
国立医薬品食品衛生研究所が集めた食品の安全性に関する国際機関や各国公的機関等の最新情報から。FSAが細胞バンキング技術に関するベストプラクティスを整理。BfRはティーバッグ由来マイクロプラスチックの健康影響を否定。FDAは国際郵便利用の食品の事前通知を義務化。
注目記事
【FSA】細胞培養製品における細胞バンキング技術のベストプラクティス
細胞培養製品(Cell Cultivated Products)は、精密発酵製品(Precision fermentation products)と培養製品(Cultivated products)に大別される。本報告書は、後者の培養製品(例:培養肉)の生産工程の初期段階である細胞培養(細胞の採取、細胞株の樹立)および細胞バンキングの技術に焦点を当てて、ヒトの健康に影響を及ぼす可能性のあるハザードおよびリスクに関する文献レビューと、オンラインアンケート調査/ワークショップにより得られた専門的な知見に基づくベストプラクティスとデータギャップをまとめている。
※ポイント:本報告書は、英国食品基準庁(FSA)の委託調査事業によるものです。細胞培養製品の生産技術はここ10年ほどの間に著しい成長を遂げていますが、そのスピードに安全性確保のための研究や制度づくりが追いついていないのが現状です。本報告書では、培養肉の生産業者が製品の安全性確保のために実施している検査・試験をまとめるとともに、他に何ができるのかも考察しています。
【BfR】BfRはティーバッグとマイクロプラスチック粒子に関する研究を評価現在の知見に基づき、健康障害は予想されない
ドイツ連邦リスクアセスメント研究所(BfR)が、2019年にHernandezらがティーバッグは非常に多くのマイクロプラスチック粒子を放出すると報告した研究の検証実験を実施した。
その結果、Hernandezらが報告した直径1μm以上のマイクロプラスチック粒子の数値は、おそらく2〜3桁多すぎること、およびこれらの粒子はプラスチック製のティーバッグから放出されたものではないことが示された。さらに、マイクロプラスチック粒子を用いたマウス経口投与試験と細胞培養試験により、腸組織やその他の細胞への損傷を裏付ける証拠は認められなかった。
BfRは、腸管バリアや人体への影響について完全な評価はできないものの、現在の知見ではマイクロプラスチック粒子がヒトの健康に有害影響を及ぼす根拠はないとしている。
※ポイント:BfRは、これまでもマイクロプラスチック粒子とヒト健康との関連に関する研究報告を対象に一つずつ検証しており、その検証結果をもとに一貫して現時点では健康に有害影響を及ぼす根拠はないと報告しています。食品中のマイクロプラスチック粒子に関する研究は多数報告されていますが、標準化された定義、分析法、標準物質、サンプル調製法等が確立されていないことが、総合的なリスク評価の妨げになっています。
【FDA】FDAは輸入されるヒトおよび動物用食品の事前通知に関する規則を改正する
米国食品医薬品局(FDA)は、関連規則を改正し、国際郵便で到着するヒトおよび動物用の食品について、事前にメールサービス名と追跡番号の提出を義務づける。本改正により、FDAは米国郵便公社(USPS)、米国税関・国境警備局(CBP)、その他の機関と連携し、公衆衛生上の問題のある食品やバイオテロの危険性があると特定された食品を追跡・検査することができ、食品関連の緊急事態に対応する調査および監視活動を実施しやすくなる。2026年10月1日より施行予定。
(注目記事のまとめ:安全情報部第三室)
目次
【FAO】
1. FAOの新たな報告書は食料及び農業のSDGs指標に向けた進捗状況を評価
2. 食物アレルゲンのリスク評価を前進させるために世界の専門家が団結-ビデオ公開3. FAOがローマに新しい「食料農業ミュージアム&ネットワーク」をオープン4. Codex
【EC】
1. 欧州委員会、泡消火剤における「永遠の化学物質」の使用を制限
2. 食品及び飼料に関する緊急警告システム(RASFF)
【ECHA】
1. 9月のRACおよびSEAC会合のハイライト
【EFSA】
1. 有効成分の承認レビューにおける、アセタミプリドの発達神経毒性及び内分泌かく乱特性の評価のための試験戦略とタイムラインに関する声明
2. 加盟前支援措置(IPA)恩恵国のためのリスク評価訓練プログラムA〜Z
3. 食品酵素関連4. 新規食品関連
【FSA】
1. FSAは食品包装におけるビスフェノールA(BPA)及び関連化学物質の使用禁止案に関する意見募集を開始する
2. 食品添加物としての硝酸塩及び亜硝酸塩の安全性
3. 細胞培養製品における細胞バンキング技術のベストプラクティス
4. FSAの消費者調査によると、食品の安全性に対する信頼が高まっている
5. 北アイルランドの全国食事栄養調査が公表された
6. 2024年北アイルランドの健康的な食品バスケットの費用はどのくらいか?
7. 地方当局及び公共施設における自動販売機への栄養基準のパイロット導入の評価
【BfR】
1. 数日または数週間の間隔を置いてフードサプリメントから1回で大量のビタミンDを摂取すると、健康リスクに関連する高用量のビタミンDとビタミンK2を含む配合調製品の影響はまだ十分に研究されていない
2. BfRはティーバッグとマイクロプラスチック粒子に関する研究を評価 現在の知見に基づき、健康障害は予想されない
3. 中毒事故の場合のUFIコードによる迅速な支援
4. ニューデリーでグローバルな食品安全強化のための世界サミット BfRは科学と協力の重要性を強調する
【ANSES】
1. キノコ狩り:中毒リスクに注意
【FDA】
1. FDAはセシウム137に汚染されている可能性のある特定のエビ及びスパイスに対する輸入認証権限の初適用を発表する
2. FDAは輸入されるヒト及び動物用食品の事前通知に関する規則を改正する
3. FDAは、農業用水に関するFAQと、FDAのFSMA農産物安全規則に基づく収穫前農業用水要件の実施に関する情報を公表する
4. 植物新品種協議
5. GRAS申請通知
6. 公示
7. 警告文書
8. リコール情報
【EPA】
1. EPAはビシクロピロンとベンゾビンジフルピルの絶滅危惧種への影響に関する最終生物学的評価を発表する
【FSANZ】
1. 食品基準通知
【APVMA】
1. APVMA2024–25年度年次報告書
【TGA】
1. オーストラリアにおけるメラトニン製品の規則
2. 安全性助言
【MFDS】
1. 日本産輸入食品の放射能検査の結果
2. 「バナジウム米」のような過度な不当広告を防ぐための制度的改善策を講じる
3. ガルシニアカンボジア抽出物の異常事例該当製品の回収
4. 輸入果実・野菜加工品に対する検査命令施行
5. 食薬処、ナトリウム・糖類低減表示を継続拡大
6. 我が国が提案した米に対する農薬残留基準の国際規格採択に向けた合意
7. 食薬処、第5回食品由来薬剤耐性国際会議を開催
8. 食品医薬品公共データで国民の安全と健康を守る
9. 回収措置
- 食品安全情報
- http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/index.html
- 食品安全情報(化学物質)No.21(2025.10.15)
- https://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/2025/foodinfo202521c.pdf