日本の減塩政策実施は低レベル

No.06(2023.03.15)

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国立医薬品食品衛生研究所が集めた食品の安全性に関する国際機関や各国公的機関等の最新情報から。WHOは各国の減塩政策やその他の措置の実施状況に関するスコアリング結果を発表。WHO加盟194カ国のうち、推奨されているすべての減塩政策を実施しているのは9カ国に留まった。各国で食品偽装対策が進んでおり、このほどカナダ食品検査庁も報告書を発表した。

注目記事

【WHO】ナトリウム摂取の低減化に関するWHO世界報告書を発表

 世界保健機関(WHO)は、各国の減塩政策やその他の措置の実施状況に関するスコアリング(Sodium Country Score;最低1〜最高4)の結果をまとめた初の報告書を発表した。WHO加盟194カ国のすべてが2030年までに30%の減塩を公約しているが、推奨されているすべての減塩政策を実施しているのは9カ国(全体の5%)とわずかである。そのためWHOは、健康増進と非伝染性疾患の負荷軽減のために、政府主導の包括的な減塩義務化政策などの迅速な実施を呼び掛けている。

※ポイント:日本のスコアは2でした。ナトリウムの包装前面表示などの義務的な政策が導入されていると3以上のスコアになるのですが、日本では産官学が連携して減塩等の推進事業に取り組んではいるものの自主的な措置にとどまっているためです。

【厚生労働省】自然に健康になれる持続可能な食環境づくり
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/eiyou/syokuji_kijyun_00005.html

【CFIA】カナダ政府は100,000kg以上の虚偽表示された食品がカナダで販売されるのを防ぐ

 カナダ食品検査庁(CFIA)は「食品偽装年次報告書」を発表した。報告書には、偽装表示されることがある魚、蜂蜜、肉、オリーブオイル、その他の高価なオイル、スパイス類を対象にサンプリングし、その真正性について調査した。

※ポイント:食品偽装への対策強化はEUが先導した印象がありますが、ここ数年、他国も力を入れているようです。今回のカナダの調査では蜂蜜(糖類の添加)と高価なオイル(低価格オイルによる希釈)で偽装の割合が他の品目よりも高い結果となりました。

【EC】欧州委員会規則の改訂

食品汚染物質の最大基準値の改訂:ヒ素

 欧州食品安全機関(EFSA)による食品中の無機ヒ素への暴露評価の結果に基づき、EUの食品汚染物質の最大基準値(ML)を定めている規則(EC)No1881/2006を改訂した。

 新たに無機ヒ素のMLが設定された品目は、乳児用調製乳、フォローアップフォーミュラ、乳児用特別医療目的用食品、幼児用調製乳、ベビーフード、米粉、ノンアルコールコメ由来飲料、果実飲料、濃縮還元果実飲料、果実ネクター。またパーボイルドライスを除く精米に対する無機ヒ素のMLが引き下げられた。食塩には総ヒ素のMLが設定された。

セミカルバジドのRPAの適用規定の改訂

 EUでは委員会規則(EU)2019/1871のもと、動物性食品への使用が禁止され最大残留基準値(MRL)が設定されていない薬理活性のある物質についてRPA(reference points for action)を設定し、食品安全に係わるEU法への適合判定に用いている。対象物質のうちニトロフラゾン(ニトロフラン類)の代謝物であるセミカルバジド(SEM)が、動物性食品におけるニトロフラゾンの違法使用だけでなく、一部の食品で加工中に生じる可能性があるとして、それらの食品へのSEMのRPAの適用について新たに例外規定を定めた。

(安全情報部第三室)

食品安全情報へのリンク

食品安全情報
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/index.html
食品安全情報(化学物質)No.06(2023.03.15)
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/2023/foodinfo202306c.pdf

今号の目次

【WHO】
1. 出版物
2. ナトリウム摂取の低減化に関する WHO 世界報告書を発表
3. 魚食のリスクとベネフィットについての FAO/WHO 合同専門家会合の専門家募集
4. 国際がん研究機関(IARC)

【FAO】
1. 健康的な食事のコストとどれだけ多くの人がそれらを入手できないのかを示す世界指標
2. 動物細胞から育てた食品を何と呼ぶべき?
3. 学校給食を美味しくする
4. Codex

【EC】
1. 欧州市民パネルが食品廃棄への取り組みについて提言する
2. 化学農薬使用を減らす:欧州委員会は優良規範のツールボックスを発表
3. 食品汚染物質の最大基準値の改訂:ヒ素
4. セミカルバジドの RPA の適用規定の改訂
5. SCHEER(環境及び新興リスクに関する科学委員会)
6. 査察報告書
7. 食品及び飼料に関する緊急警告システム(RASFF)

【EFSA】
1. ミネラルオイル炭化水素に関する大規模な科学文献検索
2. 食品中の残留動物用医薬品は再び減少
3. 特定のハチミツ中のグラヤノトキシン類の存在に関するヒトの健康リスク
4. 新興化学物質リスクを同定するための JRC TIM ツールのテスト
5. 食品酵素関連
6. 食品接触物質関連
7. 農薬関連
8. 飼料添加物関連

【FSA】
1. FSA の消費者調査から最近の食習慣への変化が明らかになった
2.2023年3月の FSA 理事会ペーパーが公表される

【DHSC】
1. 赤ちゃんに固形食を導入する両親を助けるキャンペーン

【FSAI】
1. リコール情報

【BfR】
1. 妊婦の甘草の摂取は子供の心身の発達を損なうか?

【RIVM】
1. 同じパラベン入りの複数の製品を使用するのは安全だが、ブチルパラベンについては疑問が残る

【ANSES】
1. ヒト用医薬品を動物に与える前に注意すること

【Ruokavirasto】
1. 入院患者の栄養状態評価の欠陥-改訂栄養ケア助言がケアの有効性を改善するだろう

【FDA】
1. FDA は食品プログラムに関する2023年の優先ガイダンスリストを発表
2. 乳と植物ベースの牛乳代替品:栄養の違いを知る
3. FDA はヒト用食品プログラム案と規制局の再編に関する最新情報を提供
4. FDA は食品規格の近代化のための一般原則に関する規則案を撤回する
5. FDA はキシラジンの違法輸入を規制する措置を講じる
6. 全米栄養月間
7. FDA はダイエタリーサプリメントとして販売される製品に使用される成分の新しいディレクトリを立ち上げる
8. FDA は文書で乳児用調製粉乳業界に安全対策の強化を要求する
9. 事業者向けガイダンス:乳児用調製乳のラベル表示
10. 食品化学物質の安全性
11. リコール情報
12. 警告文書

【NTP】
1. 研究トピックス

【EPA】
1. EPA は PFAS 戦略ロードマップの今後のバーチャル地域聴取会を発表
2. 大統領の2024会計年度予算について Regan 長官の声明

【USDA】
1.「米国産」表示のための新たな要件を提案
2. より健康的な揚げ物……綿実油で
3. USTR が農業バイオテクノロジーについてメキシコとの USMCA 技術協議を発表
4. 全国学校朝食週間:子供たちは学校の朝ご飯が大好き

【CPSC】
1. Primark は子供用竹プレートを鉛と化学物質暴露リスクのためリコール

【FTC】
1. FTC は現在進行中のグリーンガイドの見直しの一環として「リサイクル可能」クレームについてのワークショップを主催する

【CFIA】
1. カナダ政府は100,000kg 以上の虚偽表示された食品がカナダで販売されるのを防ぐ

【FSANZ】
1. 食品基準通知

【TGA】
1. TGA は NSW 州警察の協力のもと、55,000点以上の危険性のある製品を押収する
2. JSHealth Vitamins に補完医薬品の違法販売の疑いで13,320ドルの罰金を科す

【NSW】
1.2023秋の Foodwise ニュースレター

【香港政府ニュース】
1. 違反情報

【MFDS】
1.日本産輸入食品の放射能検査の結果
2. 料理・子育て専門ブロガー、輸入食品通関検査現場に行く
3. 国内流通中のラーメンの安全性検査の結果、全て不検出
4. リコール情報

【SFA】
1. リコール情報
2. プレスリリース

【FSSAI】
1. 雑穀基準についてのプレスリリース

【その他】
・食品安全関係情報(食品安全委員会)から