ナノマテリアル評価の手引き

国立医薬品食品衛生研究所は、食品安全情報(化学物質)No.15(2018.07.18)を発表した。

注目記事

【EFSA】食品と飼料に用いられるナノテクノロジーに関する新ガイダンス

 欧州食品安全機関(EFSA)は、2011年に発表したナノサイエンスとナノテクノロジーのリスク評価に関するガイダンスを更新した。今回は、ヒトと動物の健康に焦点を当てたパート1を発表した。パート2は環境リスク評価に着目して今後更新を行う。

※ポイント:2018年1月1日に発効した新規食品に関するEU規則において新規食品の定義に「engineered nanomaterials」を原料としたものが含まれるなど、食品分野ではナノマテリアルの利用が増加し規制への取り組みが進みつつあります。新規食品以外にも、食品・飼料添加物や農薬、食品接触物質など、ナノマテリアルが関係する範囲は広いです。

 規制の科学的根拠となるリスク評価を実施するEFSAとしては、その評価内容も時代とともに改善していくために、ナノマテリアルの新しい技術や知見を踏まえた評価を可能にするためのガイダンスの更新版を発表したというわけです。一方、製造・販売業者(申請者)にとっては、EFSAはこれらのデータ/情報を確認していますよ、という説明でもあります。

【RIVM】オランダにおける食品からの残留植物保護製品への累積暴露

 オランダ国立公衆衛生環境研究所(RIVM)は、残留植物保護製品による累積暴露を評価した。対象には甲状腺への慢性影響の可能性があるものと、神経系に急性影響の可能性があるものとした。

 甲状腺については影響する可能性はありそうになかったが、神経系については計算された暴露量と無毒性量(NOAEL)との暴露マージン(MOE)に基づきリスクが排除できないと評価した。

 神経系への影響で寄与が大きかったのはホウレンソウのピリミカルブであり、現在は最大残留基準(MRL)が引き下げられている。

※ポイント:累積暴露評価の流れが非常に分かりやすく書かれていて、累積に限らず農薬の暴露評価を学ぶには一つのよい参考になると思います。たとえば、毒性の相対強度係数(RPF)の考え方、加工食品から原材料への換算、定量限界以下の検出値の扱い方、MOEの求め方など、具体的な例示をしながら丁寧に説明されています。一例ではありますが、累積暴露評価の中で、どんなことを気にしているのか項目的に知るにもよいと思います。

【FDA】FDAはグラスフロント自動販売機におけるカロリー表示に関する特定要件の改定を提案

 米国食品医薬品局(FDA)は、グラスフロント自動販売機で販売される包装済み食品について、包装前面表示に記載されるカロリー表示の文字サイズの規定を改定することを提案した。表示規則の見直しにあたり、ラベルに記された最も大きい文字の50%以上とすると決定していたが、それでは変動が大きく遵守が難しいとの意見が出ていた。今回は、正味内容量の表示文字の150%以上の大きさとする案が提案されており、意見を募集する。

※ポイント:いったん決定した規則であっても、実行可能性の観点から履行が難しいことが分かれば見直して改善していくという姿勢がFDAらしいと感じます。近年は、食品を安全にするという目的だけでなく、消費者が自ら健康的に食事が出来る環境作りに注力していて、その取り組みの一つが表示制度の大幅改正です。

※編集部註:グラスフロント自動販売機は透明板の内側に商品そのものを展示するタイプの自動販売機。

(安全情報部第三室)

食品安全情報へのリンク

食品安全情報
http://www.nihs.go.jp/hse/food-info/foodinfonews/index.html
食品安全情報(化学物質)No.15(2018.07.18)
http://www.nihs.go.jp/hse/food-info/foodinfonews/2018/foodinfo201815c.pdf

今号の目次

【WHO】
1. 第86回FAO/WHO合同食品添加物専門家会議(JECFA)の要約及び結論

【FAO】
1. コーデックス

【EC】
1. 査察報告書
2. 食品及び飼料に関する緊急警告システム(RASFF)

【EFSA】
1. 食品と飼料に用いられるナノテクノロジーに関する新ガイダンス
2. 食品添加物として使用される二酸化チタン(E171)の潜在的毒性に関する4件の新規試験の評価
3. EFSAの分野横断的ガイダンスの一連の流れ
4. 食品酵素関連
5. 遺伝子組換え関連
6. 食品接触材料関連
7. 飼料添加物関連
8. 農薬リスク評価関連

【NHS】
1. Behind the Headlines

【ASA】
1. ASA裁定

【BfR】
1. 研究:目を見張るような、だが間違っている?

【RIVM】
1. オランダにおける食品からの残留植物保護製品への累積暴露
2. 健康と農地の近くに明確な関連はない
3. オランダの子どもと青少年のエネルギードリンクの摂取と健康リスク
4. モダンバイオテクノロジーの急速な発達はリスク評価にとって課題である

【FDA】
1. FDAは電子システムの機能を拡張して輸出事業施設の全リストを包含する
2. 連邦裁判所は動物用医薬品の残留違反によりミネソタ州の酪農場に対する同意判決を下す
3. FDAはグラスフロント自動販売機におけるカロリー表示に関する特定要件の改定を提案
4. FDAはその支援を農産物安全活動の実施を進める州に拡げる
5. 警告文書

【NIH】
1. ファクトシート更新

【FTC】
1. FTCは詐欺的「無料お試し」を提供しているオンライン販売業者を止めさせる

【CFIA】
1. 国家化学物質残留監視プログラム2014~2015年次報告

【TGA】
1. 安全性警告

【MPI】
1. 貝のバイオトキシン警告
2. 食品安全文化はうまく根付いているがやるべきことはまだある

【香港政府ニュース】
1. 消費者はアフラトキシン汚染のある包装済みショウガパウダーを摂取しないように
2. 違反情報
3. イタリア産アンチョビ2種がヒスタミンに汚染されているので、消費しないよう注意喚起
4. 米国から台湾へ輸入された製品から台湾の基準を満たさない濃度のソルビン酸を検出

【MFDS】
1.日本産輸入食品の放射能検査の結果
2. 輸入のカナダ産小麦と小麦粉に未承認遺伝子組換え小麦は不検出
3. 2018年下半期に予定される食品・医薬品安全政策の変革
4. 国民多消費食品のカビ毒素検出量を公表する予定
5. 機能性原料認定活性化のための認定審査の改善
6. 医薬品成分含有製品の輸入・販売業者拘束
7. 虚偽・誇大広告と原材料の含有量虚偽表示で消費者を騙した食品製造・販売業者など13ヶ所摘発
8. 食品衛生法を違反した大型フランチャイズ加盟店など7ヶ所摘発
9. 養殖場(3ヶ所)のヒラメに水銀が基準を超過して検出される

【HSA】
1. 安全性警告
2. HSAは他国で発見された不正な健康製品に関する情報を更新

【FSSAI】
1. 食品安全基準
2.「正しく食べよう運動」開始:生活習慣病の負の傾向と戦うための跳躍
3. メディアコーナー

【その他】
・(EurekAlert)チリの砂糖税の影響:ほろ苦い成功?
・(EurekAlert)マルチビタミンは心血管系健康を増進しない