エノキのリステリア汚染を警戒

No.24(2023.11.22)

エノキダケ(イメージ)

国立医薬品食品衛生研究所が集めた食品の安全性に関する国際機関や各国公的機関等の最新情報から。英国およびスコットランド当局は、エノキダケにリステリア汚染の可能性および重篤な疾患の原因となるリスクがあるとして注意を促している。世界保健機関は、食品由来疾患のサーベイランスおよび対応のツールとして全ゲノムシークエンシング(WGS)法を使用するためのガイダンスを発行した。

注目記事

【英国】輸入エノキダケのリステリア汚染に関する助言

 英国食品基準庁(UK FSA: Food Standards Agency, UK)およびスコットランド食品基準庁(FSS)は、エノキダケにリステリア(Listeria monocytogenes)汚染の可能性および重篤な疾患の原因となるリスクがあるとして、妊婦および免疫機能が低下している人は喫食前にエノキダケを十分に加熱するよう注意を促している。

 リステリア症の重症化リスクは年齢とともに上昇するため、FSAおよびFSSは、高齢者もエノキダケ製品の喫食に関連したリスクに注意すべきであると呼びかけている。エノキダケを取り扱う際は、すべての消費者が包装に記載された指示に従って適切な食品衛生慣行を実践し、エノキダケを5℃以下で冷蔵保存すべきである。

 エノキダケは通常は加熱後に提供されるが、サラダや付け合わせとして生のまま提供されることもある。2021年に米国およびカナダでエノキダケに関する食品安全警報が複数回にわたり発出されたことから、FSAは、エノキダケのリステリア汚染を警戒している。

 英国内ではエノキダケに関連したリステリア症患者の報告はまだないが、FSAおよび地方自治体の協力機関が最近行ったサンプリング・検査データの分析によると、エノキダケ40検体中13検体からL. monocytogenesが検出されており、高濃度の汚染も見受けられたことが明らかになっている。リステリアは英国内に輸入されるエノキダケ製品から継続的に検出されている。

 エノキダケ製品を最近喫食したことがある場合でも、38℃以上の高熱、身体の痛み、悪寒、吐き気、嘔吐、下痢などのリステリア感染の症状が見られなければ、特に対応は必要ない。体調が悪い人、妊婦、免疫機能が低下している人、およびリステリア症に感染した可能性がある人は、国民保健サービス(NHS)または医療機関に連絡すべきである。

【WHO】全ゲノムシークエンシング法を使用するためのガイダンス

 世界保健機関(WHO: World Health Organization)が食品由来疾患のサーベイランスおよび対応のツールとして全ゲノムシークエンシング(WGS)法を使用するためのガイダンスを発行した。

 全ゲノムシークエンシング法は、フードチェーンにおける微生物ハザードの検出・モニタリング方法を変える可能性がある検査手法である。WGS法は、通常のサーベイランスおよびアウトブレイクの探知・対応を強化することで食品由来疾患を把握し、One Healthアプローチによって感染源を特定するために有用である。WGS法は精度の低い従来のタイピング法・検出法より優れていることから、食品由来疾患の実被害の低減に役立つと期待される。

 このため世界保健機関(WHO)は、WGS法のガイダンス「食品由来疾患のサーベイランスおよび対応の強化ツールとしてのWGS法(Whole genome sequencing(WGS)as a tool to strengthen foodborne disease surveillance and response)」を新たに発表した。

 本ガイダンスは以下の3部により構成されている。

  • 第1部:導入部(https://www.who.int/publications/i/item/9789240021228)
    WGS 法実施の検討に先立ち食品由来疾患サーベイランス・対応システムにおける最低限の能力要件について解説。
  • 第2部:食品由来疾患アウトブレイクの調査における WGS 解析の使用法
    (https://www.who.int/publications/i/item/9789240021242)
    食品由来疾患アウトブレイクの調査に役立てるための WGS 解析の使用法について解説。
  • 第3部:食品由来疾患の通常サーベイランスにおける WGS 解析の使用法
    (https://www.who.int/publications/i/item/9789240021266)食品由来疾患の通常サーベイランスでの WGS 解析の使用法について解説。

 本ガイダンスは、食品由来疾患のサーベイランス・対応のツールとしてWGS法を役立てるために必要な能力について指針を示し、WGS 法実施の選択肢の概要および既存のシステムにWGS法を組み入れる方法について解説している。

(注目記事のまとめ:FoodWatchJapan編集部)

食品安全情報へのリンク

食品安全情報
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/index.html
食品安全情報(微生物)No.24(2023.11.22)
https://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/2023/foodinfo202324m.pdf

今号の目次

【世界保健機関(WHO)】
1. 世界保健機関(WHO)が食品由来疾患のサーベイランスおよび対応のツールとして全ゲノムシークエンシング(WGS)法を使用するためのガイダンスを発行

【米国疾病予防管理センター(US CDC)】
1. カンタロープメロンに関連して複数州にわたり発生しているサルモネラ(Salmonella
Sundsvall)感染アウトブレイク(2023年11月17日付初発情報)
2. 乾燥ドッグフードに関連して複数州にわたり発生しているサルモネラ(Salmonella
Kiambu)感染アウトブレイク(2023年11月9日付初発情報)

【カナダ公衆衛生局(PHAC)】
1. 公衆衛生通知:Malichita ブランドのカンタロープメロンに関連して発生しているサルモネラ(Salmonella Soahanina およびS. Sundsvall)感染アウトブレイク(2023年11月17日付初発情報)
2. 公衆衛生通知:生ペットフードおよびウシとの接触に関連して発生している広範囲薬剤耐性サルモネラ(Salmonella I4,[5],12:i:-)感染アウトブレイク(2023年11月11日付初発情報)

【欧州疾病予防管理センター(ECDC)】
1. 変異型クロイツフェルト・ヤコブ病 -2020年次疫学報告書

【欧州委員会健康・食品安全総局(EC DG-SANTE)】
1. 食品および飼料に関する早期警告システム(RASFF:Rapid Alert System for Food and
Feed)

【欧州食品安全機関(EFSA)】
1. 慢性消耗病(CWD)モニタリングの結果(IV)

【英国食品基準庁(UK FSA)】
1. 輸入エノキダケのリステリア(Listeria monocytogenes)汚染に関する助言

【ProMED-mail】
1. コレラ、下痢、赤痢最新情報(24)(23)