食品安全情報(化学物質)No.01(2012.01.11)

国立医薬品食品衛生研究所が月2回発表している「食品安全情報」(化学物質)。英国食品基準庁(FSA)主任科学者は、消費者の歪んだリスク認知が政策に影響することを心配している。ドイツ連邦リスクアセスメント研究所(BfR)は、抗菌剤は適切に使用すれば食品の健康リスクとはならないことを指摘している。

注目記事

【FSA】リスクに基づいて決定しよう

 英国食品基準庁(FSA)の主任科学者であるAndrew Wadgeは、2011年にドイツで発生した2つの事件(動物飼料のダイオキシン汚染、病原性大腸菌O104アウトブレイク)に対する消費者の反応についてコメントしている。Andrew Wadgeが懸念しているのは、消費者が、健康リスクが大きい微生物汚染よりも、健康リスクが小さいダイオキシン汚染の方へ注目しており、歪んだリスク認知が政策に影響する可能性があるということである。

※ポイント:実際に健康リスクが高い問題と消費者が不安に思う問題の間にギャップがあるのは、世界共通のようだ。経済的にも労力的にも限られている中で、食品の確かな安全を得るためには、政策が、消費者の不安ではなくて科学的な根拠で裏付けられるリスクに基づいて決定されるべきである。

 もし政策が科学的な根拠に基づいていなければ、国際的な問題にも発展する可能性もある。なぜなら、日本が加盟しているWTOのSPS協定(衛生植物検疫措置の適用に関する協定)では食品安全に関わる政策は科学的根拠に基づくことが求められているので、貿易摩擦が生じた場合、きっかけとなった政策に科学的な根拠がなければSPS協定を守っていない日本が悪いということになってしまう。

【BfR】動物への抗菌剤使用による影響についてのQ&A

 ドイツ連邦リスクアセスメント研究所(BfR)が動物への抗菌剤の使用について、抗菌剤が動物に適切に使用され休薬期間が守られていれば残留は食品の健康リスクとはならないこと、抗菌剤の使用は耐性増加を避けるために感染症治療のみに使用されるべきであることを指摘している。

※ポイント:抗菌剤にかかわらず、動物用医薬品の使用は、使用量、頻度、休薬期間などが守られている限り健康への影響はない。農薬の使用も同じ。

食品安全情報へのリンク

「食品安全情報」
http://www.nihs.go.jp/hse/food-info/foodinfonews/index.html

食品安全情報(化学物質)No.01(2012.01.11)
http://www.nihs.go.jp/hse/food-info/foodinfonews/2012/foodinfo201201c.pdf

今号の目次

【EC】
1. 2011年12月21日改訂施行規則(福島第一原子力発電所事故に伴う日本産の飼料及び食品の輸入について、中国産の未承認遺伝子組換え米に関する緊急措置)
2. 食品及び飼料に関する緊急警告システム(RASFF)

【FSA】
1. リスクにもとづいて決定しよう
2. 多動と関連する色素を含まない製品更新

【MHRA】
1. 意見募集のための案 ホメオパシー医薬品の広告ガイドライン

【COT】
1. 2011年11月1日の会合の議事録案

【BfR】
1. 動物への抗菌剤使用による影響についてのQ & A

【FDA】
1. FDAはヒトの病気治療に重要なクラスの抗菌剤を守る
2. 警告文書(2011年12月27日、2012年1月3日発表分)

【CDC】
1. 発表:全国先天性欠損予防月間と葉酸啓発週間 2012年1月

【TGA】
1. 安全性警告

【NZFSA】
1. 研究は女性の葉酸レベルが増加していることを指摘

【香港政府ニュース】
1. 27食品が検査に不合格

【その他】
・(ProMED-mail)アフラトキシン、ミルク、調理油 中国
・(ProMED-mail)アルコール中毒 インド メタノールの疑い

登田美桜
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国立医薬品食品衛生研究所安全情報部第三室主任研究官 とだ・みおう 農学博士。国立医薬品食品衛生研究所は、医薬品、食品、その他生活環境中に存在する物質について、品質、安全性、有効性を評価するための試験、研究、調査を行う機関。 安全情報部の「食品安全情報」は、食品の安全性に関する国際機関や各国公的機関等の最新情報を伝える。