全業態で売上高は前年比プラス

日本フードサービス協会(JF)は2021年12月外食産業市場動向調査を発表した。全体(事業社数225、店舗数36,573店=98.1%)合計の売上高は109.5%と拡大。客単価は上昇したが、客数は105.6%と増加。

 持ち帰り米飯/回転寿司を除く業種・業態で客数が前年同月を超え、売上高はすべての業種・業態で前年同月を超えた。とくに、前年に大きく売上を落としたパブ・ビアホールパブと居酒屋の反動が大きく出ている。客単価も麺類ファストフード以外は上昇傾向。ただし、相変わらず際だった異常事態とやや緩和した異常事態との比較であることには変わりない。

 JFによる概況は以下のとおり。

飲食店への営業制限がなかった12月の全体売上はコロナ禍第3波の影響を受けた前年と比べて109.5%となったものの、コロナ前の一昨年比では92.0%と、外食産業の売上は厳しい状況が続いている。年末の帰省需要など、小人数の外食需要の一部で戻りがみられたものの、全体としては夜間の外食需要は依然として戻っていない。特に大口の企業宴会などが戻っていない飲酒業態は、一昨年比で未だ54.7%と回復には程遠い。店舗数が約一割減少するなど、業態そのものの構造が変容しており、コロナ禍が収束したとしても元のようには戻らない可能性が高くなった。

売上高と店舗数の伸び率推移(〜2021年12月)

売上高と店舗数の伸び率推移(〜2021年12月)

外食産業市場動向調査2021年12月度全店データ
事業社数 店舗数 売上高(前年比) 店舗数(前年比) 客数(前年比) 客単価(前年比)
全体 (N=225) (N=36,573) 109.5% 98.1% 105.6% 103.6%
ファストフード 合計 (N=56) (N=21,264) 104.9% 99.0% 103.3% 101.6%
洋風 (N=18) (N=6,168) 103.6% 99.4% 101.9% 101.7%
和風 (N=15) (N=5,114) 107.7% 99.7% 106.3% 101.3%
麺類 (N=20) (N=3,264) 103.9% 98.0% 103.9% 100.0%
持ち帰り米飯/回転寿司 (N=19) (N=4,349) 105.0% 99.1% 99.5% 105.5%
その他 (N=8) (N=2,369) 107.7% 97.4% 106.3% 101.3%
ファミリーレストラン 合計 (N=65) (N=10,146) 112.9% 97.5% 110.2% 102.5%
洋風 (N=30) (N=5,003) 111.6% 95.6% 110.4% 101.0%
和風 (N=31) (N=2,508) 112.9% 97.8% 110.1% 102.5%
中華 (N=13) (N=1,159) 110.7% 101.6% 107.5% 103.0%
焼肉 (N=19) (N=1,476) 119.0% 100.9% 115.3% 103.2%
パブ/居酒屋 合計 (N=35) (N=1,871) 144.3% 91.1% 129.7% 111.2%
パブ・ビアホール (N=9) (N=417) 160.2% 93.9% 146.2% 109.6%
居酒屋 (N=29) (N=1,454) 138.0% 90.3% 121.6% 113.5%
ディナーレストラン(計) (N=29) (N=1,129) 124.8% 100.4% 119.9% 104.2%
喫茶(計) (N=21) (N=1,918) 111.9% 96.8% 107.2% 104.4%
その他(計) (N=19) (N=245) 123.5% 96.5% 115.0% 107.4%

凡例:10%以上のプラス5%以上のプラス前年同月未達(四捨五入で100.0%となっているものを含む)5%以上のマイナス10%以上のマイナス

※前年同月比は税抜比較で行っている。

※ファストフード、ファミリーレストラン、パブ/居酒屋の各業態の内訳に関しては、重複する事業社があるため合計の数値は必ずしも内訳の累積に一致しない。

ファストフード

ファストフード全体の事業社数は56、店舗数は21,264店(99.0%)。客単価は上昇したが、客数は103.3%と前年同月を上回った。売上高は104.9%と前年同月を上回った。

洋風ファストフード(事業社数18、店舗数6,168店=99.4%)は、客単価は上昇したが、客数は101.9%と前年同月を上回った。売上高は103.6%と前年同月を上回った。

和風ファストフード(事業社数15、店舗数5,114店=99.7%)は、客単価は上昇したが、客数は106.3%と増加。売上高は107.7%と拡大。

麺類ファストフード(事業社数20、店舗数3,264店=98.0%)は、客単価は前年並みだが、客数は103.9%と前年同月を上回った。売上高は103.9%と前年同月を上回った。

持ち帰り米飯/回転寿司ファストフード(事業社数19、店舗数4,349店=99.1%)は、客単価は際立って上昇しながら、客数は99.5%とほぼ前年並み。売上高は105.0%と拡大。

その他ファストフード(事業社数8、店舗数2,369店=97.4%)は、客単価は上昇したが、客数は106.3%と増加。売上高は107.7%と拡大。

ファミリーレストラン

ファミリーレストラン全体の事業社数は65、店舗数は10,146店(97.5%)。客単価は上昇したが、客数は110.2%と2桁の大幅増。売上高は112.9%と2桁の拡大。

洋風ファミリーレストラン(事業社数30、店舗数5,003店=95.6%)は、客単価は上昇したが、客数は110.4%と2桁の大幅増。売上高は111.6%と2桁の拡大。

和風ファミリーレストラン(事業社数31、店舗数2,508店=97.8%)は、客単価は上昇したが、客数は110.1%と2桁の大幅増。売上高は112.9%と2桁の拡大。

中華ファミリーレストラン(事業社数13、店舗数1,159店=101.6%)は、客単価は上昇したが、客数は107.5%と増加。売上高は110.7%と2桁の拡大。

焼肉ファミリーレストラン(事業社数19、店舗数1,476店=100.9%)は、客単価は上昇したが、客数は115.3%と2桁の大幅増。売上高は119.0%と2桁の拡大。

パブ・居酒屋

パブ/居酒屋全体の事業社数は35、店舗数は1,871店(91.1%)。客単価は2桁アップと大幅に上昇したが、客数は129.7%と2桁の大幅増。売上高は144.3%と2桁の拡大。

パブ・ビアホール(事業社数9、店舗数417店=93.9%)は、客単価は際立って上昇したが、客数は146.2%と2桁の大幅増。売上高は160.2%と2桁の拡大。

居酒屋(事業社数29、店舗数1,454店=90.3%)は、客単価は2桁アップと大幅に上昇したが、客数は121.6%と2桁の大幅増。売上高は138.0%と2桁の拡大。

ディナーレストラン

ディナーレストラン全体(事業社数29、店舗数1,129店=100.4%)は、客単価は上昇したが、客数は119.9%と2桁の大幅増。売上高は124.8%と2桁の拡大。

喫茶

喫茶全体(事業社数21、店舗数1,918店=96.8%)は、客単価は上昇したが、客数は107.2%と増加。売上高は111.9%と2桁の拡大。

その他の業態

その他全体(事業社数19、店舗数245店=96.5%)は、客単価は際立って上昇したが、客数は115.0%と2桁の大幅増。売上高は123.5%と2桁の拡大。

●日本フードサービス協会
http://www.jfnet.or.jp/data/data_c.html