人気者の豆腐

豆腐は食べ方のバリエーションの豊富さも特徴だ
豆腐は食べ方のバリエーションの豊富さも特徴だ
豆腐は食べ方のバリエーションの豊富さも特徴だ
豆腐は食べ方のバリエーションの豊富さも特徴だ

大豆を使う加工食品の代表とも言える豆腐は中国発祥とされ、東アジアで広く親しまれている。日本では江戸期に大衆化・定着した。その後豆腐の形状や製法は多様化。今日では欧米にも普及し、人気を得ている。

江戸期に開花した豆腐文化

 中国に豆腐発祥の地とされる大泉(タァチュアン)という村がある。上海から500㎞ほど内陸に入った八公山(パァコンシャン)のふもとに位置する。2000年以上前、不老不死の研究中にここで豆腐が発明されたという話が伝わっている。現在も豆腐作りが盛んで、「八公山豆腐」として知られているという(2012.1.21読売新聞「どんな街」)。

 なお、豆腐発祥には、上記以外の説もあるようだ。豆腐は古くから東アジアで広く製造・消費されてきた。中国では固さや形状など日本以上に多様な種類が作られている。

 日本への伝来は定かではないが、奈良から平安時代に遣唐使により伝えられたとする説が有力である。当初、僧侶たちが食べていたが、室町時代に庶民にも広がったようである。江戸時代になると、日本人の生活に欠かせない食材になった。「豆腐百珍」という料理本はベストセラーになり、「豆腐百珍続編」「豆腐百珍余録」の続編が刊行されていたほどである。

形状・製法も広がった

 水に漬けたダイズをすりつぶしながら加熱し、繊維分を除去したものが豆乳である。これに凝固剤を加えて固めると豆腐になる。

 豆腐関連業者の団体には、全豆連日本豆腐協会がある。両団体では、以下の3種類の豆腐を定義している。

・絹ごし豆腐:凝固した豆腐をそのまま切り分けたもの。
・木綿豆腐:凝固した豆腐を崩して、内側に布を貼った型に移して水分を少なくしたもの。
・充填豆腐:豆乳に凝固剤を加えてプラスチック容器に充填後、加熱凝固させたもの。

 充填豆腐は絹ごし同様のなめらかさがあり、加熱時に殺菌できるため日持ちがよい。木綿豆腐の一種になるが、水分を多く残し絹ごし豆腐との中間の特徴を持つものを「ソフト豆腐」と区別することがある。

 木綿豆腐は87%が水分である。水分を除いた栄養成分は、タンパク質50%、脂質32%、炭水化物12%、灰分6%になる。脂質の割合が高いのは意外に思われるだろう。

 タンパク質の消化性は、ダイズを直接調理した煮豆等では約65%とやや低い値である。これが豆腐になると約95%と大きく改善する。

 ちなみに、豆腐の「腐」は腐敗とは無関係で、柔らかく弾力性があるものを指すという。

 凝固剤として、かつては専らニガリ(塩化マグネシウム)が使われていた。戦後は使いやすいすまし粉(硫酸カルシウム)が広く使われるようになった。絹ごしや充填豆腐には、新規開発のグルコノデルタラクトンも使用されている。ニガリやすまし粉は塩(えん。酸と塩基との中和反応で生じる化合物)による凝固であり、グルコノデルタラクトンは酸により凝固を起こす。

欧米にも普及・定着

 豆腐の生産量は、平成になってから(1989年以降)ほとんど変わっていない。価格は値下がり傾向で、メーカーは大変だが物価の優等生である。

 近年は欧米でも健康ブームに乗って消費が伸びており、米国には日本メーカーも進出している。普通のスーパーで入手でき、英語圏でも「tofu」で通じるという。

 サラダや炒めもの料理に活用される他、バーベキューやハンバーグなど肉の代用として使用されることが多い。ベジタリアンにとって欠くことのできない食材でもある。

 なに色にも染まる白色で香味の穏やかな豆腐は、多様な食品の素材としても適している。

 私たちの日常的な食材が、欧米でも人気が高まっているという話はちょっぴりうれしい。

横山勉
About 横山勉 57 Articles
横山技術士事務所 所長 よこやま・つとむ 休刊中の日経BP社「FoodScience」に食品技術士Yとして執筆。元ヒゲタ醤油品質保証室長、2010年独立。食品技術士センター副会長(http://fpcc.jimdo.com/)。ブログ「食品技術士Yちょいワク『食ノート』」を執筆中(http://blogs.yahoo.co.jp/teckno555)。