欧州食品安全機関がトウモロコシのマイコトキシン規制値緩和のリスク評価行う

国立医薬品食品衛生研究所は、食品安全情報(化学物質)No.12(2014.06.11)を発表した。

注目記事

【EFSA】トウモロコシのマイコトキシン――委員会のための緊急の科学的助言

 2014年4月29日、フランス当局が欧州委員会に対し、例外的な気候条件のために2013年に欧州で収穫したトウモロコシ中のマイコトキシンが非常に高濃度になっており、その影響はトウモロコシ粉へも及び経済的に混乱を生じる可能性があると報告した。さらにフランス当局がマイコトキシンの規制値について次の収穫シーズンを迎えるまでの一次的な(2014年末まで)緩和を求めたことを受けて、欧州食品安全機関(EFSA)が規制値を緩和した場合のリスクの増加について評価を行った。

 EFSAの評価では、濃度の一次的な上昇が公衆衛生に重大な影響を与える可能性は低いと推定された。

※ポイント:フランス当局から規制値の緩和が提案されているのは、フザリウム属が産生するデオキシニバレノール、ゼアラレノン、フモニシンです。EFSAの評価結果を受けて、欧州委員会ではこれから規制値の緩和を認めるかどうか検討されるので、現時点では緩和が現実のものとなるのかは不明です。

 今回のように汚染の程度と経済的影響を考慮して規制値の一次的緩和が検討され、しかもEFSAによる緊急リスク評価がフランス当局の提案から1カ月未満で終了しているという対応には、学ぶことが多いと感じています。

【EFSA】EFSAはEUメニュー調査のための最新のデータ要請を開始

 EFSAが、EUメニュー計画(EU Menu project)の一環として、データ収集契約の入札を加盟国機関に募集している。EUメニュー計画の目的は、共通の方法とツールを用いて欧州の消費者の食品摂取に関する情報を集約し、欧州食品摂取量データベースを確立することである。欧州食品摂取量データベースの確立は、EFSAの長期目標の一つである。

※ポイント:暴露評価のための食品摂取量データベースを作ることがEFSAの長期目標になっていて、定期的にデータを集めようとしている姿勢からもわかるように、EFSAが食品摂取量データを非常に重要なものであると考えている点に注目です。

【MPI】新しい食品法――事業者にとってどういう意味があるか

 ニュージーランドでは食品関連の法律の1つである「Food Act 1981」の見直しが行われ、新たに「Food Act 2014」が提案された。今後21カ月に渡りニュージーランド一次産業省(MPI)が規則やツール、ガイドラインを開発し、その間、新しい食品安全システムについて意見を述べる機会を設け、積極的対話が行われる。2016年3月1日に完全発効した際は、Food Act 1981に代わるものとなる。法改正を受けて食品事業者が移行するための猶予期間は3年である。

※ポイント:「Food Act 1981」はニュージーランドの食品関連法の1つで、食品事業者はこの法の下に作られた規則(regulation)や基準(standard)を遵守する必要があります。食品関連法は他に、「Animal Products Act 1999」「Agricultural Compounds and Veterinary Medicines Act 1997」「Wine Act 2003」があります。

※参考:New Zealand food legislation
http://www.foodsafety.govt.nz/policy-law/food-regulation/nz-food-legislation/

(安全情報部第三室)

食品安全情報へのリンク

食品安全情報
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/index.html

食品安全情報(化学物質)No.12(2014.06.11)
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/2014/foodinfo201412c.pdf

今号の目次

【WHO】
1. 国際がん研究機関(IARC):5大陸のがん罹患率 更新

【EC】
1. 合成生物学の定義に関する最初の予備的意見について意見募集
2. 食品獣医局(FVO)査察:ドイツ、イタリア
3. 食品及び飼料に関する緊急警告システム(RASFF)

【EFSA】
1. 残留農薬基準の遵守率は三年連続97%以上
2. トウモロコシのマイコトキシン―委員会のための緊急の科学的助言
3. 意見募集:表示を目的としたアレルギー性の食物と食品成分の評価
4. EFSA第21回科学討論会:多様な化学物質への複合暴露のヒトと環境リスク評価のハーモナイゼーション
5. EFSAはEUメニュー調査のための最新のデータ要請を開始
6. 新興GM技術のリスク評価の影響を調査する国際的なワークショップ
7. 委員会規則(EU)No 257/2010により再評価される食品添加物のリスク評価のための概念的枠組みについての声明
8. 食品添加物としてのヘキサメチレンテトラミン(E 239)の再評価に関する科学的意見
9. 食品と接触する物質関連

【FSA】
1. 鶏冠抽出物に意見募集

【BfR】
1. 食品の安全性とグローバル化:挑戦と機会

【ANSES】
1. 食品中の残存農薬:EFSAとANSESは結論を発表

【FSAI】
1. 一般食品表示についてのオンラインコース

【FDA】
1. 高強度甘味料
2. 消費者向け情報:しばしば薬物と肝臓はうまくいかない
3. FDA は価値あるFDAの公開データへの簡単なアクセスを提供するopenFDAを発表
4. FDAと連邦関係機関は食品安全分析に関する省庁間協力(IFSAC)ウェブサイトを作成
5. FDAは食品施設登録についての最終コンプライアンス政策ガイドを発表
6. FDAは乳児用調製乳の製造基準を設定した最終規則を発表
7. 公示(2014年6月2日、5日公表分)
8. 警告文書(2014年3月28日~5月22日分)
9. 回収情報

【CFIA】
1. 企業向け通知:大豆と飼料品種について登録プロセス簡素化

【FSANZ】
1. 通知

【MPI】
1. 新しい食品法-事業者にとってどういう意味があるか

【香港政府ニュース】
1. マッドハニー中毒の疑い事例をCHPが調査中
2. 有害農薬への食事からの暴露は少ない

【MFDS】
1. 参考資料 日本産輸入食品の放射能検査の結果
2. 韓国国民の水銀暴露は安全なレベル
3. 農水産物の先制的安全管理の強化
4. 海外旅行でこのような食品は購入しないでください!
5. 韓国国民の食品着色料の摂取量は安全レベル

【AVA】
1. AVAは日本からの輸入食品の制限を緩和

【FSSAI】
1. 炭化カルシウムを用いて人工的に熟成させた果実の喫食は健康上問題となる可能性がある

【その他】
・食品安全関係情報(食品安全委員会)から