減農薬・減肥料の潜在的リスク

No.21(2023.10.11)

シロバナヨウシュチョウセンアサガオ(author: Skäpperöd https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Dat_str_tat8.jpg?uselang=en)

国立医薬品食品衛生研究所が集めた食品の安全性に関する国際機関や各国公的機関等の最新情報から。欧州食品安全機関は食品分野の新興リスクに関する技術的報告書を発表。これには農薬や肥料の使用減少に関連する潜在的な新興リスクの指摘が含まれる。欧州化学品庁は、PFAS規制案の提出を受けた。欧州委員会は亜硝酸塩および硝酸塩の関連規則を改正した。

注目記事

【EFSA】2021年の新興リスクに関するEFSAの活動

 欧州食品安全機関(EFSA)が2021年の食品分野の新興リスクに関する技術的報告書を発表した。EU加盟国から提案された新興問題18件のうち、新興リスクとして見なされたのは8件であった。新興リスクとされたのは、フードサプリメント中のビタミンDの過剰摂取リスク、ココナッツオイルの健康リスク、農薬や肥料の使用減少に関連する潜在的な新興リスク、フランスの貝のブレベトキシン(神経性貝毒)、などである。

※ポイント:新興リスクと見なされた問題のうち興味深かったのは「農薬や肥料の使用減少に関連する潜在的な新興リスク」です。EUは2020年5月に発表した「農場から食卓まで戦略」(Farm to Fork Strategy)の中で、2030年までに化学農薬の総使用量を50%削減、肥料の使用量を50%削減、全農場のうち25%を有機農業にするという目標を掲げています。しかし、その戦略の弊害が徐々に出てきているようで、とうとうヒトと家畜にとって科学的な観点からリスクの可能性が指摘されたわけです。

 化学農薬の使用削減による弊害として、作物の損害につながる害虫の増加、農場でのヨウシュチョウセンアサガオの発生による家畜被害や食用作物への混入が例として挙げられていました。ヨウシュチョウセンアサガオには有毒成分トロパンアルカロイドが含まれ、実際にEUでは食用作物への種子の混入によるリコールや中毒がしばしば発生しています。

【ECHA】PFAS制限提案について5,600以上の意見を受け取る

 2023年1月13日に欧州5カ国(デンマーク、ドイツ、オランダ、ノルウェー、スウェーデン)から、パーおよびポリフルオロアルキル化合物(PFAS)に分類されるすべての化合物の生産と使用を制限するという規制案が欧州化学品庁(ECHA)へ提出された。この規制案について2003年3月22日から9月25日まで6カ月間のパブリックコメントが行われ、EU域外の国も含めた4,400以上の組織、企業、個人から意見や情報が提出された。

※ポイント:制限の対象が約1万種に及ぶすべてのPFASであり、想定される影響が甚大なことから、世界中から高い関心が寄せられ多数の意見が提出されています。本記事のサイトには意見を寄せた国別順位のグラフが掲載されていて、そのグラフによると日本の企業や業界団体からも相当数の意見が提出されています。意見の提出者一覧とその内容が公開されており、閲覧可能です。ECHAの以前の発表によると、本規制は2025年の制定を目指しているとのことです。

【EC】委員会規則(EU)2023/2108:食品添加物である亜硝酸塩(E249-250)および硝酸塩(E251-252)の関連規則を改正

 食品添加物である亜硝酸塩(E249-250)および硝酸塩(E251-252)の使用に関する欧州議会および理事会規則(EC)No1333/2008の附属書Ⅱ、並びに欧州委員会規則(EU)No231/2012の附属書を改正し、現行要件を変更する規則が発出された。主な改正点は、亜硝酸塩および硝酸塩の規格の変更、対象品目の細分化、使用基準の引き下げなどである。

(安全情報部第三室)

食品安全情報へのリンク

食品安全情報
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/index.html
食品安全情報(化学物質)No.21(2023.10.11)
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/2023/foodinfo202321c.pdf

今号の目次

【WHO】
1. 特定の食品添加物の安全性評価:FAO/WHO 合同食品添加物専門家会議(JECFA)の第
95回会合

【FAO】
1. FAO/WHO GIFT 世界の個別食品摂取データツール
2. Codex

【EC】
1. 予防できることに取り組む-食品ロスと廃棄
2. SCCS(消費者安全に関する科学委員会)
3. 委員会規則(EU)2023/2108:食品添加物である亜硝酸塩(E249-250)及び硝酸塩(E251-
252)の関連規則を改正
4. 査察報告書
5. 食品及び飼料に関する緊急警告システム(RASFF)

【ECHA】
1. PFAS 制限提案について5,600以上の意見を受け取る

【EFSA】
1.2021年の新興リスクに関する EFSA の活動
2. 食品酵素関連
3. 新規食品関連
4. 食品接触物質関連
5. 農薬関連
6. 飼料添加物関連

【FSA】
1. 精密育種製品の検出のための分析法に関する文献レビュー
2. リスク評価(23件)

【FSS】
1. 新しい育種技術(NBTs)の消費者研究

【DEFRA】
1. 家庭の食品データ

【DHSC】
1. ノー及び低アルコール飲料を勧めるための対策をとる

【BfR】
1. リスク研究者 Hensel 氏へのインタビュー:「人々は、自分たちがゆっくりと毒されていることを恐れている」

【RIVM】
1.「食品安全シグナリング審議」2022年次報告
2. 地元住民の健康リスクと周辺環境の質への Tata Steel の寄与
3.「若いときから健康的食生活を学ぶ」推進計画第2、3及び4回目の「美味しい食品を求めて外に出かけよう」の評価、2019-2022学年度

【ANSES】
1. 動物の薬剤耐性:優先的にモニタリングする細菌/抗生物質の組み合わせ
2. フランス海外領のサンゴ礁:化学物質の影響が確認される

【FDA】
1. ヒト食品に関する予防管理規則に関するガイダンス案の新たな2章を発表する
2. シーフード安全性更新
3. 農産物安全規則の下でのスプラウトオペレーションに関するガイダンス案を最終決定し、一部セクションをガイダンス案改訂版として発表する
4. よくある質問:FSMA 食品トレーサビリティ規則
5. ヒト用食品の輸入
6. 警告文書

【EPA】
1. コミュニティを永遠の化合物からより良く守るために PFAS データの報告を求める規則を最終化する

【USDA】
1. APHIS は日本からの各種柑橘類とハイブリッド果物の輸入のための病害虫リスク評価案にパブリックコメント募集(2023年10月25日まで)
2. APHIS 規制状態レビュー表
3. 科学者がトウモロコシの重要なアミノ酸を増やす

【CPSC】
1. リコール情報

【CFIA】
1. リコール情報

【FSANZ】
1. 食品基準通知

【APVMA】
1. 特定のジメトエート製品の停止

【NSW】
1. リコール情報

【MPI】
1. 公衆衛生警告

【香港政府ニュース】
1. 食品安全命令に違反した疑いのある日本から輸入された水産物、野菜、海藻製品を調査
2. 違反情報

【MFDS】
1.日本産輸入食品の放射能検査の結果
2. がん患者などのためのオーダーメード型栄養補助食品の開発を支援します
3. 原材料含有量を虚偽表示した離乳食製造業者を摘発・措置
4. 健康機能食品の人体適用試験設計、もう難しくありません
5. 抗生剤耐性低減のために国際機関と頭を合わせる
6. 食薬処長、民間放射能検査機関に徹底した試験・検査を要請
7. リコール情報

【SFA】
1. 海洋水産養殖センターの20年:地域の水産養殖の水準を高め、より持続可能な未来を描く
2. リコール情報

【HSA】
1. HSA 警告:高濃度の禁止物質シブトラミンや勃起不全治療薬など、強力な医薬品成分が含まれる3製品を検出

【FSSAI】
1. 祭日シーズンを前に食品と原料の安全性と品質基準を守ることを強調
2. 乳と乳製品にプロテインバインダー添加は認められていないことを明確にする

【その他】
・食品安全関係情報(食品安全委員会)から