とっておきの極うまブラッスリー「リベルタン」(東京・渋谷)

「岩中豚のロースト 季節の野菜を添えて」
「岩中豚のロースト 季節の野菜を添えて」
  • 「リベルタン」(東京・渋谷)
    「リベルタン」(東京・渋谷)
  • 紫藤・柴山コンビの料理とサービスが評判
    紫藤・柴山コンビの料理とサービスが評判

いきなり寒くなってきましたね。10月で、ようやく涼しくなってきたと思ったら、朝晩は冷え込むぐらい。寒暖差に風邪が流行っています。自転車愛好者の自分も、これからの季節はうがい・手洗いの励行とこまめな着替えが肝心と心得ていますが、走るにはいちばんの季節でもあり。休日のツーリングも楽しみです。さて、今日は神楽坂・新宿界隈から飛び出して、渋谷のがっつりうましのお店のお話です。

フレンチにこだわらない自由さ

 会社の大きなプロジェクトがなんとか成功裡に終った。自分としても力を入れたイベントだったので、無事に終わって、ちょっとホッといる。今回は自分の部署だけでなく、他部署の方々にも大変お世話になった。とくに窓口になってくれたお姉さま2人に感謝を込めて、食事会を開催することに。

 うかがったのは、渋谷でとっておきのブラッスリー「リベルタン」さん。こちらのお店は、2011年に出来た新しいお店。渋谷駅北東から表参道方向へ伸びるおしゃれな路地裏キャットストリート(旧渋谷川遊歩道路)のそのまた裏道、という、あまり便利とも言えない場所にもかかわらず、連日、熱心なファンで大にぎわいになっている。

 この人気、オーナーシェフ紫藤善則さん(37)の素晴らしくおいしい料理と、相棒でソムリエの柴山健矢さん(31)が創り出すアットホームな雰囲気によるもの。

 人気のビストロ「ル・キャバレ」(東京・代々木上原)や外苑前の「レジドア」(東京・外苑前)両店のシェフを歴任した紫藤さんは、一昨年の夏に「レジドア」が閉店することになると、同店の同僚だった柴山さんと自分の店を作ることを決意。物件を探し当て、「気軽に、自由な気持ちで、かしこまらずに来てほしい」という思いから、“自由人”の意味の「リベルタン」の店名を選んで開店した。

 実際、こちらは“自由”。フレンチにこだわらず、実にさまざまな種類の料理が出てくる。それも大盛で!(笑)

 仲間とワイワイ語りながら、紫藤さんと柴山さんが選んだ自然派のワインをガブガブ飲みながら、おいしい料理を堪能する。とっても気持ちいい、うれしいお店ではないか。

大盛なのにどんどんなくなるなくなる

 さて、この日も、ワイン好きで、おいしいもの好きのお姉さま2人のテンションは高かった。

 最初に「かんぱーい」と、お店オススメの微発泡ワインでスタート。飲めない自分はガス水を飲んでいたが、大丈夫、酒なしでもおいしい料理だけで実に楽しい夜になるのである。

 食事は、まず、お通しとして出てくるレバームースとパンのセットから。このレバームースが、極上品。口の中に入れると、パンと実にマッチしながら、ほろり、とろり、とやわらかくとろける。塩加減がちょうどいいから、もう、それだけでたまらなくなる。そこに付け合せのピクルスを、カリリ。お口の中ではすぐに幸せが始まってしまうのだ。

 お姉さまたちのワインはどんどんススム。

 お次は、スズキのポワレとレンズ豆のサラダ。これがまた実に、実に、美しいのである。紫キャベツをどさっと上に乗せたスズキ。焼き加減が実によく、取り分けるときに、ほろりほろりと身がほぐれる。下に敷いたレンズ豆のほどよい酢加減と、サラダ的な食感がまたステキ。

 3人で喜びながら、それなりに量があるこの料理が、どんどんなくなっていく。

  • 「レバームース」
    最初に提供される「レバームース」
  • 「スズキのポワレとレンズ豆のサラダ」
    「スズキのポワレとレンズ豆のサラダ」

豚のローストのうま味に身もだえ

「岩中豚のロースト 季節の野菜を添えて」
「岩中豚のロースト 季節の野菜を添えて」

 そしてメイン。この日は、1品しか頼まなかった。「リベルタン」さんは、ガッツリ量を出してくれるので、たとえば3人で行くと、前菜2品とメイン1品、もしくは前菜1品とメイン2品がせいぜいなのだ。

 岩中豚のロースト 季節の野菜を添えて。

 これがまた、大きいのである。

 テーブルを占拠せんばかりの大皿に、「一抱え」と言ってよさそうな豚のローストが、鎮座ましましている。

 奥には、リブも。

 これを、ガッツリ取り分けようとすると、まぁ、なんということ。ナイフがスッと入っていく。

 実に、軟らかく焼かれた豚肉なのだ。表面がカリカリで、内側がやわらかーく焼かれた、素晴らしくジューシーな豚肉。

 大いなる期待を胸に口へ放り込むと……これがまた、塩加減が、実に、絶妙。豚肉そのもののうま味があふれ出すのを、身もだえしながら、もったいなさそうに、それでも、勢いよく飲み下す!

 そこからは一気!

 ナイフを入れては食べ、ナイフを入れては食べ、の繰り返し。

 あっという間に、豚肉がなくなっていくのだ。

 それでも飽き足らず、一緒に出てきたリブもむしりとるようにして、ワシヅカミみにし、食べる。

 この骨の近くの肉の、香ばしさと、脂がうっとりすることと言ったら!

 笑いながら食べてしまった。

 ちなみに、この前菜2種とメイン1種の間に、お姉さまたちはフルボトルのワインを軽々と開けた。

「おいしかったから、当然よう」

 なんて平気な顔してのたまったのは、すごかったなぁ。

  • 自然派ワイン
    お姉さま2人は自然派ワイン
  • ミネラルウォーター
    自分はガス入りミネラルウォーターで

 ところで、今回は、名物と言われる「自家製ソーセージとシュークルート」まではたどり着けなかった。

 参考に、昨年の同じ時期に訪れたときのメモから抜き書きを。

 前菜一つ目は、豚のリエット。

 これがコクがあって、かみしめるほどにおいしさが増して。もう、パンがすすむすすむ。

 続いて、野菜の惣菜の盛り合わせ。

 そして、メイン一つめ。自家製ソーセージとシュークルート。

 たっぷりのゆでキャベツの千切り、シュークルーととソーセージ、アイスバイン的な肉。

 そしてポテトを、もんぐりもんぐり食っているとひたすら幸せになる。

 そして、メインもう一品。

 仔羊と豚のアミアブラ包み揚げ。

 これがまた豪快。仔羊の個性と、豚の脂の相性が抜群で、笑ってしまう。

 付け合せというにはたっぷりすぎる野菜たち。

 これもお肉のソースを吸って、すこぶる美味!

 とあって、やっぱり感動の場所なのであった。

 お肉で感動して軽く震えてしまったのは、久々。

 しっかり堪能できた、秋の夜なのである。

 ちなみに、こちらのお店は、午前2時前で開いている。料理のラストオーダーは22時だが、その後は、ゆっくりしたワインバーとして、生ハムなどで、終電のことは忘れて長く、楽しい秋の夜を堪能するのも悪くないかも。


●「リベルタン」

東京都渋谷区渋谷1-22-6
Tel.03-6418-4885
営業時間:19:00~翌2:00
定休日:祝日・日曜日(毎月最終日曜日は営業)

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About 上荻吾朗 40 Articles
編集者 かみおぎ・ごろう 1964年生まれ。北海道出身。週刊誌記者、漫画編集者を経て、WEB製作会社で勤務。震災後、通勤困難を経験して、メタボ対策のためにも、自転車通勤をするようになる。おいしいものを食べることが何より好きな健康チューネン。いかにも飲めそうなヒゲ面のくせに下戸。