コンビニエンスストアのこれから(2)成長しながら山積していく諸問題

コンビニエンスストアに関する問題点
コンビニエンスストアに関する問題点

コンビニエンスストアに関する問題点
コンビニエンスストアに関する問題点

コンビニエンスストアは、全体としては今でも成長産業と見ることができる。しかし、そのために刻々と増える問題点を直視せずにいるのではないか。その一つは、異業種との競合であるし、また、顧客のニーズの多様化・変化だ。

巨視的に見れば成長産業ではあるが

 さて、話題の対象をコンビニエンスストア(CVS)の日本国内の市場に絞り、私見を述べる。

 なお、CVSに関しての見方と言っても、フランチャイザー(FCザー)の立場でこれを論じるのか、FCジーの側からの意見を述べるのかによって、かなり違った見解となるだろうが、今回はFCジー寄りの視点から、FCザーのあり方を問うという方向で述べる。

 CVS業界においても、現時点ではまだ大きく表面化してはいないが、実は問題は山積しており、大きな変革点に立ち至っていることがいろいろな情報から見てとれる。

 巨視的データに基づけば、CVS業界は今も、店数、売上高ともに着実に増加するという状況にある。2010年度の業界全体の売り上げ高は、約8兆円。その内セブン-イレブンが2.79兆円でシェア約35%を占める。

 業界自体では、海外への出店も進めており、現状は決して斜陽産業ではない。また国内でも従来は中心的ではなかった駅ナカ、郵便局、学校、病院、オフィスビル、官庁等の中に、堅実な売り上げを上げる企業組織力のある新規のFCジーが続々誕生している。

 国内での売り上げの伸び率はスローダウンしているとは言え、チェーン本部としては、現状に対して格別の危機感は持っていないと推察する。だが、それだからこそ累積されつつある従来型のCVS店における問題点に焦点が当てられることは少ないと思われる。

異業種との差違がなくなり競合状態に

 その問題点のまず第一は、商業統計が規定するCVS基準そのものが、今や実際上ほとんど意味をなさなくなっているという点だ。

 CVSは、飲食料品を取り扱う、セルフサービス中心の販売形態を取り、店舗の規模は30m2~250m2で、かつ1日当たり14時間以上の営業時間を持つ業態が、CVSと規定されている。この基準の中、これまでは長い営業時間が利便性を提供していたが、今や、スーパーやドラッグストア等でも24時間営業の店も増えているし、CVSで生鮮食料品を扱うところもチェーン展開されるようになっている。

 この結果、スーパー等との競合が起こり、メーカー希望小売価格による販売というCVS業界の慣行が大きく崩れつつあるだろう。価格破壊がここでも進んできている。当然、これはCVSの基本的な収益構造に影響を与えずには済まされない。100円ショップタイプのCVSも、たとえば「ローソンストア100」が本格的に展開されているが、まだまだ収益性は低いのではないか。

 このように、これまでのCVSの特徴を他業態が浸食し、逆に他業態のマーケティングをCVS業界が取りこむ等、CVS業態では乱戦が常態化している。その乱戦の中で多くの問題が累積されつつあるはずだ。

顧客・生活者にとっての利便性の変化

 そして、顧客=生活者にとってのCVS、すなわち“コンビニエンスな(利便性に富む)ストア”の意味や意義にも大きな変化が起こっている。

 社会の変化、年齢構成の変化、とくに顧客平均年齢の大幅な上昇、購買客層や行動の変化、これらに伴う客層の変化、ライフスタイルの変化、交通手段の変化、道路網の変化、ITの発達がもたらす各種の変化が生じており、CVSの社会的な意義、使命等にも大きな変革をもたらし始めている。

 CVSチェーン本部サイドでも、高齢化した顧客や、少なかった女性客をターゲットにした顧客開拓のための変革を実行に移している。しかし、果たして今のCVSは上記の大きな社会的変化に対して、十分と言える変化をおこせていると言えるだろうか。変化に対する認識や対応力が今後高まっていくのか、変化の中での生み出される落ちこぼれ組に対していかなる対応策を取るのか。

 間違いないことは、単に“CVS=利便性”ではCS(顧客満足)につながるとは言えないことだ。顧客の要求、ニーズ、すなわち顧客価値は大いに流動的であり、継続して変化しているということである。

 因みに、次に述べる労働事情にもよるのであろうが、最近のCVSは、いわゆる「店頭での顧客対応のCS」においても、低下の傾向をはっきりと示していると感ぜられる。

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About 奥井俊史 106 Articles
アンクル・アウル コンサルティング主宰 おくい・としふみ 1942年大阪府生まれ。65年大阪外国語大学中国語科卒業。同年トヨタ自動車販売(現トヨタ自動車)入社。中国、中近東、アフリカ諸国への輸出に携わる。80年初代北京事務所所長。90年ハーレーダビッドソンジャパン入社。91年~2008年同社社長。2009年アンクルアウルコンサルティングを立ち上げ、経営実績と経験を生かしたコンサルティング活動を展開中。著書に「アメリカ車はなぜ日本で売れないのか」(光文社)、「巨象に勝ったハーレーダビッドソンジャパンの信念」(丸善)、「ハーレーダビッドソン ジャパン実践営業革新」「日本発ハーレダビッドソンがめざした顧客との『絆』づくり」(ともにファーストプレス)などがある。 ●アンクル・アウル コンサルティング http://uncle-owl.jp/