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日本水産にニュージーランドのマオリが神像を寄贈/ニュージーランド国外初

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日本水産東京イノベーションセンター(東京都八王子市)で行われた「テ・ワレオ・タンガロア」序幕式。

日本水産東京イノベーションセンター(東京都八王子市)で行われた「テ・ワレオ・タンガロア」序幕式。

日本水産はニュージーランドの漁業会社アオテアロアフィッシャーズ(Aotearoa Fisheries/以下AFL社)から、現地先住民マオリに伝わる海の神とこの神が統治する世界を表す神像「テ・ワレオ・タンガロア」(写真)の寄贈を受け、8月23日(木)、日本水産東京イノベーションセンター(東京都八王子市/以下TIC)で序幕を行う記念式典を行った。

 AFL社はマオリが所有する漁業会社であり、同社と日本水産は合弁会社シーロード社(Seaload)に50%ずつ出資している。

 式典には、日本水産の代表取締役社長執行役員細見典男氏、同相談役垣添直也氏、AFL社チェアマンのワイムツ・デウェス氏、シーロード社チェアマンのマタヌフ・マフイカ氏、駐日ニュージーランド大使マーク・シンクレア氏ほか関係者が参列した。

全高4.4mの「テ・ワレオ・タンガロア」。

全高4.4mの「テ・ワレオ・タンガロア」。

 式典後には朝食会を開き、細見社長がウェルカムスピーチを行い、親睦をはかった。その後、ニュージーランド側参列者はTICについての説明を受け、見学も行った。TICは2011年に日本水産が創業100周年を記念して建設した研究施設。

「テ・ワレオ・タンガロア」は「タンガロアの家」の意味。タンガロアはすべての海を所有し、マオリを統治するとされる海の神で、重要な信仰の対象。神像はそのタンガロアが海の生物を網でまとめ上げている様子を表現している。

 神像には、ニュージーランド北部の産する樫の木の一種トタラの樹齢約700年と同400年のものを主材に、クジラの骨、緑色石、あわびの貝殻などニュージーランド産の材料を用い、マオリに伝わる高度な技法でおよそ10カ月をかけて制作された。高さ4.4mの柱状の中心像と両翼に配置する高さ3mの大型レリーフ2枚で構成する。全体の重量は1t。

 このように大型で壮麗な「テ・ワレオ・タンガロア」が海外に安置されるのは、マオリの歴史の中でも初めてのこと。これには、日本水産創業100周年への祝意、日本水産とマオリの友好の証、2011年に発生したニュージーランド地震(2月)・東北地方太平洋沖地震(東日本大震災/3月)両地震による災害の犠牲者への追悼の意味が込められている。

 式典は、マオリのしきたりに従って日の出前の午前4時30分から開始。マオリの司祭らが祈祷を捧げる儀式を行った上で神像に掛けられた幕を取り、両社からスピーチを行った。デウェス氏は、先祖、関係者、友人たちへの感謝を述べ、両社の絆の強さの宣言を行った。垣添氏は神像の寄贈者、制作者への感謝と、タンガロア神話の意を汲んで勇気・叡智・イノベーティブな心を堅持することが述べられた。

日本水産東京イノベーションセンター(東京都八王子市)

日本水産東京イノベーションセンター(東京都八王子市)

 日本水産はニュージーランド沖でトロール漁業を行ってきたほか、食肉生産会社への投資、漁業の技術移転、ラグビーへの協賛など、ニュージーランドとは長年かかわりを持って来た。その中で、2002年からはマオリの漁業資源を管理するマオリの組織テ・オフ・カイ・モアナと協力し、マオリの若者に対する研修を開始した。研修内容は漁獲、養殖、食品加工、販売、物流など水産関連の各分野と日本語、日本文化、消費者ニーズの理解など文化面も含む。

 AFL社はマオリが所有する水産会社としてはニュージーランド最大の企業。同社との合弁のシーロード社は、ニュージーランド、オーストラリア、アルゼンチン海域などでの漁獲および養殖、鮮魚加工、白身魚の付加価値商品の生産を行い、海外にも加工拠点、販売拠点を持つ。

 マオリは9~10世紀にタヒチやクック諸島から移住したポリネシア人で、ニュージーランドでは漁業のほか農耕も始めてマオリ社会を発展させた。ニュージーランドのラグビーチーム「オールブラックス」が試合前に踊る「ハカ」は、マオリの民族舞踊。

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FWJニュースデスク
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新商品、新店舗、新事業などのニュースを書いています。