発酵食品でないものはどれ?

《解答》

【1】b

【2】d

【3】以下で説明。

《解説》

【1】この問題は初級で、やさしかっただろう。豆腐を原料とする発酵食品はあるが、豆腐自体は発酵食品ではない。


【2】発酵食品の定義について。まず、「発酵」について説明しよう。狭義には、【2】aの記述のとおり、嫌気(酸素不在)条件下で有機物を分解してエネルギーを得ることをいう。その例としては、アルコール発酵の他に乳酸発酵が挙げられる。

 そして、この発酵に対応する言葉が、【2】bにあるように「呼吸」である。

 生物が発酵で得られるエネルギーはわずかである。それに対して呼吸で得られるエネルギーは桁違いに大きい。生物が利用できるエネルギーは、ATP(アデノシン三リン酸)という物質による。発酵で得られるATPはグルコース(ブドウ糖)1分子当たりわずか2分子であるが、酸素存在下の呼吸であれば、平均32分子になる。

 ただし、地球上で生物が酸素を利用できるようになったのは、太古代(40億年前〜25億年前)以降のことである。

【2】cは正しい。酢酸発酵により酢ができるが、それについては回を改めて紹介したい。

 一方、上述した「発酵」とは別に、有用物質を生産することを「発酵」ということがある。例として、グルタミン酸発酵、クエン酸発酵などが挙げられる。これについても、回を改めて取り上げる。

 また、「発酵」と「腐敗」の区別は明確ではない。科学的に判断できるものではなく、人の価値観や文化に基づく。たとえば、東日本に住む人の多くにとって、納豆は好ましい発酵食品であるが、外国人や西日本に暮らす人々に腐敗と感じられても不思議ではない。そこで、【2】の正答をdとした。

【2】eは正しい。酵素作用による好ましい食材の変化を発酵に含めることがある。本講座はこの立場で記載している。よく知られているのが、ウーロン茶や紅茶である。また、消化管内の酵素が重要な役割を果たす魚醤が含まれる。近年は品質を向上させるため、強力な酵素源として米麹を加えることが行われている。


【3】は記述問題だが、回答には以下の要素を含めてほしい。

  • 加熱ではビタミン類が壊れることがあるが、発酵ではビタミン類が壊れることはなく、むしろ増えることもある(たとえば納豆など)。
  • 発酵による変化は加熱によるそれよりも時間がかかる。
  • 発酵では、風味に独特の変化がある。その発酵食品が食べられている地域では「よい風味」と言える。
  • 人が行い始めた時期については、加熱よりも発酵の方が早いという説が有力である。
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横山技術士事務所 所長 よこやま・つとむ 元ヒゲタ醤油品質保証室長。2010年、横山技術士事務所(https://yokoyama-food-enngineer.jimdosite.com/)を開設し、独立。食品技術士センター会員・元副会長(http://jafpec.com/)。休刊中の日経BP社「FoodScience」に食品技術士Yとして執筆。ブログ「食品技術士Yちょいワク『食ノート』」を執筆中(https://ameblo.jp/yk206)。