熱い飲み物の発がん性の評価

国立医薬品食品衛生研究所は、食品安全情報(化学物質)No.13(2016.06.22)を発表した。

注目記事

【IARC】IARCモノグラフはコーヒー、マテ、非常に熱い飲料を飲むこと、を評価する

国際がん研究機関(IARC)のワーキンググループは、非常に熱い飲料を飲むことについて「おそらくヒトに発がん性がある(グループ2A)」と分類した。また、マテについては非常に熱い温度でないものを飲むことは「ヒトに対する発がん性については分類できない(グループ3)」とした。コーヒーを飲むことについては、1991年の評価では「ヒトへの発がん性の可能性がある(グループ2B)」としていたが、新たなデータも含めたヒトと動物に関する1000以上の試験のレビュー結果をもとに今回の再評価ではグループ3に分類した。

この評価の要約がThe Lancet Oncologyに発表された。詳細についてはIARCモノグラフ116巻として発表予定である。

※ポイント:マテは南米などでIlex paraguariensisの乾燥葉に熱湯を入れて飲まれている飲料で、伝統的な飲み方の一つに熱いままストローで飲むというスタイルがあります。このような飲み方をしているヒトでの発がん根拠をもとに1991年の評価では熱いマテを飲むことについてグループ2Aとしていましたが、今回の評価ではマテに限らず非常に熱い飲料を飲むことをグループ2Aとしたことが一つのポイントでしょう。また、コーヒーの再評価で分類が変更になったことは、新しい知見が得られるとともに評価も更新されていかなければならないというよい例だと思います。

【EU】欧州委員会は農薬とバイオサイド分野での内分泌攪乱物質を同定するための科学的基準を提示

欧州委員会は、植物保護製品(plant protection products)とバイオサイド(biocides)分野での内分泌攪乱物質を同定するための基準を提示した。委員会は欧州理事会と欧州議会に、内分泌攪乱物質の同定にはしっかりした(strong)科学に基づくアプローチを採用しWHOの定義を承認することを提案した。

※ポイント:EUでのPPPsとバイオサイドの規制がハザードベースであるために、もし内分泌攪乱物質として判断されると、農薬の場合は暴露が、バイオサイドの場合はリスクが無視できない限り認可が下りなくなります。そこで既に認可されている物質についても内分泌攪乱物質と同定できるものが存在するかどうかのレビューをEFSAなどに要請しています。

【別添:BfR】グリホサートのBfRリスク評価に関連したよくある誤解とQ&A

グリホサートのリスク評価に関連して、各種報道と国民からの問い合わせで多い誤解についてドイツ連邦リスクアセスメント研究所(BfR)がコメントをQ&Aで公表した。

(安全情報部第三室)

食品安全情報へのリンク

食品安全情報
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/index.html
食品安全情報(化学物質)No.13(2016.06.22)
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/2016/foodinfo201613c.pdf
食品安全情報(化学物質)No.13(2016.06.22)別添
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/2016/foodinfo201613ca.pdf

今号の目次

【WHO】
1. 国際がん研究機関(IARC):50周年記念、コーヒー・マテ・非常に熱い飲料の評価

【EC】
1. プレスリリース:欧州委員会は農薬とバイオサイド分野での内分泌攪乱物質を同定するための科学的基準を提示
2. 食品の真正性と完全性についてのハイレベル会議
3. EU Rules
4. EUのフードチェーンに渡る公的管理規定の改定案の政治的合意についてのAndriukaitisコミッショナーの声明
5. 食品獣医局(FVO)査察報告:スリナム、アルゼンチン、ブルガリア、クロアチア、他
6. 食品および飼料に関する緊急警告システム(RASFF)

【EFSA】
1. トピックス 食品サプリメント
2. 栄養源ガイダンス-次回更新に意見を
3. 化学物質混合物:問題について議論する
4. 生物学的多様性と生態系サービスに関連したEFSAの環境リスク評価のための特定保護目的選択肢を導出するためのガイダンス
5. 特定医療目的用の食品サプリメントと食品、食品に栄養を添加する目的のカルシウム源としてのリン酸化オリゴ糖カルシウム(POs-Ca®)
6. 飼料添加物関連

【FSA】
1. FSA 2015年 年次事故報告書発表

【HSE】
1. 食品中残留農薬:2016年モニタリング結果

【NHS】
1. Behind the headlines:クランベリージュースが再発する尿路感染症のある女性の「役にたつ」と研究が主張

【ASA】
1. ASA裁定

【BfR】
1. 混ぜ物が入った動物由来食品は、今後検出しやすくなる
2. BfRシンポジウム「食品や飼料としての昆虫-将来の食糧?」のプレゼン概要
3. 最適な動物モデルを選定しで動物実験を減らす

【ANSES】
1. 二酸化チタンを吸入による発がん性があると分類するANSESの提案が、パブリックコメントに提出された
2. ANSES 2015 年次報告書オンライン発表

【FSAI】
1. Monaghan郡 Clonesでのクレンブテロール調査に関する声明

【FDA】
1. FDAの食品リコール開始プロセスに関する保健福祉省監察総監室早期警告についての声明
2. FDAは国際パンゲアIX作戦で、処方薬の違法なインターネット販売を標的にする
3. FDAは自主的減塩ガイダンスのウェブセミナーを開催する
4. FDAはメニュー表示を議論する公聴会を開催する
5. The Body Shot Barは表示されていないシブトラミンが検出されたためStep 2を全国で自主回収

6. 警告文書

【FTC】
1. FTCはPure Healthあるいは Genesis Todayグリーンコーヒー減量サプリメントを購入した消費者に総額900万ドル以上の返金小切手を送っている

【FSANZ】
1. 包装から食品に移行する化合物を管理する-募集
2. 食品基準ニュース

【APVMA】
1. パフォーマンス統計

【MPI】
1. 400人が南島食品安全ワークショップに参加した
2. 貝類警告がWhangaparaoa地域に拡大

【香港政府ニュース】
1. 乳児用食品法更新

【MFDS】
1. 日本産輸入食品の放射能検査の結果
2. 食品医薬品安全庁、「食品に使用できる原料」を中心に食品原料の管理システムの転換
3. カドミウムが基準を超過して検出された輸入「活タコ」の回収措置
4.「DONG WONマイルドマグロ」黒異物発生に関連する調査結果
5. 嗜好茶(茶)有害物質の心配せずにお楽しみください!
6. 炭酸水、虚偽・誇大広告にだまされてはいけない

【HSA】
1. HSAは一週間の国際協力執行作戦期間に約21,000ドル相当の25,000ユニット以上の違法健康製品を押収

【FSSAI】
1. 食品事業者により撤回/修正された誤解を招く宣伝のリスト

【その他】
・食品安全関係情報(食品安全委員会)から
・(ProMED-mail)鉛、水-米国:(10)(イリノイ)学校
・(EurekAlert)コメの有害なヒ素を減らすための環境に優しいアプローチ

●食品安全情報(化学物質)No.13(2016.06.22)別添

【BfR】グリホサートのBfRリスク評価に関連したよくある誤解とQ&A