鳥インフル ウイルス変異を追跡

No.09(2025.04.30)

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国立医薬品食品衛生研究所が集めた食品の安全性に関する国際機関や各国公的機関等の最新情報から。鳥インフルエンザのヒトへの適応とパンデミック化の懸念が高まる中、ECDCとEFSAはOne Healthアプローチに基づき科学的助言を発表。ウイルスの遺伝子解析、動物・ヒトの監視強化、バイオセキュリティ、ワクチン接種、医療従事者向け研修、組織的対応計画の策定など包括的対策が求められている。

注目記事

【欧州】欧州当局が鳥インフルエンザのウイルス変異を追跡し対応戦略を検討

 鳥インフルエンザウイルスは、ヒトに適応することで将来的にパンデミックを起こす可能性があり、脅威が高まっている。

 欧州疾病予防管理センター(ECDC)および欧州食品安全機関(EFSA: European Food Safety Authority)は、One Healthアプローチにもとづき、鳥インフルエンザウイルスの変異およびヒトへの伝播の可能性について評価を行い、これらを踏まえた科学的助言および動物衛生・公衆衛生関連の提言を発表した。

重要な提言

遺伝子解析
塩基配列解析を行い、ウイルスの変異や哺乳動物への適応性を早期に検出する。動物からヒトに伝播し得る新興のウイルスや変異を迅速に特定するための体制の整備に資金を投入する。
動物のサーベイランス
感染した野鳥・家禽類・哺乳動物などに関連して発症または死んだ哺乳動物についてモニタリングを行う鳥インフルエンザの発生に際して、感染リスクの高い地域および期間中に原因不明の疾患を発症した動物がいる場合は追跡調査を行う。
公衆衛生サーベイランス
曝露した人については検査を行い、ウイルスのサブタイプを特定するための検体送付を必ず実施する。動物において鳥インフルエンザのアウトブレイクが発生中は、特にヒトのインフルエンザ流行のピーク期間には両ウイルス間での遺伝物質の混合リスクが生じるため、病院は強化サーベイランスを実施し警戒を強めるべきである。
予防措置
家禽類飼育施設における強固なバイオセキュリティ措置、職員の研修および家禽類へのワクチン接種を実施し、アウトブレイク対応計画を作成する。感染リスクがある人には、インフルエンザの予防接種および抗ウイルス治療のガイドラインに従うよう徹底させる。
公衆衛生対策
一般市民の高リスク集団における意識を高め、医療従事者向けに鳥インフルエンザ についての認識および管理のための研修を行う。ヒトの鳥インフルエンザ感染患者が発生した場合の組織的な対応計画を確実に策定する。曝露した人の検査および患者との接触者について、感染予防プロトコルを含め、ガイドラインおよび標準作業手順書を作成する。ヒトの鳥インフルエンザ感染患者が発生した場合の組織的な対応計画は、国の予防策・対策・対応計画の一環として確実に策定する。

(注目記事のまとめ:FoodWatchJapan編集部)

目次

【米国疾病予防管理センター(US CDC)】

1. マクドナルド社の店舗で提供されたタマネギに関連して複数州にわたり発生した大腸菌O157:H7感染アウトブレイク(2024年12月3日付最終更新)

【欧州疾病予防管理センター(ECDC)/欧州食品安全機関(EFSA)】

1. 鳥インフルエンザ:欧州疾病予防管理センター(ECDC)および欧州食品安全機関(EFSA)がウイルス変異を追跡し対応戦略を検討

【欧州委員会健康・食品安全総局(EC DG-SANTE)】

1. 食品および飼料に関する早期警告システム(RASFF:Rapid Alert System for Food and Feed)

【欧州食品安全機関(EFSA)】

1. 生鮮および冷凍の果物・野菜・ハーブ(ffFVH)の収穫後の取り扱いおよび加工に使用される水に関連する微生物ハザード-Part3(未加工生鮮FVHのプロセス水管理計画)

【アイルランド食品安全局(FSAI)】

1. アイルランド食品安全局(FSAI)がフードシステムに関する持続的信頼の確保を目指して新たな5カ年戦略を発表

【ドイツ連邦リスクアセスメント研究所(BfR)】

1. メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)に関するQ&A-ヒトはどのようにMRSAに感染するか

【ProMED-mail】

1. コレラ、下痢、赤痢最新情報(35)(34)(33)

食品安全情報
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/index.html
食品安全情報(微生物)No.09(2025.04.30)
https://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/2025/foodinfo202509m.pdf