南欧州のアフラトキシン問題

国立医薬品食品衛生研究所は、食品安全情報(化学物質)No.07(2013.04.03)を発表した。

注目記事

【EU】食品及び飼料に関する緊急警告システム(RASFF)

 警報通知(Alert Notifications)として、ハンガリー産、ルーマニア産、ブルガリア産、イタリア産及びウクライナ産の食用または飼料用トウモロコシ、並びにドイツ産乳牛用配合飼料について、アフラトキシン超過が報告されている。

※ポイント:食品安全情報の前号で紹介した、ドイツでの生乳中のアフラトキシン(AF)M1超過とも関連しています。ドイツの事例で生乳中のAFM1が超過した原因は、飼料に使用されたセルビア産トウモロコシの汚染が疑われているようです。一方、RASFFには、バルカン半島を含む欧州南部産のトウモロコシのAF汚染に関する報告が増加しています。そのため、これまではほとんど経験したことがなかった欧州域内でのAF汚染の発生への対策が、今後問題になっていきそうです。

※参考:食品安全情報(化学物質)No.06(2013.03.19)
【BfR】生乳にアフラトキシン濃度の増加が検出された
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/2013/foodinfo201306c.pdf

【EFSA】EFSAは欧州委員会が内分泌攪乱物質の科学的基準を定義することを支援する

 欧州食品安全機関(EFSA)は、欧州委員会からの要請により、内分泌攪乱物質を同定するための基準を明確にする意見を作成した。EFSAは、ある物質が内分泌系と相互作用または干渉した結果として、有害影響をもたらすとの妥当な因果関係の根拠がある場合に「内分泌攪乱物質」と同定することができるとしている。そのため、内分泌活性のある物質が全ての内分泌攪乱物質ではないことを強調している。

※ポイント:「内分泌攪乱物質」の定義は従来の考え方と変わりません。ですから、内分泌活性があるからといって、その物質が内分泌攪乱物質であるとは言えないということです。この分野では、「内分泌攪乱物質」であるかどうかを同定することが最も難しいことなのですが、それについては、根拠となる有害影響を見極める判断基準(科学的定義)は内分泌攪乱物質に限らず一般的に存在しないため、結局、判断はケースバイケースでなされる必要があると指摘しています。内分泌攪乱物質の評価方法については、ドイツ連邦リスクアセスメント研究所(BfR)と英国化学物質規制委員会(CRD)も検討しています。

【CPSC】CPSC及びACCCは液体洗剤パックの中毒の危険性に警告

 米国消費者製品安全委員会(CPSC)及びオーストラリア競争・消費者委員会(ACCC)は、液体洗剤パック(小型プラスチックパックに着色液体洗剤が充填されたもの)による子どもの事故が多数報告されていることを受けて、保護者に対し緊急に注意を喚起した。

※ポイント:家庭用品の分野ですが、日本でも小型の洗剤パックを見かけるようになったことと、経口暴露による事故のため取り上げました。今回に限らず、海外では同類製品による子どもの事故が時々報告されているので、留意しておく必要があります。

(安全情報部第三室)

食品安全情報へのリンク

食品安全情報
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/index.html

食品安全情報(化学物質)No.07(2013.04.03)
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/2013/foodinfo201307c.pdf

今号の目次

【EC】
1. ウマ肉
2. FVO査察報告書:ハンガリー
3. 食品及び飼料に関する緊急警告システム(RASFF)

【EFSA】
1. EFSAは欧州委員会が内分泌攪乱物質の科学的基準を定義することを支援する
2. 機械的に分離した肉:EFSAは公衆衛生上のリスクと検出法について助言
3. 遺伝子組換え生物関連
4. 動物飼料添加物関連
5. 新しいデータ要請で食品添加物再評価は加速
6. ビスフェノールA:EFSAは意見案についてパブリックコメントを募集

【FSA】
1. 牛肉製品へのウマ肉混入について
2. 新規食品サプリメントに意見募集
3. FSAは新しいアレルギープロジェクトを歓迎
4. FSAはFood and You 2012調査の結果を発表

【BfR】
1. 内分泌攪乱物質の同定と評価のための統一された科学的判断基準を求める
2. 欧州迅速警報システムRAPEXの化学リスク評価ガイドラインの提案
3. 狩猟における無鉛銃弾と狩猟肉の鉛・銅・亜鉛汚染についてのBMELV . BfRシンポジウムのプレゼン概要

【RIVM】
1. オランダの環境放射能:2010年の結果

【ANSES】
1. ANSESは母乳及び母乳代用品以外の乳児用飲料の使用によるリスクを重視

【FSAI】
1. 牛肉製品へのウマ肉混入について

【FDA】
1. 公示
2. 警告文書(2013年3月19日、26日公表分)
3. 遺伝子組換え植物由来食品についてのQ & A

【EPA】
1. 中毒予防週間に農薬及び化学物質の安全性を確保/毎年農薬や殺菌剤に関係する145,000以上の報告が中毒センターに寄せられる
2. EPAは2013年のリスク評価対象化学物質を発表、広く使用されている難燃剤に重点を置く
3. EPAは新規発電所の水銀及び大気中汚染物質基準を更新

【CPSC】
1. CPSC 及び ACCCは液体洗剤パックの中毒の危険性に警告

【US GAO】
1. ダイエタリーサプリメント:FDAは製品の監視のために健康問題報告の利用を拡大できる

【FSANZ】
1. ファクトシート:オーストラリアの食品の安全性は誰の責任か?
2. 食品基準通知

【APVMA】
1. オーストラリアにおけるネオニコチノイド及びミツバチの健康

【TGA】
1. 安全性警告 Paiyoujiナチュラル痩身カプセル

【香港政府ニュース】
1. 違法医薬品に警告
2. 痩身用製品を購入しないよう強く要請
3. 食品に警告
4. 2食品が安全性検査に不合格

【KFDA】
1. 食べ物の安全管理で食品の安全大国の具現 2013年大統領業務報告
2. 日本の原発関連への食品医薬品安全庁の対応と管理の動向〔45〕
3. 食品医薬品安全庁、黄砂対策分野の安全管理情報の提供!
4. 食品医薬品安全庁、「汁のない日」宣布!

【その他】
・食品安全関係情報(食品安全委員会)から
・(ProMED-mail)アフラトキシン、トウモロコシ、ミルク EU
・(ProMED-mail)麦角、大麦 ニュージーランド(北島)