健康報道に事実と倫理欠ける

国立医薬品食品衛生研究所は、食品安全情報(化学物質)No.08(2017.04.12)を発表した。

注目記事

【WHO】ニュース・健康ジャーナリズムに事実に基づいたアプローチを呼びかける運動

米国のジャーナリストで、医療や健康に関するニュースを報道する際には事実に基づいて倫理的に、と呼びかけているGary Schwitzerに対するFiona Fleckのインタビュー記事。Gary Schwitzer氏は、2006年に米国の健康や医療のニュースの質を監視するHealthNewsReview.orgを設立している。報道の現状について、健康リテラシーの改善の余地があり、もっとやれることがあると述べている。その例として、“相対リスク”ではなく“絶対リスク”に集中すべきだとしている。

※ポイント:インタビューでGary Schwitzer氏は、自らの経験をもとに、医療や健康ジャーナリズムは報道競争のために十分な時間がないことや、注目集めにセンセーショナルな報道をしようとすること、不正確な健康ニュースは人々に害を与えることになるといった問題点を指摘しています。国民に注意喚起など何かの情報を届けるにはメディアが最も効果的な手段となります。情報が溢れている現状で真実を見極めるのは学習して慣れていないと難しいものですが、ぜひ正確でバランスの良い報道をしていただきたいなと思います。

【EFSA】EFSAは食品に添加される砂糖の摂取量に関して助言する

EFSAは2020年初めまでに食品に添加した砂糖の日常摂取についての科学的助言をする。食事暴露、疫学、ヒトの栄養、食事が関連する慢性疾患及び歯科の専門的技術のある特別作業グループを設立し、検討される有害健康影響は、体重、耐糖能異常、インスリン感受性、2型糖尿病、心血管リスク要因、虫歯を含む。EFSAはその評価で、子ども、青年、成人、高齢者を含む一般の健康的な集団を調べる予定である。

※ポイント:EFSAが2~3年のうちに添加される砂糖に関して摂取基準となる量を提示するようです。添加される糖を減らそうという動きが世界中で活発になっていて、その一つの例として英国公衆衛生庁(PHE)の企業向けガイドラインについても本号で紹介しています。

【AUDOH】パーおよびポリフッ化アルキル化合物(PFAS)

PFASに暴露された可能性のある人のための耐容一日摂取量(TDI)を決めるオーストラリア・ニュージーランド食品基準局(FSANZ)によるレビュー結果が発表された。FSANZはTDIをもとに飲料水及び娯楽用水の品質基準を提示しているが、現段階では食品の規制は薦めていない。

【RIVM】モンテカルロリスク評価(MCRA)ソフトウェア:2016維持管理

2016年にRIVMとWageningen UR Biometrisが導入したモンテカルロリスク評価(MCRA)コンピュータモデルのversion 8.2について報告。登録使用者はウェブを介して利用できる。version 8.2では食品を介した化学物質混合物の累積摂取量を計算できる機能を新たに追加するなどの調整を行った。

(安全情報部第三室)

食品安全情報へのリンク

食品安全情報
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/index.html
食品安全情報(化学物質)No.08(2017.04.12)
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/2017/foodinfo201708c.pdf

今号の目次

【WHO】
1. WHO紀要:ニュース・健康ジャーナリズムに事実に基づいたアプローチを呼びかける運動

【FAO】
1. 1億800万の人々が深刻な食糧不足に直面-事態は悪化している

【EC】
1. 欧州委員会ファクトシート:EUにおけるアグリフードチェーンに渡る規則の施行
2. 加盟国の農薬販売チェーンのコントロールを強化するワークショップ
3. ECの科学委員会によるリスク評価のインフォグラフィクス
4. 食品及び飼料に関する緊急警告システム(RASFF)

【EFSA】
1. 2016年のEFSA:欧州の消費者に食品の安全を確認すること
2. EFSAは食品に添加される砂糖の摂取量に関して助言する
3. 食品添加物としてのポリグリセリンポリリシノール酸エステル(E 476)の再評価
4. 食品添加物としてのアカシアガム(E 414)の再評価
5. 食品添加物としてのレシチン(E 322)の再評価
6. カキ/日本の柿のエテホンの既存MRL改訂
7. 化学物質によらない方法を含む他の入手可能な手段で阻止できない植物の健康への深刻な危険を管理する殺虫剤有効成分申請の必要性に関するデータ評価手順
8. EFSAの科学的ハザードデータベースの改訂と維持管理
9. 遺伝子組換え関連
10. 香料グループ評価
11. 飼料添加物関連

【FSA】
1. Marks and Spencerは化学物質汚染の可能性があるとしてChicken and Vegetable Soupを回収措置
2. 最新「食品とあなた」調査報告書発表
3. FSAは北アイルランドの企業向け減糖ガイダンスを歓迎
4. FSAにおけるデータサイエンスの使用についての科学報告書発表

【FSS】
1. スコットランド食品犯罪部は食品犯罪の啓発のために各地で説明会を開始する

【MHRA】
1. カップルが危険な痩身錠剤をオンライン販売したことで判決を受ける

【PHE】
1. 砂糖削減:20%を達成
2. 減塩:2017年目標
3. PHEブログ:肥満と食環境
4. 抗菌剤耐性:リソースハンドブック

【NHS】
1. Behind the headlines:

【RIVM】
1.「我々の皿には何が乗っている?安全で健康的で持続可能なオランダ人の食事」
背景報告書
2. ある種の食品中の塩は減少、砂糖含量は変化無し

【ANSES】
1. ANSESの浄水器付き水差しの正しい使い方のルール
2. ANSESはネオニコチノイド代替手段の評価のための方法論を発表する

【FSAI】
1. Marks and Spencerは汚染によりChicken and Vegetable Soupを回収措置

【FDA】
1. FDAは許容できる輸入業者同定としてDUNS番号を認める
2. FDAは衛生的輸送規則に3つの適用除外を発表
3. 食品を安全にするためのFDA-州協力について説明する
4. リコール情報
5. 警告文書

【NTP】
1. 発がん物質報告書:水の殺菌副生成物としてハロ酢酸発見

【FSANZ】
1. 食品安全文化

【TGA】
1. 安全性警告

【AUDOH】
1. パーおよびポリフッ化アルキル化合物(PFAS)

【NSW】
1. リコール情報

【香港政府ニュース】
1. 肉輸入禁止を21工場に限定
2. 肉のリコールは信頼を取り戻すため

【MFDS】
1.日本産輸入食品の放射能検査の結果
2. 食薬処、類似食品原料22種の遺伝子分析法の開発
3. 健康機能食品の安全性・規制の合理化、二兎を同時に!
4. 市販流通加工食品の中甘味料の使用安全なレベル
5. 生分解性樹脂製品は正しく知って使用してください!
6. アフラトキシン(aflatoxin)が基準を超過して検出された「ピーナッツ」製品の回収措置

【AVA】
1. AVAはブラジルからの輸入食肉を監視している
2. 食品(改定)規則2017

【HSA】
1. HSA警告:PHQ 1001 Khasiat Penawar Herba Qaseh Serata Herb

【FSSAI】
1. IN THE MEDIAのコーナーから:食品規制機関は8ヶ月で1,722の苦情を受け取った
2. 食用油の後、企業は小麦粉の強化に勢いづく

【その他】
・食品安全関係情報(食品安全委員会)から
・(ProMED-mail)牛の甲状腺ホルモン、ドッグフード、北米(第二報):リコール
・(ProMED-mail)グラヤノトキシン中毒-中国:(香港)ハチミツ
・(ProMED-mail)ベンゼン生成、ソフトドリンク ナイジェリア
・(ProMED-mail)シガテラ魚中毒-中国:(香港)疑い
・(EurekAlert)最初の食事摂取に関係なく、マルチビタミンは心疾患リスクと関連しない
・(EurekAlert)ミツバチを救うには、ヒトの行動が変わらなければならない