識別不能な価値の管理の限界

 先週、農林水産省は萬野畜産(大阪府守口市)が牛肉に事実と異なる原産地等及び個体識別番号を表示し、小売販売業者に一般消費者向け商品として販売していたことを確認し、同社に対し、表示の是正について、JAS法に基づく指示及び牛トレーサビリティ法に基づく勧告を行ったと発表しました。

 牛肉ギフト商品について、岐阜県以外の35都道県産黒毛和牛肉を使用していたにもかかわらず、事実と異なる原産地(「岐阜県産」「三重県産」)、個体識別番号、銘柄名(「飛騨牛」)を表示していたとのことです。

http://www.maff.go.jp/j/press/syouan/kansa/140829.html

 日本の食品のトレーサビリティの技術と法令は近年非常に発達しましたが、先頃の「木曽路」での「松阪牛」表示の問題同様、末端(小売、消費)での検証(肉眼で見てわかる、食べてわかる、など)が難しいものはやはり完璧な管理が難しく、不正発生の余地は残っているものと感じます。

 これはブランドで価値を保証しようとするすべての商品に共通する常に意識しておくべきリスクでしょう。

※このコラムはメールマガジンで公開したものです。

齋藤訓之
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Food Watch Japan編集長 さいとう・さとし 1988年中央大学卒業。柴田書店「月刊食堂」編集者、日経BP社「日経レストラン」記者、農業技術通信社取締役「農業経営者」副編集長兼出版部長等を経て独立。2010年10月株式会社香雪社を設立。公益財団法人流通経済研究所客員研究員。昭和女子大学現代ビジネス研究所研究員。日本フードサービス学会会員。戸板女子短期大学食物栄養科非常勤講師。東京栄養食糧専門学校非常勤講師。亜細亜大学経営学部ホスピタリティ・マネジメント学科非常勤講師。著書に「有機野菜はウソをつく」(SBクリエイティブ)、「食品業界のしくみ」「外食業界のしくみ」(ともにナツメ社)、「農業成功マニュアル―『農家になる!』夢を現実に」(翔泳社)、共著・監修に「創発する営業」(上原征彦編著ほか、丸善出版)、「創発するマーケティング」(井関利明・上原征彦著ほか、日経BPコンサルティング)、「農業をはじめたい人の本―作物別にわかる就農完全ガイド」(監修、成美堂出版)など。※amazon著者ページ →