ノロ対策で冷凍ベリーは煮沸

国立医薬品食品衛生研究所は、食品安全情報(微生物)No.11(2015.05.27)を発表した。

注目記事

【FSAI】輸入冷凍ベリーは煮沸を/ノロ対策

 アイルランド食品安全局(FSAI:Food Safety Authority of Ireland)は、輸入されたすべての冷凍ベリー類を喫食前に1分以上煮沸するよう消費者に再度の注意喚起を行った。

 最近、輸入冷凍ベリー類の喫食に関連して、スウェーデンでノロウイルス感染アウトブレイクが、オーストラリアでA型肝炎アウトブレイクが発生した。これらのアウトブレイクに関連したバッチのベリー類がアイルランドに輸入されたことを示す記録はないが、改めて注意を促すためにこの助言が発表された。

【US CDC/US FDA】アイスクリーム製品のリステリア

 米国疾病予防管理センター(US CDC)によると、2015年4月20日時点で、数種類のL. monocytogenes株のうちのいずれか1種類に感染した患者が4州から計10人報告されている。

 CDCおよびカンザス州保健環境局(KDHE)は、患者にはカンザス州の1病院で治療を受けていた5人が含まれており、これらの患者は4種類のまれなL. monocytogenes株のうちのいずれか1種類に感染したことを報告した。これらの株のうち相互に高度に類似している3種類は、Blue Bell Creameries社の製造施設(テキサス州Brenham)で製造された製品からも検出された。直近の患者は2015年1月に発症した。

 同社は、小売店および病院からの直接回収により問題のアイスクリーム製品を市場から撤去したことを2015年3月13日に報告した。また、同社は当該製品の製造ラインの稼働を停止した。

 米国食品医薬品局(US FDA: US Food and Drug Administration)によると、2015年5月14日、Blue Bell Creameries社は、同社がテキサス州保健局(TDSHS)およびオクラホマ州農業・食品・林業局(ODAFF)と自主協定を結んだことを発表し、同社がとる一連の対応策の概要を説明した。

 対応策には、施設の徹底的な洗浄・消毒、検査プロトコルの改定、今後の汚染防止を目的とした製造方針・工程の改定、従業員教育プログラムの向上などが含まれている。

※関連情報:食品安全情報 [(微生物)No.06(2015.03.18)]
https://www.foodwatch.jp/nihs201506m/

【USDA ERS】食品由来疾患による経済的損失

 米国農務省経済研究局(USDA ERS:United States Department of Agriculture, Economic Research Service)は、米国国内感染の主要な食品由来疾患による経済的損失に関する報告書を提出した。

Economic Burden of Major Foodborne Illnesses Acquired in the United States
Economic Information Bulletin Number 140
May 12, 2015
http://www.ers.usda.gov/media/1837786/eib140_summary.pdf(報告書要約PDF)
http://www.ers.usda.gov/media/1837791/eib140.pdf(報告書全文PDF)

 米国では、毎年国民の6人に1人が食品由来疾患に罹患している。政府や関連業界などは、食品由来疾患を予防しようと多額の資金を費やしている。このような資金を最も適切に配分するためには、食品業界の経営者および政策決定者は、これらの対策の社会的価値、および資金の投入対象を絞る方法を把握する必要がある。

 本報告書は、米国で15種類の主要な食品由来病原体により発生する年間の経済的損失について、最近の推定額を概説している。

(注目記事のまとめ:FoodWatchJapan編集部)

食品安全情報へのリンク

食品安全情報
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/index.html

食品安全情報(微生物)No.11(2015.05.27)
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/2015/foodinfo201511m.pdf

今号の目次

【米国食品医薬品局(US FDA)】
1. Blue Bell Creameries社製アイスクリーム製品のリステリア(Listeria monocytogenes)汚染に関する調査(2015年5月14日付更新情報)

【米国農務省経済研究局(USDA ERS)】
1. 米国国内感染の主要な食品由来疾患による経済的損失

【米国疾病予防管理センター(US CDC)】
1. 米国で複数州にわたり発生しているサルモネラ(Salmonella Paratyphi B var. L(+)tartrate(+))感染アウトブレイク(初発情報)
2. ペットのオウカンミカドヤモリに関連して複数州にわたり発生しているサルモネラ(Salmonella Muenchen)感染アウトブレイク(初発情報)

【欧州食品安全機関(EFSA)】
1. 食品由来疾患アウトブレイクに関する2014年の情報の報告方法マニュアル
2. 抗菌剤耐性に関する2014年の情報の報告方法マニュアル
3. 人獣共通感染症、人獣共通感染病原体およびその他の病原微生物に関する2014年の情報の報告方法マニュアル

【欧州委員会健康・消費者保護総局(EC DG-SANCO)】
1. 食品および飼料に関する早期警告システム(RASFF:Rapid Alert System for Food and Feed)

【Eurosurveillance】
1. 食品および水由来疾患のための欧州疫学情報共有システム(EPIS-FWD)を介して2013年のほぼ同時期に報告された3件の複数国にわたる食品由来A型肝炎アウトブレイク:欧州連合にとっての意味

【アイルランド食品安全局(FSAI)】
1. 輸入冷凍ベリー類の煮沸を推奨する助言を再度強調(スウェーデンとオーストラリアで患者発生)

【ProMed mail】
1. コレラ、下痢、赤痢最新情報
食品安全情報(微生物)No.11 / 2015(2015.05.27)