FSANZが発表した食品レギュラトリーサイエンス戦略に注目

国立医薬品食品衛生研究所は、食品安全情報(化学物質)No.10(2014.05.14)を発表した。

注目記事

【EFSA】塩化ジデシルジメチルアンモニウム(DDAC)および塩化ベンザルコニウム(BAC)の提案された暫定最大残留基準値(MRLs)の食事リスク評価に関する理由付き意見

 欧州食品安全機関(EFSA)は、すべての食品を対象とした、塩化ジデシルジメチルアンモニウム(DDAC)および塩化ベンザルコニウム(BAC)の暫定MRLとして提案されている各0.1mg/kgについて評価することを欧州委員会から要請された。評価には、ドイツ連邦リスクアセスメント研究所(BfR)が導出した両化合物についての許容一日摂取量(ADI)0.1mg/kg bw/day、急性参照用量(ARfD)0.1mg/kg bwを使用した。

 リスク評価の結果、提案された暫定MRLはEUの消費者にとって十分に保護的であった。しかしながら、さまざまなデータ不足があり不確実性が高いことから、このリスク評価は単なる参考としている。

※ポイント:DDACやBACは消毒剤などに使用される成分ですが、EUでは数年前から飼料、柑橘類や熱帯フルーツ等でデフォルト値(0.01mg/kg)を超えて検出されて問題になっていました。欧州委員会は2012年に暫定的に0.5mg/kgを指標値として決めていたのですが、その後モニタリングが実施され、残留データが集まってきたために今回新たに暫定MRLとして0.1mg/kgを提案してEFSAへリスク評価を依頼したというものです。

 EFSAが、さまざまなデータ不足があり不確実性が高い状況だとしても、どのようなデータが不足しているのか明確にして、参考としての意見であるとした上で、結論を出しているところに注目です。

【BfR】バイオサイド(殺生物剤)の最大残留基準設定方法について専門家の議論

 2014年3月18~19日、BfRと欧州委員会が共同で「バイオサイドのMRL設定に関する欧州会議」を開催した。その結論の1つは、食品や飼料中の残留バイオサイドについて最大残留基準(MRL)を設定する必要があり、その方法を検討しなければならないというものであった。

※ポイント:昨年、バイオサイドの流通や使用に関する新しい規制(Regulation(EU)No 528/2012)が施行されたこと受けて行われたものです。上記の四級アンモニウム化合物のような事例も関係する可能性がありますので、バイオサイドの食品中の残留について欧州では今後どのように取り扱われるようになるのか気にしておくとよいでしょう。

※編集部註:バイオサイド=工業製品の微生物汚染を防ぐ薬剤(防腐剤、防かび剤、防藻剤、防虫剤、忌避剤、木材防かび剤)。EUのバイオサイド製品規則は通称BPR(Biocidal Products Regulation)。

【FSANZ】科学戦略履行計画2014-15

 オーストラリア・ニュージーランド食品基準局(FSANZ)が、今年度の食品レギュラトリーサイエンスの戦略・目的と現在の実施状況をまとめた文書を報告した。

※ポイント:最も注目すべきは、関係するスタッフの科学的能力の強化と情報・データの収集・分析の強化に力を入れているところ、規制影響評価のための経費費用モデルの開発を行っているところです。我が国も見習いたい姿勢です。

※編集部註:レギュラトリーサイエンス=科学技術の成果を支える信頼性と波及効果を予測及び評価し、リスクに対して科学的な根拠を与える科学である(文部科学省「平成23年版科学技術白書」)。

(安全情報部第三室)

食品安全情報へのリンク

食品安全情報
http://www.nihs.go.jp/hse/food-info/foodinfonews/index.html

食品安全情報(化学物質)No.10(2014.05.14)
http://www.nihs.go.jp/hse/food-info/foodinfonews/2014/foodinfo201410c.pdf

今号の目次

【WHO】
1. WHO/UNICEFは飲料水と衛生改善の格差をさらに削減する必要性を強調

【EC】
1. 食品獣医局(FVO)査察報告書:ポーランド
2. 食品及び飼料に関する緊急警告システム(RASFF)

【EFSA】
1. 塩化ジデシルジメチルアンモニウム(DDAC)及び塩化ベンザルコニウム(BAC)の提案された暫定最大残留基準値(MRLs)の食事リスク評価に関する理由付き意見
2. 食品添加物として提案された使用によるステビオール配糖体(E 960)の改訂暴露評価に関する科学的意見
3. 食事摂取基準値:EFSAはヨウ素の適切な摂取量を提案
4. 農薬有効成分と土壌での分解産物のDegT50値を得るための実験室及び野外消散試験の評価のためのEFSAガイダンス
5. 健康強調表示関連
6. 食品と接触する物質関連
7. 飼料添加物関連

【FSA】
1. 新規食品成分関連
2. スコットランドの食品事業者向け貝毒ガイド
3. スピリッツ飲料企業ガイド発行

【MHRA】
1. プレスリリース:規制機関は有毒な可能性のあるハーブ医薬品をオンラインで購入することについて警告
2. プレスリリース:ハーブ自由販売期間終了

【BfR】
1. 国家残留物管理計画2012年及び輸入管理計画2012年の結果に関する評価報告書
2. バイオサイド(殺生物剤)の最大残留基準設定方法について専門家の議論

【RIVM】
1. 環境健康リスクの科学的シグナルについての新しい知見
2. 新規食品/成分の市販後モニタリング:添加物ステビアに適用した方法論
3. 企業から提供された使用量を用いたE150食用色素の暴露評価精細化
4. 現在のヒト健康リスク評価の強みと弱点を同定する:ワークショップ報告
5. 廃電子機器や装置の臭素化難燃剤

【FDA】
1. FDAは食品安全近代化法(FSMA)の運用戦略文書を発表
2. FDA作業チームは食品安全法実装の準備をする
3. FDAは食物アレルゲン表示例外申請と通知についての企業向けガイダンス案を発表
4. FDAとUSDAはナマズ目の魚とその製品の主な規制監視をFDAからFSISへの移行を促進する覚え書きに署名
5. 回収
6. 公示
7. 警告文書(2014年4月18日~5月6日公表分)

【EPA】
1. EPA は2,4-D とグリホサートを含むEnlist Duo除草剤の登録決定案に意見募集
2. EPAは水圧破砕に用いられる化学物質や混合物の透明性拡大についてパブリックコメントを募集

【FSANZ】
1. 最新オーストラリアトータルダイエットスタディ発表
2. 科学戦略履行計画2014-15
3. 回収
4. 食品基準通知

【APVMA】
1. 2014年6月1日から、全てのタイロシン製品は処方薬となる

【TGA】
1. 警告
2. 補完医薬品:コンプライアンスレビュー後のARTG登録抹消

【香港政府ニュース】
1. 2食品が安全性検査に不合格

【MFDS】
1. 日本の原発関連食品医薬品安全処の対応と管理動向〔46〕
2. 参考資料 日本産輸入食品の放射能検査の結果
3. 2013年の韓国内.外の食品安全情報の収集.分析の結果
4. 台所の調理器具などの食品用器具及び容器.包装中の重金属は安全なレベル
5. 合成樹脂製器具及び容器包装から移行の懸念がある物質の安全レベル
6. 流通中のムール貝、コマク(ザルガイ科)などの貝類は、安全なレベル
7. 食品安全管理を強化する法律、国会本会議通過
8. 医薬品成分を含む食品の製造.流通を行った無登録者拘束
9. 調製粉乳などの畜産物加工品の履歴管理(トレーサビリティ)制度の導入

【HSA】
1. HSAは表示に記載のない強力な西洋薬成分を含むさらに6つの「ハーバルヘルス」製品について警告
2. HSAは海外から購入した2つの違法鎮痛製品に強力な西洋薬成分が含まれると警告

【その他】
・(Birth Defects Res A Clin Mol Teratol)二分脊椎のリスク要因(症例対照研究)と日本での二分脊椎頻度