ワインの静置貯蔵熟成が可能な倉庫を確保する方法

ワインを少しでも良好な状態で保管管理するには、ワインに精通し、優れた管理技術と規範を持つ倉庫業者を探すことだ。しかし、ワイン業界と倉庫業界の両方の知識がなければ、そうした業者を見出し見きわめることは難しい。そこで欲しいのは、ワイン需用者の側から要求仕様を提示し、審査する組織だ。

自社スタッフによる倉庫管理は難しい

 さて、ワインの静置保管に話を戻そう。

 既存の賃貸倉庫が、酒類の熟成に必要な静置機能を持ち合わせていないところばかりの中で、ワインを少しでも良好な状態で保管管理するためにはどうすればいいのか?

 ワインという商品に通じ、その保管・取扱い技術に長けている倉庫業者およびその下請けの入出庫代行業者に委託する以外ない。もちろん、契約形態は面積借りである。

 どの倉庫業者がどのように優れているのか、その技量が具体的にどのようであるかをインターネットで不特定多数に向けて公開することはご容赦願う。それは各社の優位性にかかわる秘密である場合が多いのだ。

 輸入業者が倉庫会社からフロア(面積)だけを賃借し、自社スタッフだけで保管・入出庫の管理を行う方法もある。だが、これにはたいへんな労力を費やし、コスト高となるだろう。また、プラット・ホーム(トレーラーやトラックをつける入出庫口)はいつでも自由に使えるものではない。これには倉庫業者側の作業との調整が必要になるが、概してこれは難しいものだ。おそらく、限られた時間に入出庫作業をするために、自社の受注締め切り時間を早めなければならないだろう。

倉庫業者と現場作業員の技能格付けのアイデア

 ではどうやって優秀な倉庫業者や入出庫代行業者を探し出すかだ。

 倉庫業者および入出庫代行業者の技術レベルや現場作業員の技量成熟度を審査・情報開示してくれる組織があれば好都合なのだが、現状、そんな組織は全く存在しない。

 なければ作ればいいのだが、倉庫業者や下請け入出庫代行業者の組合が音頭を取るというのは、当事者サイドの団体がメンバーに点数をつけるという話になり、具合が悪い。

 この組織は酒類の需用者サイド、すなわち輸入業者、中間・最終販売業者、消費者等の側で組織されることが望ましい。そして、需用者としての理想的な取り扱いと管理を要求仕様書としてまとめ、審査基準とすればよい。これならば、倉庫業者や下請け入出庫代行業者の企業機密に立ち入ることもない。

 立ち上げのイニシアチブをとる候補としては、たとえば、日本ソムリエ協会(JSA)、日本バーテンダー協会(NBA)、日本洋酒輸入協会(JWSIA)等々がある。ただし、私が聞き及ぶ範囲では、今のところ輸入した酒類の静置熟成の必要性や取り扱いについて問題提起したことがある団体というものはないようだ。

 また、当初は単組織主導でもよいが、最終的には日本百貨店協会、日本チェーンストア協会、全国小売酒販組合中央会、全国卸売酒販組合中央会の共営組織による運営か、同共営組織から移植された組織の運営が好ましいだろう。

 倉庫業者および現場作業員の技能を格付けすることにより、倉庫業者のシステム向上意欲を引き出す一方、現場作業員に技能給獲得のチャンスを与えることで、労働の質を改善することが目的である。

5段階評価で倉庫の格付けを行う

「そのような組織が出来るのを待っていられない」という方には、ご用命いただければ私の方で評価をお引き受けすることはできる(ただし有償・短期間でお願いしたい。ご連絡はFoodWatchJapan 編集部まで)。

 その場合の最終的な評価は以下の5段階となる。

[5]長期静置および定温貯蔵システムを備え、特筆すべき保管・入出庫の管理システムを構築しており、特筆すべき技量を持つスタッフが在籍する。

[4]通常の定温貯蔵システムを備え、特筆すべき保管・入出庫の管理システムを構築しており、特筆すべき技量を持つスタッフが在籍する。

[3]通常の定温貯蔵システムを備え、特筆すべき保管・入出庫の管理システムを構築している。

[2]通常の定温貯蔵システムを備え、特筆すべき技量を持つスタッフが在籍する。

[1]貯蔵システムとスタッフの技量が平均的ないしはそれに満たない。

 ただしお断りしておくが、これはあくまでワイン中間保管システムの判定とその向上のためのものであり、ワインの品質判定ではない。

 また、繰り返し申し上げておくが、現状の定温賃貸倉庫は静置貯蔵熟成のための機能は有していないのである。

 もう一つ、インポーター各社の読者諸氏のご協力を賜りたい。「縦箱正立輸送」のワインについて、以下のような情報提供をお願いしたいのだ。

●「縦箱正立輸送」のワインについて
1.商品名
2.産地名
3.赤・白等の種類
4.ボトル容量
5.含有アルコール度数
6.リーファー・コンテナ使用有無
7.コンテナ船出港日
8.コンテナ積載地点
9.輸入所要日数
10.日本陸揚げ日
11.通関日
12.倉庫入庫日

 不都合な部分は空欄でもかまわない。縦箱正立輸送についてなるべく多くの情報を集め、わかったことを随時発信していきたいと考えている。
 どうかご協力をお願いしたい。

※記入フォームはこちらをプリントアウトしてご使用ください。
宛先:FoodWatchJapan 編集部
Fax.03-3225-3357
同内容をメールいただくのでもけっこうです。メールでのご回答はこちらからお願いします。

※このたびFoodWatchJapan編集部=株式会社香雪社の住所・電話番号・Fax.番号が変わりました。新しい連絡先はこちらをご覧ください。

About 大久保順朗 82 Articles
酒類品質管理アドバイザー おおくぼ・よりあき 1949年生まれ。22歳で家業の菊屋大久保酒店(東京都小金井市)を継ぎ、ワインに特化した経営に舵を切る。「酒販ニュース」(醸造産業新聞社)に寄稿した「酒屋生かさぬように殺さぬように」で注目を浴びる。また、ワインの品質劣化の多くが物流段階で発生していることに気付き、その改善の第一歩として同紙上でワインのリーファー輸送の提案を行った。その後も、輸送、保管、テイスティングなどについても革新的な提案を続けている。