サントリーの秘密(2)伝える相手が違うんです

前回に続き「健康食品のテレビ通販の地位・役割を拡大した立役者」と私が個人的に思うサントリーについてです。前回、サントリーは“いい成分がたくさん摂れる”という数字にこだわりすぎず、“飲んでいる人はこんなにイキイキしている”という日常生活の姿を描き出すところに、強いこだわりが見えるということを書きました。

「健康な人に買ってもらうことを考えたんですね」

 念のためお断りしておきますが、前回も今回も、すべて筆者の個人的な印象と分析です。

 さて、サントリーの健康食品戦略の根本には、商品のターゲットのとらえ方に、従来とは違う考えが見えます。どういうことかというと、従来の健康食品は“健康が不安な人のため”という訴求を行うのが一般的だったのに対して、サントリーの健康食品の場合は“今健康な人も、プラスαで喜びを得るためのもの”と捉えているように感じます。

 つまり健康食品は、“健康不安・衰えを感じている人が飲むもの”でなく、“今も元気でイキイキな人が、さらにずっと元気&イキイキであるために飲むものです”とメッセージしてきたように感じるのです。

 結果、従来型では「私は衰えていないし関係ないワ」と思っていた人も、サントリー型の訴求では「ずっと若々しくいたい」という動機から、興味を持つわけですね。このように“健康食品は前向きな人のためのもの”というイメージを創り出したように思います。衰えてなくても、老けていなくても、健康食品は飲んでイイものにしたわけです。

「一般には前例に乗りたい企業が多いんですが」

 テレビ番組の制作は、仮編集、編集、完成へと試写を重ねながら、あーでもないこーでもないとやりとりを重ねます。通販番組の場合、この過程でスポンサーから寄せられるリクエストに企業のホンネが強く反映されていきます。もちろん撮影前から協議を重ねますが、完成までに右往左往して、最終的には試写段階で大きく変わるのが普通です。

 そして、どの企業もゴールは「売りたい」です。これは間違いない。ですが、何をどうして売ろうとしているのかは、企業によってスタンスがかなり違います。ある企業は「通常より○○%オフという安さにもっと触れて」と言いますし、ある企業は「とにかく原料が貴重! こだわった産地から調達したことに触れて」と言ってきます。そしてこのとき、だいたい失敗したくないから、自社および他社の“成功パターン”に乗っかりたがります。だから完成したときには、だいたい他社の通販と似たものになります。(笑)

 その点、筆者は別にサントリーのまわし者ではありませんが、サントリーの場合、独自のロジックでオリジナルの提案を考えて、それを視聴者に伝えようとしているという姿勢を強く感じます。

「そして出て来たのが美容ニーズなわけで」

 今後、一層の高齢社会となる中、健康食品については一定のニーズはあるでしょう。一方で「健康そのものでイキイキとしている人もどうぞ」とターゲットの間口を広げた結果として、美容へのニーズもキャッチすることが求められてきたように思います。

 ですが美容ニーズを、健康“食品”だけでカバーできるのかというのは疑問が残るところです。世の中には若く、美しく……ということをうたっている化粧品・スキンケア商品がたくさんありますから。美容に特化したサプリメントも数え切れないほどあります。

 で、実際、最近のサントリーのラインナップにも美容に近づけたものが多く見受けられるようになっているわけで、今後は美容業界と健康食品業界も顧客の奪い合いになるのかもな、という予感はあります(いや、もうすでに始まっているのかな!?)。

 いずれにせよ、そういう中では商品の質も伝え方も洗練されていくでしょうから、若さを育みたい消費者の皆さんにとってはイイ時代、かもしれませんね!?

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通販番組制作担当者 もりはた・たけし 1975年生まれ。通常のテレビ番組と通販番組を手がけて12年。ひと昔前、一段下に見られていた感のある通販番組とその市場の成長に驚くばかり。同時に「やっててよかった~」とありがたい食い扶持があることにホッ……。しかし、膨大なグルメ情報、健康情報、お得情報などを発信し続けていながら、本人は全く活用できていない。自分が通販アイテムを買って続けるなら髪関係だろうかと、毛根と〆切が気になる人。