リスク評価の研究に資金援助

国立医薬品食品衛生研究所は、食品安全情報(化学物質)No.24(2014.11.26)を発表した。

注目記事

【FDA】回収情報:Solgar社はDophilus® PowderをClassⅠ自主回収

 Solgar社が、ムコール菌症を起こすRhizopus oryzaeを含むという理由で製品「ABC Dophilus® Powder」を自主的に回収していると米国食品医薬品局(FDA)が発表した。ムコール菌症は希な感染症で、特に乳幼児や免疫系が弱い人達に健康の問題を引き起こす。当該製品が院内で妊娠32週未満で生まれた未熟児に使用され、ムコール菌症などの合併症を生じて2014年10月11日に死亡した。

※ポイント:本件については、英国食品基準庁(FSA)もSolgar UKの販売製品を回収対象とすることを発表しています。この問題のポイントは、最も重要度の高いClassⅠ回収であること、未熟児に対して医師がサプリメントを与えていたこと、感染した場合には重症化すること、サプリメントは医薬品のような徹底した製造管理がされているわけではなく粗悪品も多いことから有害な化学物質や重金属汚染だけでなくカビや今回のような病原菌などによる汚染も珍しいことではないということです。個人輸入用製品がインターネット等で販売されているため、厚生労働省も注意喚起を出しています。

※製品ラベルの写真
http://www.fda.gov/Safety/Recalls/ucm423220.htm

※【厚生労働省】健康食品(ABC Dophilus Powder)に関する注意喚起
http://wwwhaisin.mhlw.go.jp/mhlw/C/?c=205417

※編集部註:Rhizopus oryzae=クモノスカビの一種。

※関連記事:食品安全情報(微生物)No.24(2014.11.26)「Solgar社が健康補助食品『エービーシードフィルスパウダー』を自主回収」

【EFSA】食品由来病原体の分子アプローチおよび化学ハザード類推法に新たな研究費

 欧州食品安全機関(EFSA)のリスク評価作業における重要分野(微生物ハザード、化学ハザード)において、加盟国の科学研究機関を対象にした研究資金援助の募集を行うと公表した。化学ハザード評価については、類推方法論の開発研究を課題としている。

※ポイント:食品中の化学物質に関する安全性評価の方法やデータの取り方は時代とともに変化しています。近年は動物福祉などの問題から、哺乳動物を用いない代替試験法の開発研究がなされたり、化学物質の化学構造やその構造から類推される作用をもとに評価しようという傾向があります。EFSAがこの分野に資金援助をして、方法論の研究だけでなく根拠の重み付けを用いたケーススタディが行われることの意義は大きいでしょう。

【RIVM】若年での遺伝毒性発がん物質への暴露:環境化学物質の変異原性影響への子どもの感受性を評価する実験的研究

 オランダ国立公衆衛生環境研究所(RIVM)が、抗がん剤成分2種(エトポシド、シスプラチン)とアクリルアミド、ベンゾ(a)ピレンを用いて、変異原性影響の感受性に年齢による違いがあるかを検討し、その結果をまとめた報告書。以前に検討したベンゾ(a)ピレンでは若齢で感受性が高くなかったが、新たに検討した3物質ではそのような結果は得られなかった。RIVMは、変異原性影響への感受性が若齢で高くなるのは作用メカニズムに依存するとしている。

(安全情報部第三室)

食品安全情報へのリンク

食品安全情報
http://www.nihs.go.jp/hse/food-info/foodinfonews/index.html

食品安全情報(化学物質)No.24(2014.11.26)
http://www.nihs.go.jp/hse/food-info/foodinfonews/2014/foodinfo201424c.pdf

今号の目次

【EC】
1. 食品獣医局(FVO)査察報告書:チュニジア
2. 食品及び飼料に関する緊急警告システム(RASFF)

【EFSA】
1. マイコトキシン世界フォーラムでのEFSA―カビをやっつける
2. 食品由来病原体の分子アプローチ及び化学ハザード類推法に新たな研究費
3. 食品と接触する物質関連
4. 香料グループ評価
5. 遺伝子組換え植物関連
6. 農薬の職業暴露:最新知見と予防や防護の展望
7. Alternaria毒素の複合トキシコキネティクスとin vivo遺伝毒性試験
8. 葉酸の食事摂取基準値に関する科学的意見
9. 飼料添加物関連
10. 健康強調表示関連

【FSA】
1. Solgar UKは真菌Rhizopus oryzaeを含むABC Dophilus食品サプリメントのバッチを回収

【ASA】
1. ASA裁定

【RIVM】
1. 若年での遺伝毒性発がん物質への暴露:環境化学物質の変異原性影響への子どもの感受性を評価する実験的研究

【ANSES】
1. 動物に使用する抗生物質:使用量と耐性の低さは確認されたが、努力は継続しなければならない

【FDA】
1. 公示
2. 医薬品安全性警告
3. 回収情報
4. 警告文書
5. FDAとアジア太平洋の仲間が食品の安全性に焦点をあてる
6. FDAは食品施設登録についての更新企業向けガイドを発表

【NTP】
1. 発がん物質報告書候補物質についてのページ作成
2. F344/N Nctr ラットおよびB6C3F1/Nctr マウス(飲水試験)(TR-588)におけるグリシダミド(グリシドアミド)の毒性及びがん原性試験テクニカルレポート

【EPA】
1. 連邦と州の機関と、コメ生産者と企業が絶滅危惧のサケ及びニジマスをさらに守るために協力する

【US GAO】
1. FDAとUSDAは残留農薬モニタリング計画を強化しさらにモニタリングの限界を開示すべき

【CFIA】
1. 12ヶ月以上に渡る食品19,000検体以上の検査で97%以上が基準を遵守
2. 食品表示近代化
3. カナダの食品安全システムは世界でも最良に格付けされた

【FSANZ】
1. 食品基準通知

【TGA】
1. 安全性助言:ミラクルミネラル溶液

【香港政府ニュース】
1. ペルオキシド過剰のラードが発見された
2. 漢方薬リコール
3. 残留農薬検査
4. 牛肉の検査不合格
5. 健康的な食事のために塩と砂糖の摂取量を減らそう

【MFDS】
1. 日本産輸入食品の放射能検査の結果
2. 安全で栄養がある子どものおやつをどのように選ぶか?
3. 食品医薬品安全庁、東部大宇電子と業務協約を締結
4. ドライフルーツに入っている亜硫酸塩、一度調べてお召し上がりください!
5. 肥満治療薬類似物質の検出「その他加工品」回収措置
6. 残留農薬不適合の輸入バナナの回収•差し押さえ措置
7. 「統合食品安全情報システム」の名称を募集

【その他】
・食品安全関係情報(食品安全委員会)から
・(ProMed-mail)ムコール菌症USA(第3報):致死的、未熟児、プロバイオティクス、リコール、警告
・(EurekAlert)セリアック病の謎の新しい手がかり:オート麦の毒性の原因が説明された