リサイクルプラの安全性強化

No.20(2022.09.28)

(写真はイメージです)

国立医薬品食品衛生研究所が集めた食品の安全性に関する国際機関や各国公的機関等の最新情報から。欧州委員会はリサイクルプラスチックの安全性を強化するための新しい規則を採択した。欧州委員会はまた、食品の機能強化のために添加されるビタミン、ミネラル、その他の物質に関する規則に「紅麹米由来のモナコリン」を追加した。FAOはウクライナでの戦争に起因する各種の混乱に対処するための緊急の行動を呼び掛ける。

注目記事

【EC】欧州委員会が食品接触物質に使用するリサイクルプラスチックの安全性を強化するための新しい規則を採択

 欧州委員会は、食品接触を意図したリサイクルプラスチック材料および成形品の安全性に関する新しい委員会規則(Commission Regulation(EU)2022/1616)を採択した。この規則は、EU域内の食品包装にリサイクルプラスチックを安全に使用できるようにするための明確な規則を定めるものである。

※ポイント:これまでの規則では、リサイクルに使用される個々の工程をEFSAが評価してECと加盟国が認可の可否を決定していました。新規則では、より高度な安全性を確保するために、工程だけでなく、リサイクルに用いられる廃材の収集から、汚染物の除去、新技術の開発といったリサイクルに係わる要件をより詳細に定めるとともに、リサイクルの業者、工程、スキーム、設備、施設、新技術の登録も求めています。

【EC】紅麹米由来モナコリンに関する規則改訂

 食品の機能(栄養や生理学的影響)を強化するために添加されるビタミン、ミネラル、その他の物質に関する規則Regulation(EC)No1925/2006のAnnexⅢ Part B(制限物質)に「紅麹米由来のモナコリン」を追加し、製品の1日の摂取量当たりの紅麹米由来モナコリン量を3mg未満とすることや、警告文の記載などを求める表示要件を定めた。

※ポイント:EUでは紅麹製品がフードサプリメントとして販売されていますが、製品の摂取による健康被害が複数報告されたために対策が検討されていました。成分のモナコリンは高コレステロール血症の治療薬の有効成分と同じため、製品を過剰に摂取したり、治療薬と併用すると有害な影響を生じます。

 今回の制限値は、欧州食品安全機関(EFSA)による評価で被害報告を個別に検討した際に、3mg/日という少ない量でも2週間から1年間の摂取により横紋筋融解症や肝炎、皮膚障害などの重篤な被害が報告されていたことが考慮され、これ以上の量での使用は禁止すべきであると判断されたことに基づきます。さらに、コレステロールを下げる薬を服用中の方や、18歳未満の子供、70歳以上の成人は摂取しないよう警告文を記すことを定めている点にも注目すべきでしょう。

【FAO】世界食料安全保障と栄養の危機について、FAO、IMF、WBG、WFPおよびWTOの長による二回目の共同声明

 ウクライナでの戦争は、エネルギー価格の高止まりや変動を伴った世界の食料安全保障、栄養危機、食品および肥料の価格、通商政策の制限およびサプライチェーンの混乱を深刻化させ続けている。これに対処するための緊急の行動を呼び掛ける。

※ポイント:「世界の食品問題」という大きな枠組みで考えると、現状で最も深刻なのは何よりも食料安全保障でしょう。戦争の終結を願うばかりです。

(安全情報部第三室)

食品安全情報へのリンク

食品安全情報
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/index.html
食品安全情報(化学物質)No.20(2022.09.28)
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/2022/foodinfo202220c.pdf

今号の目次

【WHO】
1. WHO は生命科学の利益を安全に開放するためのガイドを発表
2. イベント:栄養改善のための食品強化にデジタル技術を使う
3. 専門家募集-WHO 技術助言グループ-母乳代用品のデジタルマーケティング制限のための規制対策

【FAO】
1. 世界食料安全保障と栄養の危機について、FAO、IMF、WBG、WFP 及び WTO の長による二回目の共同声明
2. Codex

【EC】
1. 欧州委員会が食品接触物質に使用するリサイクルプラスチックの安全性を強化するための新しい規則を採択
2. 食品情報についてのエビデンス-健康的で持続可能な選択をするために消費者を力づける
3. 欧州委員会は生物農薬の認可を促進する新しい規則を採択
4. 紅麹米由来モナコリンに関する規則改訂
5. 水枠組み指令優先物質の環境質基準案と地下水質基準に関する作業委員会の議事録
6. AMR ワンヘルスネットワーク:AMR 対策のための優先提案
7. ワンヘルス:薬剤耐性と戦うために抗菌剤の賢い使用を
8. 査察報告書
9. 食品及び飼料に関する緊急警告システム(RASFF)

【EFSA】
1. 食品中の有機ヒ素に関する大規模な科学文献検索
2. YouTube 動画
3. 農薬関連
4. イタリアの10〜74歳の集団に関する全国食事調査– IV SCAI ADULT
5. 新規食品関連
6. 活性炭を用いた物理的プロセスによる魚油と植物性油脂からのダイオキシンとダイオキシン様 PCBs の汚染除去工程
7. 遺伝子組換え関連

【FSA】
1. FSA は研究対象分野を更新する

【ASA】
1. ASA 裁定

【FSAI】
1. リコール情報

【BfR】
1. ルピナスのキノリジジンアルカロイドの乳牛の乳への移行の研究

【ANSES】
1. キノコ狩りの季節開始:慎重に!
2. ヒスタミンとは何か? 中毒を防ぐために何ができるか?

【FDA】
1. 事業者向けガイダンス:輸入食品の事前通知に関する Q&A(第4版)
2. シーフード
3. 乳児用調製乳の供給問題について
4. ORA の特集ストーリー
5.5.2022年9月15日の健康製品の違法取引に関する FDA-OECD ワークショップにおける Mark Abdoo 副コミッショナーの発言
6. 消費者向け情報
7. 警告文書

【NTP】
1. ニュースレター
2. 毒性試験報告

【EPA】
1. EPA はフッ素化包装における PFAS の溶出に関するデータを発表する

【CFIA】
1. 魚の DNA を検査する

【TGA】
1. JS Health Vitamins Pty Ltd に違法な広告をしたとして26,640ドルの罰金を科す

【MPI】
1. 北島西岸の貝類に関する公衆衛生警告の緩和

【香港政府ニュース】
1. CFSは包装済み冷蔵/冷凍餃子と点心の栄養表示に関するターゲット調査の結果を発表する
2. 食品安全センターはソウギョのサンプルにマラカイトグリーンを検出する
3. 金属異物混入の疑いのあるフランスから輸入されたヤギのチーズへの注意喚起
4. 食品事故報告
5. 違反情報

【MFDS】
1.日本産輸入食品の放射能検査の結果
2.「流通(賞味)期限から消費期限へ? どのように変わるの?」
3. 食薬処、「コンビニ健康食コーナー」モデル事業実施
4. 消費者の健康への関心を反映して、来年から酒類のカロリー表示を拡大
5. 秋夕名節用食品の一斉点検の結果、違反業者67ヶ所を摘発・措置
6. 食品表示情報、QR コードで確認して下さい!
7. 回収措置

【SFA】
1. 水耕栽培:神話の根源に迫る
2. Président Sainte Maure Cheese200g は異物混入のためリコール

【その他】
・食品安全関係情報(食品安全委員会)から
・Eurekalert2件