EFSAの新興リスク特定法

国立医薬品食品衛生研究所は、食品安全情報(化学物質)No.16(2012.08.08)を発表した。
EFSAは新興リスク特定プロセスに関する報告書を発表した。また、農薬の代謝物のリスク評価に用いる動物を最少化するため、毒性学的懸念の閾値を設ける意見を発表した。

注目記事

【EFSA】EFSAは新興リスク特定プロセスを評価する

 欧州食品安全機関(EFSA)の新興リスク(EMRISK)ユニットは、新興リスク特定能力を確立するためにEFSAの活動を調整する役割を担ってきた。今回、食品及び飼料の安全性分野における新興リスク特定のさらなる発展のため、EFSAがこの分野で実施した作業の概要を見直し、さらに情報及びデータの収集・解析方法を評価することによって得られた貴重な教訓及び提言をまとめた報告書を公表した。

※ポイント:新興リスクの特定は、参考にする比重は違いますが、主にRASFF、メディア、科学文献、貿易及び価格データの情報をもとに判断されています。

 特定工程は、まずEMRISKユニットが新興リスク候補となる問題をリスト化し、データ収集などのさらなる対応が必要か、また新興リスクとして該当するのか検討します。その後、EMRISKユニットを支援するためのEFSA内部の専門家グループ(ERIC)によりさらに選別され、最終的には科学委員会(SC)及び担当パネルが新興リスクとして特定し、とるべき対応についての勧告が出されます。

 本文(p22)のFigure 2には、2010年2月~2012年5月の間にEMRISKユニット及びERIC等が新興リスクとして検討した問題が示されており、どのような問題が新興リスクとなり得るのか参考になります。

【EFSA】食事リスク評価のための農薬代謝物の毒性学的意味の評価に関する科学的意見

 EFSAのPPRパネル(植物衛生、農薬及び残留に関する科学パネル)は、農薬の代謝物及び分解産物の毒性学的意味を評価するためのアプローチについて検討した。検討にあたり試験動物の利用を最小化する必要性が強調され、毒性学的懸念の閾値(TTC)が適切なスクリーニング手法であるとされた。

※ポイント:TTCは、低濃度で存在する化合物について、化学構造や毒性データをもとに、この程度なら食品中に存在していても明らかな健康影響はないだろうというレベル(閾値)を設定しようというものです。香料の評価ではすでに取り入れられている手法です。

 今回のEFSAの科学的意見を見ると、現時点ではまだ検討段階ですが、TTCは農薬代謝物の今後の評価へ利用されていくのだろうと考えられます。

【EFSA】ビタミンD及びカルシウムの耐容上限摂取量についての科学的意見を発表

 EFSAは、ビタミンDの耐容上限摂取量(UL)について妊婦及び授乳婦を含む成人は100μg/日、乳児は25μg/日と設定した。一方、カルシウムのULについては妊婦及び授乳婦を含む成人に以前と同じ2,500mg/日を維持するものとした。

※ポイント:ヒトの健康に必須な元素でも過剰になれば有害な影響がでる可能性があります。「日本人の食事摂取基準」(2010年版)によると、日本人のビタミンDのULは妊婦及び授乳婦を含む成人で50μg/日、乳児は25μg/日です。カルシウムのULは、成人で2.3g/日ですが、17歳以下については十分な報告がないとして定められていません。

(安全情報部第三室)

食品安全情報へのリンク

食品安全情報
http://www.nihs.go.jp/hse/food-info/foodinfonews/index.html

食品安全情報(化学物質)No.16(2012.08.08)
http://www.nihs.go.jp/hse/food-info/foodinfonews/2012/foodinfo201216c.pdf

今号の目次

【EC】
1. 食品獣医局(FVO)視察報告書
2. 食品及び飼料に関する緊急警告システム(RASFF)
3. RASFF年次報告書2011

【EFSA】
1. EFSAは新興リスク特定プロセスを評価する
2. ビタミンDの耐容上限摂取量についての科学的意見
3. カルシウムの耐容上限摂取量についての科学的意見
4. エイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)、ドコサペンタエン酸(DPA)の耐容上限摂取量についての科学的意見
5. 食事リスク評価のための農薬代謝物の毒性学的意味の評価に関する科学的意見
6. 新しい暴露評価方法論を採用することによるブチルヒドロキシアニソールの暴露の安全性評価についての声明
7. アスパルテーム:EFSAは追加のデータ募集を開始
8. 飼料添加物関連
9. 食品と接触する物質関連

【FSA】
1. FSAの最新研究発表
2. FSAはDMAAを摂取することに対して警告
3. ビタミンDに富むパン酵母について意見募集

【MHRA】
1. MHRAは人々に対し危険な可能性のあるスポーツサプリメントについて警告

【HSE】
1. 食品や飼料に塩化ベンザルコニウム(BAC)が存在することについてのEUガイドライン採択

【FSAI】
1. 警告:未承認新規食品成分を含むHot Blood食品サプリメント

【FDA】
1. 警告文書(2012年7月24日、31日公表分)
2. 食中毒リスクの高い人向けガイド

【EPA】
1. EPAは有害難燃性化学物質の代替品を同定

【CFIA】
1. 茶、ソフトドリンク及びコーンシロップの検査結果では消費者に健康リスクはない

【FSANZ】
1. 食品基準通知
2. 包装された水にWHOの基準を適用する提案に意見募集

【MPI】
1. 輸入ワインの亜硫酸及び表示

【香港政府ニュース】
1. 20食品が安全性検査に不合格
2. 日本産オート麦からセシウムを検出
3. 漢方薬について警告

【その他】
・食品安全関係情報(食品安全委員会)から
・(EurekAlert)母親のヨウ素過剰は新生児の先天性甲状腺機能低下症と関連