太平洋の水産物の放射性物質

国立医薬品食品衛生研究所は、食品安全情報(化学物質)No.25(2012.12.12)を発表した。ECは太平洋地域産の水産物における放射性物質モニタリングに関する勧告の継続を決定した。BfRは、アドベントカレンダー(クリスマスまで1日ずつ窓を開けていくカレンダー)に入っているチョコレートから、ミネラルオイルが検出されたと発表した。FSAは、アレルゲン情報の提供状況について食品事業者に対し電話調査を実施した。

注目記事

【EC】フードチェーンおよび動物の健康に関する常任委員会

 2012年11月26日に開催されたフードチェーンおよび動物の健康に関する常任委員会では、太平洋地域産の水産物における放射性物質モニタリングに関する勧告について議論がなされた。専門家の間では、太平洋において日本の海域以外では無作為モニタリングは必要ないとされていたが、海水・海底堆積物・海産物の間の汚染の移行についての不確実性を根拠に、常任委員会では勧告の継続を決定した。

※ポイント:これまでに対象海域で捕獲された回遊性補食魚およびその製品の放射性物質汚染は不検出又は極微量であり、リスクは低いと認識されています。今回継続が決定されたモニタリングについては、法的拘束力がある規則「Regulation」ではなく、法的拘束力はない勧告「Recommendation」なので、実際に実施するかは加盟国にまかされているということです。

【BfR】ミネラルオイルがチョコレートおよび他の食品中に含まれることは望ましくない

 ドイツ連邦リスクアセスメント研究所(BfR)は、クリスマス向けのアドベントカレンダーに入っているチョコレートから、各種炭化水素混合物(ミネラルオイル)が検出されたと発表した。

※ポイント:リサイクル紙で直接包んだ食品に、原料紙に使用されていたインク成分が移行するという話はこれが最初ではありません。しかも、原料紙にどのようなインクが使用されていたか不明な場合も多いので、リサイクル紙を使用した場合に、どのような物質がどの程度移行するのかははっきりわかっていません。リサイクル紙は、資源の有効利用という利点はありますが、使い方によっては、このような問題も生じてしまいます。

【FSA】食物アレルギー調査はビジネスに役立つ

 英国食品基準庁(FSA)は、EUにおいて食品表示に関する新規則が2014年12月に発効するにあたり、アレルゲン情報の提供状況について食品事業者に対し電話調査を実施した。調査結果は、新規則への対応として、FSAが食品事業者に対しどのように援助が出来るかの確認にも役立つとしている。

※ポイント:これは、EUでアレルゲン表示の新規則が2年後に発効するため、食品事業者がアレルゲン表示について現時点でどのような取り組みをしているか、新規則に従うためにどのように取り組もうとしているかを調査したものです。同様の調査は、アイルランドでも実施されています。興味深いのは、新規則への移行をスムーズにするために、これらの調査を政府がオープンに実施しているということです。

(安全情報部第三室)

食品安全情報へのリンク

食品安全情報
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/index.html

食品安全情報(化学物質)No.25(2012.12.12)
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/2012/foodinfo201225c.pdf

今号の目次

【EC】
1. 食品照射
2. 農薬に関する常任委員会
3. フードチェーン及び動物の健康に関する常任委員会
4. FVO査察報告書(チェコ共和国)
5. 食品及び飼料に関する緊急警告システム(RASFF)

【EFSA】
1. Séraliniらの研究結論はデータに支持されていないとEUのリスク評価コミュニティは述べる
2. 農場から食卓まで消費者を守る科学
3. in vivoアルカリ性コメットアッセイ報告を受け入れるための最低基準
4. ヘビースモーカーのβ-カロテン使用の安全性についての声明
5. 食品と接触する物質関連
6. 香料グループ評価
7. 動物飼料添加物関連

【FSA】
1. ウェールズのヒツジ規制解除
2. 食物アレルギー調査はビジネスに役立つ
3. 英国国家監視計画の年次報告書を発表

【MHRA】
1. カナダ当局が“Tongqiao Biyan Pian”と称するPollen Allergyのリコールを発表
2. 勃起不全用ハーブ製品“Shark Essence”を使用しないよう消費者へ助言
3. 痩身用ハーブ製品“Ultra Slim”を使用しないよう消費者へ助言
4. 複数の勃起不全用ハーブ製品を使用しないよう消費者へ助言

【BfR】
1. ミネラルオイルがチョコレート及び他の食品中に含まれることは望ましくない
2. アドベントカレンダーのチョコレート及び他の食品に含まれるミネラルオイルに関するQ & A

【FDA】
1. 警告文書(2012年11月7日、12月4日公表分)

【CFIA】
1. CFIAは表示されていないアレルゲンを検査-95%以上でアレルゲンが不検出
2. 検査した1,000以上の食品に酸化プロピレンは含まれない

【FSANZ】
1. 消費者向け情報 ファクトシート:栄養及び健康関連強調表示
2. ファクトシート:食品としてのヘンプ(hemp:麻)
3. 食品規制に関する議会及び政府のフォーラム:コミュニケ

【APVMA】
1. 使用法を変更してジウロン製品登録確認

【香港政府ニュース】
1. 医薬品販売で女性逮捕
2. 痩身用製品に警告
3. 7食品が安全性検査に不合格
4. 漢方薬リコール

【KFDA】
1. 唐辛子には使用できない農薬成分を検出‘唐辛子’製品回収措置
2. 残留農薬基準違反‘唐辛子’製品回収措置
3. 爆弾酒、20代で好む割合が多い

【その他】
・食品安全関係情報(食品安全委員会)から