせる。太陽エネルギーを漏らさず使い、乾燥も防ぐことができるだろう。彼らはそうやって、炭水化物とタンパク質とビタミン類を上手に育てていた。

トルティーヤもトウモロコシの食べ方の一つ。
トルティーヤもトウモロコシの食べ方の一つ。

 もちろん、初期のピルグリムファーザーズもこれを教わったから、トウモロコシ、豆、カボチャは七面鳥に並んで感謝祭に欠かせない。

 そうそう。七面鳥は腹にフィリングを詰めてローストしたものを食べることになっていて、フィリングは家ごとにさまざまだけれども、付けるソースは必ずクランベリーソースなのだという。これも、最初のパーティからの伝統なのだろう。

 トウモロコシは、おそらく茹でたり焼いたりして食べることは少なかっただろう。たいていそれは立毛状態(作物を生きて立たせている状態)で乾燥させてから収穫し、粉に挽いてパンケーキのようなものに焼いて食べた。

コーンブレッドの始祖、ジョーニーケーキ。
コーンブレッドの始祖、ジョーニーケーキ。

 その流れを汲むのがコーンブレッド。これも、地域によるけれど、感謝祭に欠かせない食べ物と考えている人は多いらしい。

 明日、七面鳥のローストを買って帰る人は、コーンブレッドの材料も忘れずに。レシピはこちらからどうぞ。

http://grainsjp.org/recipes/corn.html

 ほかにも、クックパッドやいろいろな人のブログにおいしそうなレシピがたくさんある。

※このコラムは個人ブログで公開していたものです。

アバター画像
About 齋藤訓之 398 Articles
Food Watch Japan編集長 さいとう・さとし 1988年中央大学卒業。柴田書店「月刊食堂」編集者、日経BP社「日経レストラン」記者、農業技術通信社取締役「農業経営者」副編集長兼出版部長等を経て独立。2010年10月株式会社香雪社を設立。公益財団法人流通経済研究所特任研究員。戸板女子短期大学食物栄養科非常勤講師。亜細亜大学経営学部ホスピタリティ・マネジメント学科非常勤講師。日本フードサービス学会、日本マーケティング学会会員。著書に「有機野菜はウソをつく」(SBクリエイティブ)、「食品業界のしくみ」「外食業界のしくみ」(ともにナツメ社)、「農業成功マニュアル―『農家になる!』夢を現実に」(翔泳社)、共著・監修に「創発する営業」(上原征彦編著ほか、丸善出版)、「創発するマーケティング」(井関利明・上原征彦著ほか、日経BPコンサルティング)、「農業をはじめたい人の本―作物別にわかる就農完全ガイド」(監修、成美堂出版)など。※amazon著者ページ →