日本フードサービス協会(JF)は2021年2月外食産業市場動向調査を発表した。全体(事業社数213、店舗数36,757店=95.5%)合計の売上高は77.7%と2桁の縮小。客単価は上昇し、客数は76.8%と2桁の大幅減。
すべての業種・業態で客数は前年同月を割り、前年並みとなった洋風ファストフードサービスをのぞくすべての業種・業態で売上高も前年同月を割った。
持ち帰り米飯/回転寿司の客数は対前年同月92.7%で、全体のなかでは落ち込みは比較的小さかった。客数減の幅が最も大きいのは、パブ・ビアホール(22.0%)および居酒屋(35.2%)で、ディナーレストラン(56.9%)も厳しい状況。また、ファミリーレストランは焼肉、和風、洋風でそれぞれ売上高が3割減。
前年2月はコロナ禍の影響が外食市場に本格的に及ぶ直前で、全体合計の売上高は対2019年2月104.8%と前年同月を上回っていた。とくに焼肉ファミリーレストランは同124.4%と非常に好調だったが、その反動が当月の数字に出た形。
JFによる概況は以下のとおり。
2月は、政府が1都3県に再発令した「緊急事態宣言」の期間が延長され、自治体の要請により飲食の店内営業は20時まで、酒類は19時までの提供が続き、客足が戻る兆しはあったものの、伸び悩んだ。コロナ下の外食事業はもはや営業日数・休祝日数の比較では語れないほど厳しい状況下にあり、外食全体の売上は前年比77.7%と、今年1月よりもさらに落ち込んでいる。特に飲酒業態にとって酒類提供の時間短縮は致命的で、「パブ・居酒屋」の売上は対前年比29.3%となった。
売上高と店舗数の伸び率推移(〜2021年2月)
事業社数 | 店舗数 | 売上高(前年比) | 店舗数(前年比) | 客数(前年比) | 客単価(前年比) | ||
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全体 | (N=213) | (N=36,757) | 77.7% | 95.5% | 76.8% | 101.1% | |
ファストフード | 合計 | (N=55) | (N=21,356) | 91.3% | 98.4% | 83.4% | 109.6% |
洋風 | (N=16) | (N=6,040) | 101.5% | 99.2% | 88.7% | 114.4% | |
和風 | (N=16) | (N=5,087) | 83.4% | 99.0% | 79.8% | 104.5% | |
麺類 | (N=20) | (N=3,257) | 71.1% | 97.0% | 70.1% | 101.4% | |
持ち帰り米飯/回転寿司 | (N=16) | (N=4,370) | 95.7% | 97.7% | 92.7% | 103.2% | |
その他 | (N=12) | (N=2,602) | 82.5% | 98.5% | 79.0% | 104.5% | |
ファミリーレストラン | 合計 | (N=60) | (N=9,980) | 67.6% | 93.5% | 66.4% | 101.7% |
洋風 | (N=27) | (N=5,106) | 66.6% | 91.2% | 64.5% | 103.3% | |
和風 | (N=30) | (N=2,287) | 62.9% | 94.0% | 65.1% | 96.6% | |
中華 | (N=14) | (N=1,152) | 85.2% | 100.9% | 77.4% | 110.0% | |
焼肉 | (N=17) | (N=1,435) | 62.8% | 95.7% | 62.8% | 100.0% | |
パブ/居酒屋 | 合計 | (N=36) | (N=2,335) | 29.3% | 83.2% | 31.9% | 92.0% |
パブ・ビアホール | (N=9) | (N=353) | 24.1% | 88.9% | 22.0% | 109.8% | |
居酒屋 | (N=31) | (N=1,982) | 30.5% | 82.3% | 35.2% | 86.9% | |
ディナーレストラン(計) | (N=31) | (N=1,137) | 53.7% | 86.9% | 56.9% | 94.3% | |
喫茶(計) | (N=18) | (N=1,815) | 67.4% | 97.2% | 67.4% | 100.0% | |
その他(計) | (N=13) | (N=134) | 70.5% | 96.4% | 68.1% | 103.5% |
凡例:10%以上のプラス/5%以上のプラス/前年同月未達(四捨五入で100.0%となっているものを含む)/5%以上のマイナス/10%以上のマイナス。
※前年同月比は税抜比較で行っている。
※ファストフード、ファミリーレストラン、パブ/居酒屋の各業態の内訳に関しては、重複する事業社があるため合計の数値は必ずしも内訳の累積に一致しない。
ファストフード
ファストフード全体の事業社数は55、店舗数は21,356店(98.4%)。客単価は際立って上昇し、客数は83.4%と2桁の大幅減。売上高は91.3%と縮小。
洋風ファストフード(事業社数16、店舗数6,040店=99.2%)は、客単価は2桁アップと大幅に上昇し、客数は88.7%と2桁の大幅減。売上高は101.5%と前年同月を上回った。
和風ファストフード(事業社数16、店舗数5,087店=99.0%)は、客単価は上昇し、客数は79.8%と2桁の大幅減。売上高は83.4%と2桁の縮小。
麺類ファストフード(事業社数20、店舗数3,257店=97.0%)は、客単価は上昇し、客数は70.1%と2桁の大幅減。売上高は71.1%と2桁の縮小。
持ち帰り米飯/回転寿司ファストフード(事業社数16、店舗数4,370店=97.7%)は、客単価は上昇し、客数は92.7%と減少。売上高は95.7%と前年同月を下回った。
その他ファストフード(事業社数12、店舗数2,602店=98.5%)は、客単価は上昇し、客数は79.0%と2桁の大幅減。売上高は82.5%と2桁の縮小。
ファミリーレストラン
ファミリーレストラン全体の事業社数は60、店舗数は9,980店(93.5%)。客単価は上昇し、客数は66.4%と2桁の大幅減。売上高は67.6%と2桁の縮小。
洋風ファミリーレストラン(事業社数27、店舗数5,106店=91.2%)は、客単価は上昇し、客数は64.5%と2桁の大幅減。売上高は66.6%と2桁の縮小。
和風ファミリーレストラン(事業社数30、店舗数2,287店=94.0%)は、客単価は下降したが、客数は65.1%と2桁の大幅減。売上高は62.9%と2桁の縮小。
中華ファミリーレストラン(事業社数14、店舗数1,152店=100.9%)は、客単価は2桁アップと大幅に上昇し、客数は77.4%と2桁の大幅減。売上高は85.2%と2桁の縮小。
焼肉ファミリーレストラン(事業社数17、店舗数1,435店=95.7%)は、客単価は前年並みながら、客数は62.8%と2桁の大幅減。売上高は62.8%と2桁の縮小。
パブ・居酒屋
パブ/居酒屋全体の事業社数は36、店舗数は2,335店(83.2%)。客単価は際立って下降したが、客数は31.9%と2桁の大幅減。売上高は29.3%と2桁の縮小。
パブ・ビアホール(事業社数9、店舗数353店=88.9%)は、客単価は際立って上昇し、客数は22.0%と2桁の大幅減。売上高は24.1%と2桁の縮小。
居酒屋(事業社数31、店舗数1,982店=82.3%)は、客単価は2桁ダウンと大幅に下降したが、客数は35.2%と2桁の大幅減。売上高は30.5%と2桁の縮小。
ディナーレストラン
ディナーレストラン全体(事業社数31、店舗数1,137店=86.9%)は、客単価は際立って下降したが、客数は56.9%と2桁の大幅減。売上高は53.7%と2桁の縮小。
喫茶
喫茶全体(事業社数18、店舗数1,815店=97.2%)は、客単価は前年並みながら、客数は67.4%と2桁の大幅減。売上高は67.4%と2桁の縮小。
その他の業態
その他全体(事業社数13、店舗数134店=96.4%)は、客単価は上昇し、客数は68.1%と2桁の大幅減。売上高は70.5%と2桁の縮小。
●日本フードサービス協会
http://www.jfnet.or.jp/data/data_c.html