欧州当局が新興リスク7件特定

No.11(2025.05.28)

アクリルアミド(photo by: W.C.)

国立医薬品食品衛生研究所が集めた食品の安全性に関する国際機関や各国公的機関等の最新情報から。欧州食品安全機関(EFSA)は新興リスク7件を特定。食品接触材からのグルテン溶出や毒素曝露、植物性たん白の汚染などを含む。米FDAは天然着色料3種を承認し、市販後の化学物質レビュー体制を強化。米国環境保護庁(EPA)はPFOAとPFOSの水質基準を維持し、他のPFAS規制の見直し方針を示した。

注目記事

【EFSA】2024年EFSAの新興リスク及びホライズンスキャニング活動の年次報告書

 欧州食品安全機関(EFSA)は、2024年の新興問題として合計65件の問題を収集し、うち7件を新興リスクとして特定した。化学物質に係わる新興リスクとしては、小麦やライ麦等を原料とした生分解性食品接触物質からのグルテンの溶出、2021年夏にフランス南西部沿岸で発生したOstreopsis属のブルームによるエアロゾル化した毒素への暴露が原因と考えられるインフルエンザ様症状のアウトブレイク、植物性タンパク質のアクリルアミド汚染、飲料水に含まれるトリフルオロ酢酸であった。その他、フードチェーンにおける複数耐性Candida属の検出、シャーガス病なども新興リスクとして特定された。

【FDA】FDAは天然由来の着色料3種類を承認する

 米国食品医薬品局(FDA)は、Galdieria extract blue(Galdieria抽出物青色色素)、Butterfly pea flower extract(バタフライピー(チョウマメ)の花抽出物)、リン酸カルシウムの3種類の着色料を新たに承認したことを発表した。合わせて、各着色料について使用できる食品についても示されている。

【FDA】FDAはフードサプライの安全と健康を守るため、堅牢で透明性の高い市販後化学物質レビュープログラムを推進する

 米国FDAは、市販されている食品中の化学物質に関する体系的なレビュープロセスを開始すると発表した。米国保健福祉省(HHS)のKennedy長官とFDA Makary長官の主導のもと、次の措置を今後数ヶ月間のうちに講じるとしている。

  • 既存化学物質のレビューのための、最新かつエビデンスに基づいた優先順位付けスキームの作成
  • 関係者の意見を踏まえた最終的かつ体系的な市販後レビュープロセスの策定
  • 一部の食品添加物を含むレビュー中の化学物質のリスト更新、並びに現在レビュー中のフタル酸エステル、プロピルパラベン、二酸化チタンなどのレビューの迅速化

【EPA】EPAはPFOAとPFOSの最大汚染レベルを維持すると発表する

 米国環境保護庁(EPA)のZeldin長官は、昨年に策定されたパーフルオロオクタン酸(PFOA)とパーフルオロオクタンスルホン酸(PFOS)に関する第一種飲料水規則(National Primary Drinking Water Regulations)の最終規則を維持すると発表した。PFOA及びPFOSについては、法的拘束力のある最大汚染レベル(MCL)の遵守期限を2029年から2031年に延長する。一方、パーフルオロヘキサンスルホン酸(PFHxS)、パーフルオロノナン酸(PFNA)、ヘキサフルオロプロピレンオキシドダイマー酸(HFPO-DA:GenX化合物として一般的に知られている)に関する規制、並びにこれら3種のPFASとパーフルオロブタンスルホン酸(PFBS)の混合物のハザード指数(Hazard Index)については取り消し、再検討する意向であると発表した。EPAは、今年秋に規則案を発表し、2026年春に最終化する予定であるとしている。

(注目記事のまとめ:安全情報部第三室)

目次

【WHO】

1. 出版物

【FAO】

1. FAOウェビナー「精密発酵-バズワードを越えて」

2. Codex

【EC】

1. 食品及び飼料に関する緊急警告システム(RASFF)

【EFSA】

1. 食品に含まれる過塩素酸塩に関するヒトの健康上のリスクについての科学的意見の更新

2. 食品中の残留農薬:EUにおける状況は?

3. EUの残留農薬加工係数データベースの3回目の更新

4. 2024年EFSAの新興リスク及びホライズンスキャニング活動の年次報告書

5. 食品添加物関連

6. 食品酵素関連

7. 新規食品関連

8. 健康強調表示関連

9. 遺伝子組換え関連

10. 食品接触物質関連

11. 農薬関連

【FSA】

1. 精密発酵製品に対する消費者の反応に関する迅速なエビデンスレビュー

2. FSAは新たに食品包装におけるオーシャンバウンドプラスチックの使用に関する事業者向け助言を公表する

3. ブログ:NFCUの新しい権限により企業が繁栄できる環境づくりに貢献する

【COT】

1. COT会合:2025年5月20日

【BfR】

1. 半焼きロールパンに含まれる農薬とミネラルオイル:懸念する必要はない

2. 笑気ガス:危険な「パーティードラッグ」

3. 一部のポルタフィルターエスプレッソマシンからは鉛が過剰に溶出される

4. EDKAR研究:青年におけるエナジードリンクの摂取と健康影響に関するデータ収集完了
初めてのデータ評価からは心臓への心配な影響は示されていない

5. 安全な食品のための協力国際食品安全機関の第6回会合

【RIVM】

1. ビタミンB6:食品およびダイエタリーサプリメントに添加可能な最大量シナリオを用いた数学的実証

【VKM】

1.ビタミン及びミネラル強化食品を評価

【FDA】

1. FDAは天然由来の着色料3種類を承認する

2. HHSとFDAは乳児用調製乳の栄養素に関する包括的レビューを開始する

3. FDAはフードサプライの安全と健康を守るため、堅牢で透明性の高い市販後化学物質レビュープログラムを推進する

4. FDAは初の独立科学専門家パネルを一般公開で開催する

5. FDAは初のAI支援科学審査パイロットの完了と、FDA全体へのAI導入の積極的なタイムラインを発表する

6. ヒト用食品苦情システム(HFCS)

7. FDAはヤシの葉を使用した食器について業界と消費者に警告する

8. FDAは包装前面の栄養成分表示を提案する

9. FDAとNIHは、革新的な共同栄養規制科学プログラムを発表する

10. 消費者情報

11. 公示12.警告文書

【EPA】

1. EPAはPFOAとPFOSの最大汚染レベルを維持すると発表する

2. EPAは新規有効成分イソシクロセラムの登録案を公表する

3. EPAはPFAS製造業者に対する報告期間を延長する

【NIH】

1. 出産前のダイエタリーサプリメントに関するNIHワークショップ:根拠のギャップと研究の必要性

【CPSC】

1. 子供用ヘアクリップが鉛中毒の危険性でリコール:連邦政府による鉛を含む塗料の禁止に違反

【US GAO】

1. 優先公開勧告:保健福祉省

【CFIA】

1. CFIAによるベトナムの水産物食品管理システム評価最終報告書

【FSANZ】

1. 加工助剤としてのサーモリシンに関する意見募集2.食品基準通知

【APVMA】

1. マイナー使用ガイドラインの更新を発表

【香港政府ニュース】

1. 違反情報

2. リコール情報

【MFDS】

1. 日本産輸入食品の放射能検査の結果

2. 食薬処、国民の安心を最優先にK-Foodの安全と成長を担当します

3. 食薬処、輸入食品の規制緩和を先取り適用

4. 家庭の月を迎え健康機能食品の製造・流通・輸入とオンライン広告の点検を実施

5. 食薬処、2025年第1四半期の食品輸入動向を発表

6. 食薬処‐水品院、ペルー産水産物の電子証明を導入

7. 健康機能食品小規模個人間取引モデル事業、今年末まで延長

8. フグは、専門家が調理したものだけを食べましょう

9. 回収措置

【SFA】

1. 魚介類に含まれる重金属:詳しく見る

食品安全情報
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/index.html
食品安全情報(化学物質)No.11(2025.05.28)
https://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/2025/foodinfo202511c.pdf