食品安全情報(化学物質)No.03(2012.02.8)

国立医薬品食品衛生研究所が月2回発表している「食品安全情報」(化学物質)。痩身用、性機能増強用として販売されている製品について、各国の機関が違法成分検出や健康被害の事例を示して注意を呼びかけている。これらは国内でも入手可能なものなので、十分注意されたい。一方、欧州委員会(EC)の食品照射年次報告書が発表された。カエルの脚に次いで照射が多かったのは家禽であった。

注目記事

■各国でハーブ製品やダイエタリーサプリメントについて注意喚起

 英国医薬品・医療製品規制庁(MHRA)はフキ(Petasites hybridus:バターバー)を含むハーブ製品について、オーストラリアTGAは痩身用などのハーブ製品について、シンガポール保健科学庁(HAS)は性機能増強用として販売される製品について、違法成分が検出された事例や健康被害の事例を示し、注意を呼びかけている。

 また、米国食品医薬品局(FDA)韓国食品医薬品安全庁(KFDA)は、消費者が知っておくべきことや購入する時の注意点をまとめた消費者向け情報を公表している。

※ポイント:食品安全の問題の中では、これらの製品は実際に被害が報告されていて、最もリスクが高いものの部類です。

 とくに健康被害が多いのは、ダイエットや性機能増強を謳った製品で、違法に添加された医薬品やその類似化合物の摂取を原因とする肝機能障害や循環器障害、低血糖などの有害影響が各国で報告されています。

 もちろん日本も例外ではありません。2002~2006年には、ダイエット用の製品による肝機能障害などの健康被害が全国で約800人報告されています。下記の厚生労働省のホームページを見ると、現在も国内で購入できる製品に数々の違法製品が確認されていることがわかります。

 医薬品等が混入していなくても、製品の原料に含まれる成分が有害な場合もあります。今回ご紹介したMHRAが注意喚起しているバターバーの製品は日本でも購入できるものなので、ご注意ください。厚生労働省も注意を喚起しています。

《厚生労働省 無承認無許可医薬品過去情報》
※とくに、3項目の「医薬品成分が検出された無承認無許可医薬品について」。
http://www.mhlw.go.jp/kinkyu/diet/musyounin.html

《厚生労働省 中国製ダイエット用健康食品(未承認医薬品)による健康被害事例等》
※平成14~平成18年7月に、健康被害事例798人、うち死者4人が報告されている。
http://www.mhlw.go.jp/houdou/2002/07/h0719-3.html

《厚生労働省 バターバー(西洋フキ)を含む食品の摂取に関する注意喚起についての対応》
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000002293g.html

【EC】食品照射年次報告書2010

 EUの27加盟国を対象に行われた、食品照射に関する調査報告書(2010年版)が公表された。EUでは認可施設でのみ食品および食品原料の照射が行われている。2010年に認可施設で照射を行った食品の総量は9263.4tで、品目別ではカエルの脚、家禽、ハーブおよびスパイスが多かった。

※ポイント:食品照射は、害虫防止、殺菌、発芽防止などの目的で行われます。日本では「食品、添加物等の規格基準(昭和34年厚生省告示第370号)」において食品への照射は禁止されています(認可施設での一部のジャガイモ発芽防止を除く)。

 しかし、国際的にみると現在では日本のように照射を禁止している国は珍しく、とくに、害虫やカビなどの問題が深刻なハーブ類やスパイスについては、欧米諸国だけでなく、アジアの国々など多くの国が認めています。国際規格等を設定しているコーデックス委員会でも10kGy以下であれば安全で、栄養面でも変化はないと評価しています。

食品安全情報へのリンク

「食品安全情報」
http://www.nihs.go.jp/hse/food-info/foodinfonews/index.html

食品安全情報(化学物質)No.03(2012.02.08)
http://www.nihs.go.jp/hse/food-info/foodinfonews/2012/foodinfo201203c.pdf

今号の目次

【EC】
1. 食品照射
2. 食品獣医局(FVO)視察報告書
3. 遺伝子組換え食品及び飼料と環境リスクについての常設委員会
4. ガイダンス文書(残留農薬):残留農薬データの妥当性評価と品質管理
5. 食品及び飼料に関する緊急警告システム(RASFF)

【EFSA】
1. EFSAの10周年を迎え新しい科学戦略を発表
2. EFSAはGM動物由来食品及び飼料のリスク評価と、それに関連する動物の健康と福祉についてのガイダンスを発表
3. 単離大豆タンパク質と血中LDLコレステロール濃度低減に関する健康強調表示の立証についての科学的意見
4. 香料グループ評価

【FSA】
1. 外食の際の心配は食品衛生
2. FSAは化学と根拠の優先順位を発表
3. 多動と関連する色素を含まない製品更新

【MHRA】
1. プレスリリース:未承認ハーブレメディは肝臓や臓器に傷害を与える可能性がある
2. 消費者は未承認バターバー(Petasites hybridus)ハーブレメディを使用しないように

【COT】
1. 2012年2月7日の議題とペーパー

【CRD】
1. 食品中残留農薬に関する専門委員会(PRiF):2011年残留農薬モニタリング結果

【RIVM】
1. アレルギー予防のための良くある介入戦略は実行可能か?

【FSAI】
1. 戦略2012~2015年のFSAI声明の発表
2. アイルランドにおけるメニューへのカロリー表示

【FDA】
1. FOODFACT ダイエタリーサプリメント:あなたが知っておく必要のあること
2. オレンジジュース製品とカルベンダジム:ジュース製品協会へのFDAの文書への補遺
3. 警告文書(2012年1月24日、31日掲載分)

【TGA】
1. 医薬品安全性情報 Volume 3, Number 1, February 2012
2. 安全性警告

【香港政府ニュース】
1. 5食品が安全性検査に不合格

【KFDA】
1. 日本原子力発電所関連の食品医薬品安全庁の対応管理動向(20)
2. 食品医薬品安全庁、旧正月迎え、“健康機能食品”正しい購入のコツを案内

【HSA】
1. HSAは違法性機能増強用健康製品に関連する重大な有害事象について警告

【その他】
・食品安全関係情報(食品安全委員会)から
・(WHO紀要)経済的評価対象となる予防介入を同定するためのリスク因子の優先順位付け

登田美桜
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国立医薬品食品衛生研究所安全情報部第三室主任研究官 とだ・みおう 農学博士。国立医薬品食品衛生研究所は、医薬品、食品、その他生活環境中に存在する物質について、品質、安全性、有効性を評価するための試験、研究、調査を行う機関。 安全情報部の「食品安全情報」は、食品の安全性に関する国際機関や各国公的機関等の最新情報を伝える。