アセスルファムKの安全性確認

No.10(2025.05.14)

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国立医薬品食品衛生研究所が集めた食品の安全性に関する国際機関や各国公的機関等の最新情報から。FAOはサプリや機能性食品の安全性と規制課題に関する報告書を発表。食品安全性の重要な面について概説し、各国の規制の枠組みも検証。欧州食品安全機関はアセスルファムKの再評価で安全性に懸念なしとした。一方、添加物としての銀は再評価でも結論出せず。FDAは外国製造施設への抜き打ち査察を拡大する。

注目記事

【FAO】安全なイノベーションを支援する:FAOはフードサプリメントおよび機能性食品または健康食品に関する食品安全上の留意点を強調

 多くの国の消費者が、個人の健康と幸福をサポートするために、食生活の一部としてフードサプリメント(food supplement)や機能性食品(functional food)を利用するようになった。国連食糧農業機関(FAO)の報告書「個別化栄養における食品安全:フードサプリメントおよび機能性食品に焦点を当てる」では、これらの製品に関連する新たな安全性に関する考察を行い、医薬品との相互作用、適切な摂取量、摂取歴のない成分の安全性を評価する必要性など、食品安全性に関するあらゆる重要な側面について概説し、規制上の課題について論じている。また、さまざまな国や地域の規制の枠組み(分類、表示、健康強調表示、組成、登録など)についても検証している。

【EFSA】食品添加物としてのアセスルファムK(E950)の再評価

 欧州食品安全機関(EFSA)が、食品添加物としてのアセスルファムK(アセスルファムカリウム、E950)の再評価を実施した。その結果、アセスルファムKおよびその分解生成物の遺伝毒性について安全上の懸念はないとした。パネルは、ラットの慢性毒性および発がん性試験において有害影響が見られなかった最大用量に基づき、許容一日摂取量(ADI)を15mg/kg体重/日と設定した。このADIは、以前に食品科学委員会(SCF)が設定したADI(9mg/kg体重/日)に代わるものである。パネルは、アセスルファムK(E950)への最大暴露推定量はすべての集団においておおむねADI以下であり、安全上の懸念がないことを示していると報告した。また、含有の可能性のある不純物については、in silicoデータに基づき5-クロロ-アセスルファムに遺伝毒性の懸念が確認されたことから、EU規格へ上限値0.1mg/kgを追加する、あるいは当該物質の適切な遺伝毒性データの提出を求めるよう勧告した。EU規格については、鉛と水銀の上限値の引き下げ、アセチルアセトアミドの上限値の追加も勧告されている。

【EFSA】食品添加物としての銀(E174)の再評価のフォローアップ

 EFSAが2016年に食品添加物としての銀(E174)の安全性を評価した際、入手できた情報は評価に不十分であった。今回、新たに関連事業社1社から、粒子サイズ分布と形態に関する限られたデータ、2件の遺伝毒性試験データ、1件の亜慢性試験データが提出された。

 新情報をもとに評価を実施したが安全性に関して結論できなかった。また、粒子サイズと形態に関してEU規格の変更の提案もできなかった。EFSAは従来のリスク評価を補完するために、ナノマテリアルのリスク評価に関するEFSAガイダンスに従ったリスク評価が必要だとしている。

【FDA】FDAは外国製造施設への抜き打ち査察の適用拡大を発表する

 米国食品医薬品局(FDA)は、米国の消費者および患者向けの、食品、医薬品、その他の医療製品を製造する外国製造施設への抜き打ち査察の適用拡大を発表した。これまで国内企業は抜き打ちで査察を受けるのに対し、外国企業は事前に通知を受け準備期間が得られていた。抜き打ち査察に関する今回の変更は、国内と外国の企業が同等の規制監督を受けることを目的としている。

(注目記事のまとめ:安全情報部第三室)

目次

【FAO】

1. 安全なイノベーションを支援する:FAOはフードサプリメント及び機能性食品または健康食品に関する食品安全上の留意点を強調

2. 食品安全フォーサイト枠組み会議の概要報告書

3. Codex

【EC】

1. 査察報告書

2. 食品及び飼料に関する緊急警告システム(RASFF)

【ECHA】

1. ECHA、健康保護のため6価クロム化合物の規制を提案

【EFSA】

1. FoodEx2メンテナンス2024

2. 海洋養殖において飼料を介して化学物質が散布される場合の海底堆積物に含まれる化学物質の環境中濃度を予測するためのモデル開発:タスク1.2. 概念モデル

3. 人工知能のためのデータ準備に関するシンポジウム

4. 食品添加物関連

5. 食品酵素関連

6. 新規食品関連

7. 農薬関連

【FSA】

1. 消費者調査(2025年1月〜2025年3月)

2. パンと小麦粉規則1998及びパンと小麦粉規則(北アイルランド1998)の改正に関する協議

3. FSAは食品偽装に取り組むための追加調査権限を発表する

4. FSAのチーフエグゼクティブは、将来の課題に対処するために食肉業界との継続的な関係の重要性を強調した

5. ブログ:適切な食品衛生が健全な事業である

6. 規制製品安全性評価

【DEFRA】

1. 食品中の残留農薬:2024年第3四半期のモニタリング結果

【BfR】

1. ワインに含まれるトリフルオロ酢酸(TFA)現状の知見によると、健康への障害は予想されていない

【ANSES】

1. 亜酸化窒素中毒事例は依然として増えつつある

2. 農薬の健康影響に関するInsermの集合的専門家レビュー結果の分析

【FDA】

1. FDAは外国製造施設への抜き打ち査察の適用拡大を発表する

2. FDAはCORE2023年次報告書を発表する:FDA規制食品における食中毒の発生と有害事象の調査

3. 公示

4. 警告文書

5. リコール情報

【EPA】

1. EPAは常識的な慣行を用いて絶滅危惧種を殺虫剤からより効果的に保護するための戦略を発表し、州と生産者に柔軟性を提供する

2. Zeldin長官がPFAS汚染対策に向けたEPAの主要措置を発表する

3. EPAは100日間の環境活動100件を祝う

4. EPAは、科学情報をEPAの機関により良く統合し、すべての米国民にきれいな空気、土壌、水を提供するために、組織改革の次の段階を発表した

5. EPAは科学委員会への推薦を受け付ける

【CDC】

1. 汚染されたシナモンアップルソース摂取後の鉛及びクロム暴露に関する調査-米国、2023年11月〜2024年4月

【USDA】

1. FSISがPFASサンプリング結果に関する論文を発表

【TGA】

1. 医薬品表示に関する「TGA assessed」表示の使用方法

【MPI】

1. プレスリリース

【香港政府ニュース】

1. ニュースレター

2. プレスリリース

3. 違反情報

4. リコール情報

【MFDS】

1. 日本産輸入食品の放射能検査の結果

2. 食薬処、業界と共に食品中の有害物質の低減を推進

3. 食薬処‐農振庁、気候変動に合わせた亜熱帯作物の農薬基準を新たに策定

4. SNSのショートフォームコンテンツを通じた虚偽・誇大広告の集中点検

5. 食薬処、「脱毛予防」など不当広告192件を摘発

6. 子供・青少年給食施設など集中点検の結果、30カ所摘発

7. 勃起不全治療剤成分含有食品原料の製造・販売業者を摘発

8. 食薬処、点字・QRコードで障害者向けの安全情報の提供を強化

9. 回収措置

【SFA】

1. 食品に使用が認められていない物質が混入した食品4点が発見された

【HSA】

1. プレスリリース

【その他】

・食品安全関係情報(食品安全委員会)から

食品安全情報
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/index.html
食品安全情報(化学物質)No.10(2025.05.14)
https://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/2025/foodinfo202510c.pdf