2012年食の10大ニュース[7]

  1. 山中伸弥先生、ノーベル賞受賞
  2. 食品中の放射性物質、基準値超えほぼなくなる
  3. 食品表示一元化に向けた検討が行われる
  4. 浅漬けによる食中毒発生
  5. 不活化ワクチン ポリオ
  6. 母胎の血液を用いたDNA診断が始まる
  7. 「ヒトゲノム遺伝子解析研究に関する倫理指針」見直し
  8. 新学習指導要領走り出す
  9. 報告書「FOOD 2040」(東アジアの食と農の未来)が発表された
  10. 複合病害耐性遺伝子組換えイネの試験栽培

【おまけ】「食品安全モニター・アンケート調査」で遺伝子組換え食品の順位下がる

1. 山中伸弥先生、ノーベル賞受賞

 東日本大震災から1年が経ち、失われた科学・技術への信頼を取り戻したいと願っていた科学・技術の関係者は多かったと思います。その中で、山中先生のノーベル賞受賞は多くの関係者が励まされ、その誠実な姿勢に襟を正した出来事でした。

 iPS細胞を用いた再生医療、創薬の発展を支えるためには、研究資金の集中投下が不可欠ですが、市民への周知、理解が進むような活動の継続的実施のための仕組みづくりや助成も重要だと思います。

2. 食品中の放射性物質、基準値超えほぼなくなる

 いくつかの地方自治体、福島県、国立医薬品食品衛生研究所などの検査結果が以下で報告されています。基準値超えはなきに等しい状況となっています。

●食品中の放射性物質の検査結果について
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000002rl4z.html

3. 食品表示一元化に向けた検討が行われる

 8月9日、消費者庁より食品表示一元化検討会報告書が公開され、新食品表示制度の法的整備作業が行われています。

4. 浅漬けによる食中毒発生

 8月7日、札幌保健所に高齢者施設の入所者7名に下痢と血便という報告があり、その後、被害が広がりました。立ち入り検査などが行われましたが、事故発生に至った原因の確定はできませんでした。

●食の安全を考える〜浅漬けによる食中毒問題の教訓
http://www.life-bio.or.jp/topics/topics524.html

●「食の安全を考える~浅漬けによる食中毒問題の教訓~」開かれる
→こちら

5. 不活化ワクチン ポリオ

 9月1日、不活化ポリオワクチン(初回接種3回、追加接種1回の皮下注射)が導入されました。生ポリオワクチン(経口接種)を1回接種した子どもは、不活化ポリオワクチンを3回接種することになります。

6. 母胎の血液を用いたDNA診断が始まる

 国立生育医療センターなど国内数箇所の医療施設で、胎児がダウン症であるかどうかを調べる妊婦の血液検査が9月から始まりました。羊水検査は流産を誘発する可能性が0.3%ありましたが、流産のリスクがなくなり、精度はわずかに下がって99%となりました。

 出生前診断の持つ意味の周知と両輪で進めていかなくてはならないと思います。

7. 「ヒトゲノム遺伝子解析研究に関する倫理指針」見直し

 文部科学省・厚生労働省・経済産業省が所管する“三省指針”の見直しが2011年4月から行われてきました。パブリックコメントを受けて、4月16日に検討委員会が開催されました。改訂された指針はまだ公開されていません。

●ヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する倫理指針(厚生労働省)
http://www.mhlw.go.jp/general/seido/kousei/i-kenkyu/genome/0504sisin.html

8. 新学習指導要領走り出す

 改訂された新学習指導要領に従った教育が、2012年4月から小学校、中学校、高等学校の数学・理科において行われています。授業内容・時間数が増しました。理科支援員の配置など、ただでさえ忙しい先生方が教育に集中できるような制度整備が必要です。

●新学習指導要領・生きる力(文部科学省)
http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/new-cs/idea/index.htm

9. 報告書「FOOD 2040」(東アジアの食と農の未来)が発表された

 アメリカ穀物協会が文献調査と有識者のヒアリングを元にまとめた表記報告書を5月に公開しました。このような長期的で広い視野で検討された成果を、日本の食と農の将来を考えるときに有効に利用してもらいたいと思います。

●FOOD 2040
http://www.usdajapan.org/food2040/

10. 複合病害耐性遺伝子組換えイネの試験栽培

 2012年5月、農業生物資源研究所が申請したイネの遺伝子「WRKY45」(ワーキー45)を導入した複合病害耐性遺伝子組換えイネの第一種使用が承認されました。

 優れた形質であるばかりでなく、同一遺伝子を導入して得られた数十系統ずつの組換え体に付随する行為の申請が、海外のように一括承認されたことが注目されています。

おまけ. 「食品安全モニター・アンケート調査」で遺伝子組換え食品の順位下がる

 食品安全委員会が毎年実施している「食品安全モニター・アンケート調査」において、「不安を感じる食に関連する項目」を尋ねる問いで、遺伝子組換え食品が下から2番目になりました。この3年間50%を下回っています。

 また、BSEも同様に低くなっています。

「遺伝子組換え食品は市民に受け入れられない」と言われていますが、このアンケート結果をみると、メーカー、流通、小売、消費者、消費者グループなど、それぞれの立場で認識が少しずつ異っているような印象を受けます。

●食品安全モニターからの報告
http://www.fsc.go.jp/monitor/monitor_report.html


2012年の10大ニュース
《特別企画》2012年食の10大ニュース[一覧]
これまでの「10大ニュース」
《特別企画》2011年食の10大ニュース[一覧]
《特別企画》2010年食の10大ニュース[一覧]
佐々義子
About 佐々義子 37 Articles
くらしとバイオプラザ21常務理事 さっさ・よしこ 1978年立教大学理学部物理学科卒業。1997年東京農工大学工学部物質生物工学科卒業、1998年同修士課程修了。2008年筑波大学大学院博士課程修了。博士(生物科学)。1997年からバイオインダストリー協会で「バイオテクノロジーの安全性」「市民とのコミュニケーション」の事業を担当。2002年NPO法人くらしとバイオプラザ21主席研究員、2011年同常務理事。科学技術ジャーナリスト会議理事。食の安全安心財団評議員。