英:植物素材混合プラ売るな

No.13(2023.06.21)

竹粉末(イメージ)

国立医薬品食品衛生研究所が集めた食品の安全性に関する国際機関や各国公的機関等の最新情報から。英国食品基準庁(FSA)は、麦わらや竹などの植物由来の素材を含む食品接触物質の安全性を評価するための情報を収集している。米国食品医薬品局(FDA)は、PFASに関する新しい分析について最新情報を報告する。食品基準スコットランド(FSS)はフローズンドリンクのグリセロールの量について調査している。

注目記事

【FSA】小売業者向け通知:竹を使用したプラスチック容器や器具

 英国食品基準庁(FSA)は、麦わらや竹などの植物由来の素材を含むプラスチック容器や器具を販売しないよう事業者に呼び掛けている。現在、それらの植物由来の素材を含む食品接触物質の安全性を評価するための情報をFSAが収集している段階であり、十分な評価を行い、承認されるまでは当該製品を販売することはできない。

※ポイント:脱プラスチックの推進に伴う問題の一つです。以前にEUの大規模調査のことをご紹介しましたが、その後も関連記事を目にすることがよくあり、欧州では植物由来の素材(とくに竹粉末)を混合した食品用のプラスチック製品がかなり問題になっている印象を受けています。プラスチック材への混合によりホルムアルデヒドやメラミンなどの成分が溶出しやすくなることが懸念されているとのことです。

※参考:食品安全情報(化学物質)No.25/2022(2022.12.07)

【EC】食品接触物質:欧州で数千の違法で有害な製品が遮断およびリコールされた

【FDA】PFAS活動に関して最新情報を提供する

 米国食品医薬品局(FDA)は、食品に含まれるPFAS(パーおよびポリフルオロアルキル化合物)に関する新しい分析結果や分析法の開発状況について最新情報を報告する。トータルダイエットスタディ(TDS)では186サンプルを検査して一部のサンプルからPFASが検出されたが、FDAは、検出された濃度での暴露は幼児や一般集団にとって健康上の懸念となる可能性は低いと結論した。分析対象のPFASは、2019年は16種であったが、段階的に増やして2023年には30種を分析している。更新された分析法については今年後半に公開する予定である。さらにFDAは、植物によるPFASの取り込みや、その後の分布に関する研究の支援なども行っている。

※ポイント:FDAは2019年からTDSの分析対象にPFASを加えており、今回は2021年にサンプリング、2022年に20種のPFASを分析した結果です。以前のTDSで魚介類のサンプルにPFASを検出したことから、食品の中でもとくに魚介類がPFASに汚染される可能性が高いとして、FDAはTDSの他に魚介類のターゲット調査も実施しています。米国では食品中のPFASについての基準値は設定していませんが、PFASが検出された場合には、健康への影響を評価して、もし安全上の懸念が生じた場合には事業者による自主的リコールなどを実施するとしています。

【FSS】スラッシュアイス飲料中のグリセロール

 グリセロール(E422)は、液体が凍るのを防ぎ、スラッシュ性(半解けの状態)を維持する機能を持つことから、スラッシュアイス飲料(フローズンドリンク)の製造に使用されている。グリセロールの毒性は低いが、短期間に大量に摂取した場合の幼児への影響が懸念されている。食品基準スコットランド(FSS)は、スラッシュアイスの過剰な摂取により体調を崩した子供2名についての報告を受けたことから、現在、業界関係者と協力して業界全体で使用されているグリセロールの量について調査している。

(安全情報部第三室)

食品安全情報へのリンク

食品安全情報
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/index.html
食品安全情報(化学物質)No.13(2023.06.21)
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/2023/foodinfo202313c.pdf
食品安全情報(化学物質)No.13(2023.06.21)別添
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/2023/foodinfo202313ca.pdf

今号の目次

【WHO】
1. 食品微量栄養素強化の取組みを加速するための新しい WHA 決議

【FAO】
1. FAO:農業におけるプラスチックサイクルを破る
2. 食品安全のための大きな一歩
3. 出版物
4. Codex

【EC】
1. SCCS(消費者安全に関する科学委員会)
2. 欧州健康連合:EU は薬剤耐性対策を強化する
3. 査察報告書
4. 食品及び飼料に関する緊急警告システム(RASFF)

【EFSA】
1. 食品中のポリ臭化ジフェニルエーテルに関連した健康リスクのパブリックコメント募集を開始
2.2020年の新興リスクに関する EFSA の活動
3. 新規食品関連
4. 農薬関連
5. 飼料添加物関連
6. 遺伝子組換え関連

【FSA】
1.2023年6月の FSA 理事会ペーパーが公表される
2. イングランドと北アイルランドの地方当局向けの実施規範を更新し、リスクの高い食品事業者に重点を置いて監視を実施
3.2022年3月の Consumer Insights Tracker
4. フードシステム戦略的評価2023
5. 研究プロジェクト
6. 小売業者向け通知:竹を使用したプラスチック容器や器具
7. 栄養素-知っておくべきこと
8. より健康的な食品組成変更

【FSS】
1. 調査により生活費危機と食事や買い物行動との関連性が明らかになる
2. スラッシュアイス飲料中のグリセロール

【FSAI】
1. リコール情報

【BfR】
1. 植物保護製剤の透明な認可に関する研究:製造業者は有効成分に関する利用可能なすべての試験を提出すべきである
2. BfR の概要:2022年の事実&数字

【RIVM】
1. Groningen の天然ガスの水銀は健康に有害ではない

【ANSES】
1. 植物性フードサプリメントに関する消費者情報の向上

【FDA】
1. 同等性と食品の安全性
2. PFAS 活動に関して最新情報を提供する
3. サイエンスフォーラム
4. 食品ラベルに表示される食事指導文に関するガイダンス案を発表
5. 消費者向け情報
6. リコール情報
7. 警告文書

【NTP】
1. ニュースレター

【EPA】
1. 全国で地域鉛啓発セッションシリーズを開始

【USDA】
1. APHIS は規制状態レビュー対応を発表:Bayer CropScience トウモロコシ

【FSANZ】
1. 食品基準ニュース
2. 食品基準通知

【TGA】
1. ラベルは毎回読むか?
2. 安全性助言

【MPI】
1. マヌカハニーの定義に変更なし

【香港政府ニュース】
1. 貝中毒
2. 愛と同じように、食品安全も偶然ではない-今すぐ実践する5つのポイント
3.日本食品の輸入規制に関する最新情報
4. 食品規則における保存料に関する修正案(Cap.132BD)
5. リコール情報

【MFDS】
1.日本産輸入食品の放射能検査の結果
2. 衛生証明書偽造のロシア産冷凍ズワイガニ輸入停止
3. 食品使用不可原料を含む輸入健康機能食品を摘発
4. 福島原子力発電所汚染水関連 IAEA 確証モニタリング(一次試料分析結果)報告書発表
5. K-フードの中国輸出支援に拍車
6. オンライン不当広告が消えるその日まで、点検は続行される
7. 国民の安全に妥協はない! 輸入食品放射能安全管理は私たちが最高
8. 産・官が手を取り合い透明ペットボトルの循環速度アップ!

【SFA】
1. SFA は「30by30」ビジョンに引き続きコミットする
2. 技術は我々のアグリフード産業を変革する重要な戦略である
3. リコール情報

【その他】
・食品安全関係情報(食品安全委員会)から
・ProMED-mail3件
・Eurekalert3件

別添
「World Food Safety Day2023」関連記事