
国立医薬品食品衛生研究所が集めた食品の安全性に関する国際機関や各国公的機関等の最新情報から。米国で調理済みパスタ製品に関連のリステリア感染が発生。複数事業者が回収対応。アイルランド当局は衣付き家禽肉製品の加熱調理と衛生管理を改めて呼びかけ。
注目記事
【米国】調理済みパスタ製品に関連のリステリア
米国疾病予防管理センター(US CDC: Centers for Disease Control and Prevention)、複数州の公衆衛生・食品規制当局、米国食品医薬品局(US FDA)および米国農務省食品安全検査局(USDA FSIS)は、複数州にわたり発生しているリステリア(Listeria monocytogenes)感染アウトブレイクを調査するためさまざまなデータを収集している。
疫学・追跡調査および検査機関での検査から得られたデータは、FreshRealm社製の複数の調理済みパスタ製品がL. monocytogenesに汚染され、本アウトブレイクの感染源となっていることを示している。Nate’s Fine Foods社が供給したパスタがFreshRealm社製の「牛ミートボール入りマリナラソースのリングイネ」(調理済みパスタ製品)の原材料として使用されていた。
FreshRealm社が「牛ミートボール入りマリナラソースのリングイネ」(調理済みパスタ製品)の検査を行った結果、L. monocytogenesアウトブレイク株と同じ株が検出された。当該製品は出荷されていなかった。FreshRealm社はまた、当該製品に使用されていた原材料についても検査を行い、パスタからリステリアが検出された。全ゲノムシークエンシング(WGS)解析の結果、このパスタから分離されたリステリア株がアウトブレイク株と同じ株であることが示された。複数の事業者が当該パスタの一部のロットを使用しており、これらの事業者は当該パスタが使用された食品・料理の回収を行っている。
【アイルランド】衣付き家禽肉製品に関する注意喚起
アイルランド食品安全局(FSAI: Food Safety Authority of Ireland)は、食品の製造、卸売、小売業者などに対し、アイルランド国内に流通する冷蔵・冷凍の衣付き家禽肉製品を製造および供給する際に強固な食品安全管理システムを確実に運用するよう改めて注意を促している。さらに、製造業者に対しては、冷蔵・冷凍の衣付き家禽肉製品に適切な調理法の説明を必ず記載し、「non-ready-to-eat」(そのまま喫食可能ではない)ことを確実に明記するよう求めている。
FSAIは消費者に対しても助言を行っており、冷蔵・冷凍の衣付き家禽肉製品を調理する際は以下の対策を講じるよう推奨している。
- 十分に加熱する:包装に記載された調理方法を確実に遵守し、食品の中心(最も厚い部分)の温度が75℃以上になるまで必ず十分に加熱する。
- 衛生管理を適切に行う:家禽肉の取り扱い前後に石鹸と水で念入りに手を洗い、食品接触面と調理器具は使用後に温水と洗剤ですべて洗浄する。
- 食品を適切に保存する:包装の記載に従い適切な温度下で食品を保存する。
(注目記事のまとめ:FoodWatchJapan編集部)
目次
【米国疾病予防管理センター(US CDC)】
1. 調理済みパスタ製品に関連して複数州にわたり発生しているリステリア(Listeria monocytogenes)感染アウトブレイク(2025年9月30日、26日付更新情報)
2. 栄養補助食品の冷凍シェイク飲料に関連して複数州にわたり発生したリステリア(Listeria monocytogenes)感染アウトブレイク(2025年5月16日付最終更新)
【欧州委員会健康・食品安全総局(EC DG-SANTE)】
1. 食品および飼料に関する早期警告システム(RASFF:Rapid Alert System for Food and Feed)
【スコットランド食品基準庁(FSS)】
1. スコットランド食品基準庁(FSS)および英国食品基準庁(UK FSA)が食品に関する報告書「Our Food2024」を発表
【アイルランド食品安全局(FSAI)】
1. 冷蔵・冷凍の衣付き家禽肉製品に関する食品安全慣行を遵守するようアイルランド食品安全局(FSAI)が食品事業者に改めて注意喚起
【ノルウェー公衆衛生研究所(NIPH)】
1. オスロの飲食施設「Frognerseteren」のカフェ・レストランを利用した人にA型肝炎ワクチンの接種を推奨
- 食品安全情報
- http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/index.html
- 食品安全情報(微生物)No.21(2025.10.15)
- https://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/2025/foodinfo202521m.pdf